1. 本書で何を学ぶか 1 |
1.1 岩石と地形との関係 : 一つの研究例と本書の問題設定 1 |
1.2 地形学小史 3 |
1.3 地形学のパラダイム : 地形プロセス学と地形材料学 4 |
1.4 本書で扱うテーマの範囲 5 |
第1部 風化プロセスとその関連地形 7 |
2. 風化プロセスの基礎 9 |
2.1 風化の定義と分類 10 |
2.2 風化研究の重要性 10 |
2.3 物理的風化作用 11 |
2.3.1 除荷作用 11 |
2.3.2 熱風化・日射風化 12 |
2.3.3 乾湿風化 13 |
2.3.4 凍結風化・凍結破砕 17 |
2.3.5 塩類風化 19 |
2.3.6 凍結破砕と塩類風化の複合作用 23 |
2.3.7 疲労破壊 23 |
2.4 化学的風化作用 23 |
2.4.1 加水分解 23 |
2.4.2 溶解 25 |
2.4.3 水和 27 |
2.4.4 酸化 27 |
2.5 生物風化作用 27 |
2.5.1 生物風化とは 27 |
2.5.2 地衣類による風化作用 27 |
2.5.3 バクテリアによる花商岩の風化 28 |
2.6 風化分帯と風化層の厚さ 28 |
2.6.1 風化分帯 28 |
2.6.2 風化層・土壌層の厚さ 29 |
2.7 各種の風化生成物 30 |
2.7.1 レゴリス 30 |
2.7.2 土壌 30 |
2.7.3 デュリクラスト 31 |
2.7.4 風化皮膜・砂漠ワニス 31 |
3. 物理的風化作用とそれがつくる地形 35 |
3.1 乾湿風化作用とそれがつくる地形 36 |
3.1.1 波状岩 36 |
3.1.2 フードー 36 |
3.2 塩類風化作用とそれがつくる地形 38 |
3.2.1 塩類風化による岩石の破壊 : 塩類風化実験 38 |
3.2.2 タフォニ(韓国・徳崇山のタフォニ) 41 |
3.2.3 ナマ 43 |
3.3 塩類風化作用と凍結破砕作用で生じる地形 : 田切のノッチ地形 44 |
3.3.1 地形概観と気候 44 |
3.3.2 南向き谷壁におけるノッチの形成(塩類風化) 45 |
3.3.3 北向き谷壁におけるノッチの形成(凍結破砕) 46 |
3.3.4 風化プロセスと風化環境 48 |
3.4 差別削剥地形 49 |
3.4.1 差別削剥地形の例 49 |
3.4.2 岩石の抵抗性 : 積極的抵抗性と消極的抵抗性 53 |
4. 化学的風化作用と関連する地形 57 |
4.1 溶解実験からみた岩石の化学的風化のしやすさ 57 |
4.1.1 タブレット野外風化実験からみた岩石の風化量 57 |
4.1.2 各種岩石を用いた野外風化実験 59 |
4.2 火山岩の化学的風化 61 |
4.2.1 多孔質流紋岩の風化 61 |
4.2.2 安山岩の風化 : 阿蘇の安山岩に形成された風化皮膜 64 |
4.3 深成岩の化学的風化と地形 66 |
4.3.1 花崗岩の化学的風化プロセス 66 |
4.3.2 ハンレイ岩の化学的風化プロセス 71 |
4.3.3 花崗岩のつくる地形 73 |
4.4 石灰岩の風化とカルスト地形 74 |
4.4.1 石灰岩の風化特性 74 |
4.4.2 カルスト地形 76 |
第Ⅱ部 斜面プロセス 83 |
5. 斜面プロセスの基礎 85 |
5.1 マスムーブメントの定義と分類 85 |
5.1.1 マスムーブメントの定義 85 |
5.1.2 マスムーブメントの分類 86 |
5.2 マスムーブメントの素因と誘因 87 |
5.2.1 マスムーブメントと安全率の変化をもたらす諸要因 87 |
5.2.2 マスムーブメントの素因と誘因 89 |
5.3 マスムーブメントの発生要因と力学 90 |
5.4 マスムーブメントの力学・斜面の安定解析 92 |
5.4.1 斜面の限界自立高さ(Culmannの斜面安定解析) 92 |
5.4.2 急斜面でのトッブリング破壊(引張破壊) 94 |
5.4.3 無限長斜面の安定解析 95 |
5.4.4 粘土斜面の円弧すべりの安定解析 : スライス法 96 |
6. 落石と崖錐斜面 99 |
6.1 崖錐斜面とそこでの斜面プロセス 99 |
6.2 落石の原因と落石量 100 |
6.3 崖錐斜面の勾配と崖錐物質の安息角およびせん断抵抗角との関係 101 |
6.3.1 安息角とは 101 |
6.3.2 安息角に関する実験とそれにまつわる問題 101 |
6.3.3 崖錐の勾配と安息角およびせん断抵抗角に関する研究小史 102 |
6.3.4 安息角とせん断抵抗角 107 |
6.4 崖錐斜面上での乾燥岩屑流とその厚さ 110 |
6.5 崖錐発達に関する数学モデル 111 |
6.5.1 崖錐発達の数学モデル : 従来の研究 111 |
6.5.2 崖錐発達に関するObanawa and Matsukuraモデル 111 |
7. 崩落と崩壊(崖崩れと山崩れ) 115 |
7.1 崖の限界自立高さ 116 |
7.1.1 せん断強度を用いた斜面の限界自立高さの推定 116 |
7.1.2 一軸圧縮強度を用いた斜面の限界自立高さの推定 117 |
7.2 シラス台地開析谷谷壁における崖崩れ 117 |
7.2.1 下刻に伴う谷壁斜面における崖崩れ(開析谷の谷壁斜面の発達過程) 117 |
7.2.2 シラス台地崖での崩壊(台地の縁の斜面勾配) 121 |
7.2.3 谷壁発達モデルと空間-時間置換 122 |
7.3 黄土台地の台地開析谷谷壁における崖崩れ 122 |
7.4 田切の谷壁斜面での崖崩れ 124 |
7.4.1 崖崩れのタイプ 125 |
7.4.2 片持ち梁の安定解析 127 |
7.4.3 平面破壊の安定解析 127 |
7.4.4 田切の谷壁の後退プロセス 128 |
7.5 海食崖の崩落(1) : 豊浜トンネルにおける岩盤崩落 129 |
7.6 海食崖の崩落(2) : 石灰岩からなる海食崖の崩落 130 |
7.7 山崩れ(表層崩壊)の二,三の例 133 |
7.7.1 花崗岩類からなる山地における表層崩壊の二,三の例 133 |
7.7.2 土層厚と崩壊の関係 : 風化層の厚さと安全率との関係(崩壊再現周期) 136 |
7.8 崩壊密度や崩壊周期をコントロールする岩質 137 |
7.8.1 韓国における片麻岩斜面と花崗岩斜面での表層崩壊 137 |
7.8.2 多賀山地における黒雲母花崗岩と角閃石黒雲母花崗岩斜面での表層崩壊 138 |
7.9 砂岩・泥岩斜面での崩壊メカニズムと降雨閾値 138 |
8. 地すべり 141 |
8.1 地すべりの定義・分類 141 |
8.1.1 初生地すべりと二次地すべり 141 |
8.1.2 地すべりの分類および発生しやすい地質帯(素因) 141 |
8.2 地すべり粘土とその特性 142 |
8.2.1 地すべり粘土の粘土鉱物 142 |
8.2.2 地すべり土のせん断強度特性 142 |
8.2.3 残留強度と粘土含有量および粘土鉱物との関係 143 |
8.3 風化による強度低下および地下水位の上昇が引き起こす地すべり 144 |
8.3.1 泥岩の風化と地すべり : 房総半島・嶺岡地域 144 |
8.3.2 ハンレイ岩の風化と地すべり : 柿岡盆地東山地すべり 148 |
8.4 地すべりの再活動のメカニズム 153 |
8.5 地震による地すべり 154 |
8.5.1 今市地震による今市パミスの地すべり 154 |
8.5.2 地震による軽石層のすべりのメカニズム 156 |
8.6 侵食および人為的影響による地すべり 156 |
8.6.1 河床洗掘(下刻)が引き起こした地すべり 156 |
8.6.2 港の建設が引き起こした地すべり 157 |
8.7 地すべりの挙動と発生時期の予知 158 |
8.7.1 土のクリープ 158 |
8.7.2 地すべりの移動プロセス 158 |
8.7.3 斎藤による崩壊発生時期の予測モデル 159 |
9. 流動(ソリフラクション,泥流,土石流,岩屑流) 161 |
9.1 岩盤クリープ 162 |
9.2 ソリフラクションと土壌葡行 162 |
9.2.1 ソリフラクション 162 |
9.2.2 土壌飼行に関する一実験 164 |
9.3 ソリフラクションの関与する地形 : 非対称谷 164 |
9.3.1 非対称谷の分布とその形成プロセス 164 |
9.3.2 日本における非対称谷 166 |
9.4 泥流 166 |
9.4.1 火山体における泥流 166 |
9.4.2 粘土層で発生する泥流 166 |
9.5 土石流 168 |
9.5.1 土石流発生のメカニズム 168 |
9.5.2 土石流の物質と流動 168 |
9.5.3 焼岳の上均堀沢での土石流 168 |
9.5.4 崖錐斜面上で発生する土石流 169 |
9.6 巨大・大規模崩壊に伴う岩屑流・岩屑なだれ 169 |
9.6.1 岩屑流・岩屑なだれ(巨大崩壊および大規模崩壊)の二,三の例 169 |
9.6.2 等価摩擦係数 170 |
9.7 クイッククレイ地すべり 170 |
10. 陥没・沈下 173 |
10.1 陥没・沈下の例 173 |
10.1.1 陥没 173 |
10.1.2 沈下 173 |
10.2 大谷石採石場の陥没 174 |
10.2.1 大谷石採石場の陥没 174 |
10.2.2 大谷石の物理的・力学的諸性質 174 |
10.2.3 安定解析式の導出 174 |
10.2.4 せん断強度の推定 175 |
10.2.5 寸法効果を考慮した岩盤せん断強度の推定 176 |
10.2.6 解析結果 176 |
11. 斜面プロセスと斜面発達(地形変化) 179 |
11.1 風化と斜面プロセス 179 |
11.1.1 「風化と斜面プロセス」に関する研究の問題点 179 |
11.1.2 風化による斜面物質の強度低下 180 |
11.1.3 土層の形成速度 180 |
11.1.4 風化による斜面物質の粒径変化 181 |
11.2 斜面プロセスと斜面勾配 183 |
11.2.1 特性勾配 183 |
11.2.2 限界勾配 183 |
11.2.3 最終勾配 185 |
11.3 斜面の長期的発達 : 従順化と平行後退のモデル 185 |
11.3.1 定性的演繹モデル 185 |
11.3.2 定性的推論モデル 187 |
11.3.3 数学モデル 188 |
11.3.4 定量的経験モデル 189 |
第Ⅲ部 風化速度と削剥(地形変化)速度 193 |
12. 風化・侵食速度に関するいくつかの研究例 195 |
12.1 地形材料学からみた風化・削剥速度に関する研究小史 195 |
12.1.1 化学的削剥(溶出)速度 196 |
12.1.2 風化生成物の形成速度 197 |
12.1.3 岩石物,性の変化の速度 197 |
12.2 風化速度の研究例(その1 : 安山岩礫における風化皮膜の形成速度) 198 |
12.3 風化速度の研究例(その2 : 風化による多孔質流紋岩の強度低下) 200 |
12.4 風化速度の研究例(その3 : 風化による砂岩岩盤の強度低下速度) 201 |
12.5 風化による強度低下速度式 201 |
12.5.1 Sunamura(1996)の式 201 |
12.5.2 岩石の強度低下速度に関する今後の研究課題 202 |
12.6 侵食速度の研究例(その1 : 喜界島における石灰岩地表面の低下速度) 202 |
12.6.1 台座岩から求められた従来の地表面低下速度 202 |
12.6.2 喜界島の台座岩 203 |
12.6.3 地表面低下速度の見積もり 204 |
12.6.4 他地域における地表面低下速度との比較 204 |
12.7 侵食速度の研究例(その2 : 房総半島野島崎におけるタフォニの成長速度) 205 |
12.8 侵食速度の研究例(その3 : 青島橋脚砂岩塊の窪みの形成とその成長速度) 206 |
12.8.1 窪みの成長速度 206 |
12.8.2 窪みの形成・成長プロセス 209 |
13. 風化・侵食速度に関する地形学公式(岩石物性を取り込んだ解析) 215 |
13.1 地形学公式に関するいくつかの研究例 215 |
13.1.1 地形学公式とは 215 |
13.1.2 風化・侵食速度に関する地形学公式 215 |
13.1.3 地形学公式を提唱した既存の二,三の研究 216 |
13.2 タフォニの成長速度公式 217 |
13.2.1 タフォニの成長速度 217 |
13.2.2 塩類風化の易風化指数 217 |
13.2.3 タフォニの成長速度公式 218 |
13.3 青島橋脚砂岩塊に発達する窪みの成長速度公式 219 |
13.3.1 タフォニの易風化指数の適用 219 |
13.3.2 青島橋脚砂岩塊に発達する窪みの成長速度公式(タフォニ+波の侵食) 219 |
13.4 岩石の風化速度公式 : 各種岩型を用いた野外風化実験(タブレット実験) 220 |
13.5 岩盤の侵食速度公式 221 |
13.5.1 岩石摩耗速度 221 |
13.5.2 岩盤河床の侵食速度(砂礫還流型水路実験) 221 |
13.5.3 上記2実験のまとめ 222 |
13.6 滝の後退速度公式 222 |
13.6.1 滝の成因 222 |
13.6.2 滝の後退プロセスと速度に関する従来の研究 223 |
13.6.3 滝の後退速度に関する地形学公式 223 |
13.6.4 滝の後退速度式の検証 224 |
13.6.5 式(13.19)が適合しない滝 224 |
13.6.6 滝の後退速度式の援用 225 |
14. 風化・侵食地形の年代学 229 |
14.1 風化・侵食地形の年代学 229 |
14.1.1 相対年代法 229 |
14.1.2 地すべり・山崩れの年代推定法 230 |
14.2 宇宙線生成放射性核種年代測定法 230 |
14.2.1 原理 230 |
14.2.2 TCN年代の測定例 : 花崗岩ドームに発達するシーティングの剥離速度 230 |
14.2.3 地形学におけるTCN法の有用性と今後の発展性 233 |
単位換算表 235 |
索引 236 |
事項索引 236 |
地名索引 241 |
1. 本書で何を学ぶか 1 |
1.1 岩石と地形との関係 : 一つの研究例と本書の問題設定 1 |
1.2 地形学小史 3 |