1 生化学と医学-(堀江 滋夫) 1 |
はじめに 1 |
生化学的機序が正常に働いていることが健康の基礎である 2 |
この教科書は、生化学の知識を臨床的な問題に結びつける手助けになるであろう 5 |
まとめ 5 |
2 生体分子と生化学的手法-(野澤 義則) 7 |
はじめに 7 |
人体は、種々の分子を構成するいくつかの元素からできている 7 |
細胞は生物の基本単位である 8 |
実験的アプローチには三つの主要素がある 10 |
生化学反応を研究するためには多くの方法が用いられる 12 |
生化学において大きな成果があり、その多くは医学にとって重要な意義がある 13 |
まだ多くのことを学ばなければならない 14 |
まとめ 14 |
3 水およびpH-(堀江 滋夫) 16 |
はじめに 16 |
生医学的重要性 16 |
水は理想的な生物学的溶媒である 17 |
水分子は水素結合を形成している 17 |
その他の非共有結合力も生体分子を安定化している 18 |
水は優れた求核試薬として働く 20 |
pHは水素イオン濃度の対数の負数である 22 |
まとめ 27 |
Ⅰ タンバク質および酸素の構造と機能 |
4 アミノ酸-(西野 武士) 30 |
はじめに 30 |
生医学的重要性 30 |
アミノ酸の特性 30 |
タンバク質中のアミノ酸はR基の極性度に基づいて分類できる 35 |
個々のアミノ酸の性質は、α-R基によって決定される 35 |
アミノ酸を分離する種々の技術 36 |
アミノ酸の特性化学反応はそれがもつ官能基による 39 |
アミノ酸の最も重要な反応はペプチド結合の形成である 39 |
まとめ 39 |
5 ペプチド-(西野 武士) 40 |
はじめに 40 |
生医学的重要性 40 |
ペプチド結合によって連結したL-αアミノ酸が、ペプチドを形成する 40 |
タンバク質のアミノ酸配列:タンバク質の一次構造の決定 44 |
ペプチドの混合物は、アミノ酸配列分析の前に、分離しなければならない 46 |
ペプチドは自動化された技術により合成できる 49 |
まとめ 50 |
6 タンバク質:構造と機能-(西野 武士) 52 |
はじめに 52 |
生医学的重要性 52 |
タンバク質は多くの方法で分類される 52 |
■タンバク質構造 の四つの次元■ 53 |
一次構造 53 |
二次構造 53 |
三次構造 58 |
X線結晶解析でタンバク質の三次元構造がわかる 59 |
四次構造 61 |
タンバク質はどのようにしてフォールディングされるか 63 |
形は機能を決定する 65 |
コラーゲン 65 |
まとめ 66 |
7 タンバク質:ミオグロビンとヘモグロビン-(東 悳彦) 68 |
はじめに 68 |
生医学的重要性 68 |
ヘムと2価鉄原子が、酸素の貯蔵および輸送の能力を付与する 68 |
ミオグロビンとヘモグロビンの酸素解離曲線は、それぞれの生理的機能に適合している 71 |
ヘモグロビンは、酸素、二酸化炭素、プロトンを輸送する 71 |
ヘモグロビンのアロステリックな性状はその四次構造に由来する 71 |
ヒトの変異ヘモグロビンは、すでに数百種類も同定されている 75 |
医学との関連 77 |
まとめ 78 |
8 酵素:一般的性質-(市山 新) 80 |
はじめに 80 |
生医学的重要性 80 |
酵素は反応のタイプと反応機能に基づいて分類される 80 |
多くの酵素は補酵素を必要とする 81 |
酵素はある特定の反応かある特定のタイプの反応のみを触媒する 83 |
酵素の触媒としての活性が酵素の検出に役立つ 84 |
酵素の構造、機能、反応機構、調節についての理解は純粋な酵素を用いた研究から得られる 85 |
酵素は特定の細胞小器官に存在する 87 |
同一の触媒活性をもつが物理的に異なる酵素をアイソザイムという 88 |
ある種の血漿中の酵素の定量的解析は診断に役立つ 89 |
制限エンドヌクレアーゼは、遺伝病の診断に役立つ 90 |
制限酵素断片の検索により相同遺伝子間の異なる塩基配列の検出が可能である 91 |
触媒活性をもつRNA 91 |
まとめ 91 |
9 酵素:反応速度論-(市山 新) 93 |
はじめに 93 |
生医学的重要性 93 |
自由エネルギー変化が化学反応の進行方向と平衡状態を決定する 93 |
反応の進行は遷移状態を経由する 94 |
多くの因子が反応速度に影響を及ぼす 94 |
■酵素触媒反応の速度論■ 96 |
酸素は反応のエネルギー障壁を低下させるKeqには影響を及ぼさない 96 |
酵素触媒反応が活性部位で起こる 97 |
多くの要素が酵素触媒反応の測度に影響を及ぼす 100 |
初速度は酵素濃度に直接比例する 101 |
反応速度は基質濃度に直接比例する 101 |
基質濃度の影響はMichaelis-Mentenの式およびHillの式にしたがう 102 |
競合阻害と非競合阻害は反応速度論的解析によって区別される 105 |
まとめ 108 |
10 酵素:作用機構-(市山 新) 110 |
はじめに 110 |
生医学的重要性 110 |
キモトリブシンの”中間酵素過程”に酵素触媒の一般的な特徴が見られる 110 |
キモトリブシンの”中間酵素過程”はストップ-フロー装置を用いた研究により明らかにされた 111 |
補酵素は酵素触媒作用に直接関与する 112 |
触媒部位のアミノ酸残基が酸触媒または塩基触媒として作用する 113 |
部位特異的突然変異誘発は新しい洞察をもたらす 114 |
金属イオンは、基質との結合や触媒作用を促進する 114 |
まとめ 116 |
11 酵素:活性の調節-(市山 新) 118 |
はじめに 118 |
生医学的重要性 118 |
ホメオスタシスは代謝調節によりもたらされる 119 |
代謝の流れやその他の細胞機能は能動的にあるいは受動的に調節されている 119 |
酵素の区画化は能率のよい代謝のために有効であり、調節を容易にする 119 |
触媒能力の能動的調節のために広く用いられている二つに機構 121 |
酵素量の調節 122 |
タンバク質の代謝回路はすべての生命体で起こっている 123 |
触媒活性はさまざまな手段により調節されている 124 |
ある種の酵素はアロステリックエフェクターにより調節されている 124 |
フィードバック調節とフィードバック阻害は同義ではない 126 |
多くのホルモンはアロステリックエフェクターとして働く第二メッセンジャーを介して作用する 126 |
共有結合性修飾による調節には可逆的なものと不可逆的なものとがある 127 |
多くのプロテアーゼは不活性なプロ酵素として分泌される 127 |
哺乳動物の鍵酵素は可逆的な共有結合性修飾により調節されている 128 |
タンパク質リン酸化の用途は極めて広い 129 |
まとめ 130 |
Ⅱ 生体エネルギー学と糖質および脂質の代謝 |
12 生体エネルギー学:ATPの役割-(石村 巽) 134 |
はじめに 134 |
生医学的重要性 134 |
自由エネルギーとは利用可能なエネルギーである 134 |
吸エルゴン反応は発エルゴン反応に共役して進む 135 |
高エネルギーリン酸化合物はエネルギー獲得とエネルギー転移の両方に中心的な役割を果す 136 |
高エネルギーリン酸は、細胞の”エネルギー通貨(enegy currency)” 138 |
まとめ 140 |
13 生体酸化-(石村 巽 141 |
はじめに 141 |
生医学的重要性 141 |
自由エネルギーの変化は酸化還元電位で表すと便利である 141 |
酸化還元反応に関与する酵素を酸化還元酵素と呼ぶ 141 |
酸化酵素は酸素を水素の受容体として利用する 142 |
脱水素酵素はふつう酸素に水素を渡せない 142 |
ヒドロペルオキシダーゼは過酸化水素や有機化酸化物を基質にする 144 |
オキシゲナーゼ(酸素添加酵素)は分子状酸素(O2)に由来する酸素原子を基質へ挿入する 145 |
スーパーオキシド陰イオン遊離基が酸素毒性の原因である可能性は高い 146 |
まとめ 147 |
14 呼吸鎖と酸化物リン酸化-(石村 巽) 149 |
はじめに 149 |
生医学的重要性 149 |
酵素はミトコンドリア膜で仕切られた細胞内区画のマーカーになる 149 |
呼吸鎖は還元当量を集めてこれを酸化する 149 |
呼吸鎖は代謝によって生じたエネルギーの大部分を補足する 152 |
多くの毒物は呼吸鎖を阻害する 154 |
化学浸透圧仮説は酸化的リン酸化の機構をうまく説明する 155 |
ミトコンドリア内膜の選択的不透過性のために特殊な交換輸送体系が必要になる 156 |
臨床との関連 160 |
まとめ 160 |
15 生理的に重要な糖質-(小浪 悠紀子) 162 |
はじめに 162 |
生医学的重要性 162 |
糖質は多価アルコールのアルデヒドまたはケトン誘導化合物である 162 |
グルコースは生医学的に最も重要な単糖類である 162 |
マルトース、ショ糖(スクロース)、ラクトースは重要な二糖類である 168 |
多糖類は貯蔵および構造的機能において役立っている 168 |
糖質は細胞膜とリポタンバク質中に存在する 170 |
まとめ 171 |
16 生理的に重要な脂質-(山下 哲) 173 |
はじめに 173 |
生医学的重要性 173 |
脂質は単純脂質と複合脂質に分類される 173 |
脂肪酸は脂肪族カルボン酸である 173 |
トリアシルグリセロール(トリグリセリド)は主な脂肪酸貯蔵物質である 176 |
リン脂質は膜の主要な脂質成分である 177 |
糖脂質(スフィンゴ糖脂質)は神経組織と細胞膜において重要である 179 |
ステロイドは多くの生理的役割を果たす 180 |
脂質過酸化は遊離基の発生源である 182 |
クロマトグラフィー法により脂質は分離、同定される 183 |
両親媒性脂質は油/水界面においてひとりでに一定の方向に並ぶ 183 |
まとめ 183 |
17 中間代謝の概観-(橘 正道) 186 |
はじめに 186 |
生医学的重要性 186 |
基本的な代謝経路が消化の主要産物を処理する 186 |
代謝経路の研究は異なった編成レベルで研究される 188 |
代謝経路における中間体の流れは協調的に調節されねばならない 193 |
アロステリック機構とホルモン機構が酵素反応の代謝制御において重要である 193 |
まとめ 195 |
18 クエン酸回路:アセチル-CoAの異化-(小浪 悠紀子) 196 |
はじめに 196 |
生医学的重要性 196 |
クエン酸回路は呼吸鎖の基質をつくる 196 |
クエン酸回路の反応は還元当量とCO2を放出する 198 |
クエン酸回路が1回転すると12個のATPがつくられる 200 |
ビタミンはクエン酸回路で重要な役割を果す 201 |
クエン酸回路は代謝で中枢的な役割を果す 201 |
まとめ 203 |
19 解糖とピルビン酸酸化-(小浪 悠紀子) 205 |
はじめに 205 |
生医学的重要性 205 |
解糖は嫌気的条件下でも行われる 205 |
解糖の諸反応はグルコースを利用するための主要な経路からなる 206 |
ピルビン酸からアセチル-CoAへの酸化は解糖からクエン酸回路への不可逆な経路である 210 |
臨床との関連 213 |
まとめ 214 |
20 グリコーゲン代謝-(小浪 悠紀子) 215 |
はじめに 215 |
生医学的重要性 215 |
グリコーゲンの合成は主として筋肉と肝臓で起こる 215 |
グリコーゲン分解はグリコーゲン合成経路を逆行せず別の経路をとる 217 |
サイクリックAMPがグリコーゲン分解とグリコーゲン合成を全体としての調節している 218 |
グリコーゲン代謝は、グリコーゲンシンターゼとホスホリラーゼ間の活性のバランスで調節されている 221 |
臨床との関連 222 |
まとめ 222 |
21 糖新生と血糖の調節-(小浪 悠紀子) 224 |
はじめに 224 |
生医学的重要性 224 |
糖新生には解糖、クエン酸回路の他にいくつかの特別な反応が関係している 224 |
解糖と糖新生は同一であるが逆方向の経路を共有しているので、それらは相互に調節されることになる 227 |
血糖の濃度は狭い範囲で調節されている 230 |
血糖値は食餌や糖新生、グリコーゲン分解に由来する 230 |
臨床との関連 234 |
まとめ 235 |
22 ペントースリン酸経路とその他のヘキソース代謝経路-(小浪 悠紀子) 236 |
はじめに 236 |
生医学的重要性 236 |
ペントースリン酸経路はNADPHとリボースリン酸を生成する 236 |
ペントースリン酸経路の反応は細胞質ゾル中で起こる 236 |
ペントースリン酸経路はグルタチオンペルオキシダーゼを助けて溶血から赤血球を守る 240 |
プロテオグリカンやグルクロン酸抱合体の前駆体であるグルクロン酸はウロン酸経路の産物である 240 |
多量のフルクトースの摂取は代謝に大きな影響を及ぼす 242 |
ガラクトースは、ラクトース、糖脂質、プロテオグリカン、糖タンパク質の合成に必要である 242 |
臨床との関連 245 |
まとめ 247 |
23 脂肪酸の生合成-(山下 哲) 249 |
はじめに 249 |
生医学的重要性 249 |
脂肪酸の新規合成(ヂポゲネシス)の主経路は可溶性画分にある 249 |
脂肪酸の生合成は栄養状態で調節される 254 |
脂肪酸合成は短期的なメカニズムと長期的なメカニズムで調節される 255 |
まとめ 256 |
24 脂肪酸の酸化:ケトン体生成-(武富 保) 257 |
はじめに 257 |
生医学的重要性 257 |
脂肪酸の酸化はミトコンドリアで起こる 257 |
脂肪酸のβ酸化は次々に関裂を繰り返してアセチル-CoAを遊離する 258 |
脂肪酸のαおよびω酸化は特殊な経路である 261 |
不飽和脂肪酸の酸化は変容したβ酸化経路で起こる 261 |
ケトン体生成は肝の脂肪酸酸化が高速度のとき起こる 262 |
ケトン体生成は三つの重要な段階で調節される 265 |
臨床との関連 266 |
まとめ 267 |
25 不飽和脂肪酸とエイコサノイドの代謝-(武富 保) 269 |
はじめに 269 |
生医学的重要性 269 |
ある種の高度不飽和脂肪酸は哺乳動物によって合成されることができず、栄養学的に必須とされる 269 |
モノ不飽和脂肪酸は⊿9デサチィラーゼ系によって合成される 270 |
高度不飽和脂肪酸の合成にはデサテュラーゼおよびエロンガーゼ系が関与している 270 |
必須脂肪酸(EFA)が食餌中にないと欠乏症状を生ずる 271 |
エイコサノイドはC20高度不飽和脂肪酸から生成される 273 |
シクロオキシゲナーゼ経路はプロスタノイド合成にかかわっている 273 |
ロイコトリエンとリポキシンはリポキシゲナーゼ経路によって生成される 275 |
臨床との関連 275 |
まとめ 277 |
26 アシルグリセロールとスフィンゴ脂質の代謝-(武富 保) 279 |
はじめに 279 |
生医学的重要性 279 |
アシルグリセロールの異化は生合成の逆ではない 279 |
トリアシルグリセロールとホスホグリセロールはトリオースリン酸のアシル化によって生成される 279 |
全スフィンゴ脂質はセラミドから生成される 284 |
臨床との関連 286 |
まとめ 287 |
27 脂質の輸送と蓄積-(武富 保) 289 |
はじめに 289 |
生医学的重要性 289 |
脂質はリポタンバク質として血漿中を運搬される 289 |
遊離脂肪酸は非常に早く代謝される 292 |
トリアシルグリセロールは象徴からはキロミクロンで、肝からは超低密度リポタンバク質で輸送される 293 |
キロミクロンと超低密度リポタンバク質は急速に異化される 294 |
LDLはLDL受容体を介して代謝される 296 |
HDLは、リパタンバク質のトリアシルグリセロールとコレステロールの代謝に関与している 269 |
肝臓は脂質の輸送と代謝における中心的役割を果す 298 |
臨床との関連 299 |
脂肪組織は、身体におけるトリアシルグリセロールの主要な貯蔵庫である 301 |
ホルモンは脂肪動員を調節する 303 |
褐色脂肪組織は熱発生を促進する 305 |
まとめ 306 |
28 コレステロールの合成、輸送、そして排泄-(武富 保) 308 |
はじめに 308 |
生医学的重要性 308 |
コレステロールは食餌と生合成からほぼ等量由来する 308 |
コレステロール合成はHMG-CoAレダクターゼで調節される 312 |
多くの因子が反応速度に影響を及ぼす組織におけるコレステロールのバランスに影響する 313 |
組織間のコレステロールの輸送は血漿リポタンバク質による 314 |
最後には、コレステロールは肝臓に入り、そのままの状態あるいは胆汁酸(塩)として胆汁中に排泄される 316 |
臨床との関連 317 |
まとめ 319 |
29 代謝の統合と組織への燃料の補給-(山下 哲) 322 |
はじめに 322 |
生医学的重要性 322 |
すべての主要栄養素が相互変換されるわけではない 322 |
糖質代謝および脂質代謝の経済には個体全体が関係する 323 |
飢餓状態でも燃料は絶えず組織に供給される 324 |
主な代謝経路は非平衡反応を触媒する鍵酵素によって調節されている 326 |
個々の器官あるいは組織の代謝パターンは鍵酵素が存在するか否かで決まる 326 |
臨床との関連 327 |
まとめ 328 |
Ⅲ タンバク質およびアミノ酸の代謝 |
30 栄養学的非必須アミノ酸の生合成-(産賀 敏彦) 332 |
はじめに 332 |
生医学的重要性 332 |
栄養学的必須アミノ酸の生合成経路は長い 332 |
栄養学的非必須アミノ酸の生合成経路は短い 332 |
まとめ 337 |
31 タンバク質およびアミノ酸窒素の異化-(産賀 敏彦) 339 |
はじめに 339 |
生医学的重要性 339 |
タンバク質の代謝回転がすべての生命形態の特徴である 339 |
プロテアーゼとペピチダーゼはタンバク質をアミノ酸に分解する 340 |
動物はα-アミノ窒素をさまざまな最終産物に変換する 341 |
■尿素の生合成■ 341 |
L-グルタミン酸デヒドロゲナーゼは窒素代謝の中心的位置を占める 343 |
尿素はヒトにおける窒素異化の主要な最終産物である 345 |
尿素回路の各反応に代謝異常症が存在する 348 |
まとめ 349 |
32 アミノ酸の炭素骨格の異化-(産賀 敏彦) 351 |
はじめに 351 |
生医学的重要性 351 |
アミノ酸の異化によって糖質および脂質生合成の基質が生成する 351 |
典型的な最初の反応はα-アミノ酸の除去であることが多い 352 |
6種のアミノ酸がピルビン酸を生成する 356 |
12種のアミノ酸がアセチル-CoAを生成する 359 |
チロシン血症、チロシン尿症、およびアルカプトン尿症 361 |
フェニルアラニン異化の代謝異常症 364 |
メチオニン、イソロイシン、およびバリンはスクシニル-CoAに代謝される 369 |
3種の分枝鎖アミノ酸異化の最初の2反応は共通である 371 |
分枝鎖アミノ酸異化の代謝異常症 373 |
メチルマロニル-CoA異化の障害 375 |
まとめ 375 |
33 アミノ酸の特殊生成物への変換-(産賀 敏彦) 377 |
はじめに 377 |
生医学的重要性 377 |
グリシンは、グリシン抱合成、クレアチン、ヘム、pypびプリンの生合成に用いられる 377 |
α-アラニンは主要な血漿アミノ酸である 378 |
哺乳類はβ-アラニルシベピチドである 378 |
ホスホセリン、ホスホトレオニンおよびホスホチロシンが残基がタンバク質に存在する 379 |
S-アデノシルメチオニンは生合成反応におけるメチル基を供給する 379 |
尿中硫酸はシステインに由来する 379 |
ヒスチジンの脱炭酸反応でヒスタミンが生成する 379 |
オルニチン、したがってアルギニンがポリアミンを生成する 380 |
トリプトファンからセロトニンが生成する 381 |
メラニンはチロシン異化産物の重合体である 383 |
クレアチニン排泄は筋肉量に比例する 386 |
γ-アミノ絡酸の生成と代謝 387 |
まとめ 387 |
34 ポルフィリンと胆汁色素-(堀江 滋夫) 389 |
はじめに 389 |
生医学的重要性 389 |
金属ポルフィリンとヘムタンバク質は自然界にある重要な物質である 389 |
ヘムはスクシニル-CoAとクリシンから生合成される 391 |
ポルフィリンは有色で蛍光性がある 394 |
ポルフィリン症はヘム代謝の遺伝的異常である 395 |
ヘムの代謝分解によって胆汁色素が生成する 397 |
肝臓はピリルビンを取り込む 399 |
高ビリルビン血症は黄疸を引き起こす 400 |
まとめ 403 |
Ⅳ 情報高分子の構造・機能・複製 |
35 ヌクレオチド-(村松 正實) 406 |
はじめに 406 |
生医学的重要性 406 |
プリン、ピリミジンおよびそれらのヌクレオシドとヌクレオチドの化学 406 |
プリンとビリミジンはヌクレオシドとヌクレソチドを形成する 409 |
合成ヌクレオチド同族体は化学療法で使われている 413 |
ポリヌクリオチド 414 |
まとめ 415 |
36 プリンおよびビリミジンヌクオチドの代謝-(橘 正道) 417 |
はじめに 417 |
生医学的重要性 417 |
プリンとビリミジンは食餌成分として必須のものではない 417 |
■ピリングクレオチドの生合成■ 417 |
イノシン-リン酸(IMP)は両性中間体より合成される 417 |
ATPよりのホスホリル基転移により、モノヌクレオチドがヌクレオシドニおよび三リン酸に変わる 420 |
”サルベージ反応”によって遊離プリンとそのヌクレオシドはモノヌクレオチドに転換する 421 |
肝臓でのプリンヌクリオチド生合成はきびしく調節されている 422 |
NDPの還元によってdNDPが生ずる 422 |
■ピリミジンヌクレオチドの生合成■ 423 |
ウラシル、シトシンリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシドはサルベージされる 425 |
■ビリミジンヌクレオチド生合成の調節■ 426 |
ヒトはプリン体を尿酸へと異化する 426 |
痛風はプリン異化過程の代謝異常である 428 |
プリン異化代謝のその他の異常 428 |
ピリミジン異化は水溶性の代謝産物をつくる 429 |
ピリミジン分解物の産生過多が臨床的異常をもたらすことはまれである 430 |
まとめ 431 |
37 格酸の構造と機能-(村松 正實) 433 |
はじめに 433 |
生医学的重要性 433 |
DNAは遺伝情報を含んでいる 433 |
DNAは複製と転写のために鋳型を提供する 436 |
RNAの化学的性質はDNAのそれとは異なる 437 |
まとめ 442 |
38 遺伝子の構成、複製、修復-(中澤 淳) 444 |
はじめに 444 |
生医学的重要性 444 |
クロマチンは真核生物の細胞核から抽出される染色体物質である 444 |
クロマチン緻密な高次構造をとる 446 |
クロマチンの一部は”活性状態”にあり一部は”不活性状態”にある 446 |
DNAは染色体の中に組み込まれている 447 |
多くの哺乳類ゲノムには余分の部分がありかなりの部分は転写されない 449 |
遺伝物質は変化したり、編成変えを起こしたりする 451 |
DNAの合成と複製は厳密に制御されている 454 |
まとめ 466 |
39 RNAの合成、プロセシング、および代謝-(中澤 淳) 467 |
はじめに(生医学的重要性) 467 |
RNAには4種類ある 467 |
RNAはRNAポリメラーゼにより鋳型DNAから合成される 467 |
RNA合成には開始、鎖伸長、終結過程がある 469 |
忠実な転写とその頻度は特定のDNA配列に結合するタンバク質により制御される 470 |
真核生物の転写複合体 473 |
クラスⅢ遺伝子ではシス作動性DNAが遺伝子内部に存在する 477 |
RNA分子はしばしば機能を発揮する前にプロセシングを受ける 477 |
RNAは広汎な修飾を受ける 480 |
RNAは触媒として働き得る 482 |
まとめ 482 |
40 タンバク質生合成と遺伝暗号-(上代 淑人) 484 |
はじめに 484 |
生医学的重要性 484 |
遺伝情報は、DNAからRNAにRNAからタンバク質にと伝えられる 484 |
mRNA分子上のヌクレオチド配列はそのコードするタンバク質のアミノ酸配列を規定する一連のコドンから形成されている 485 |
遺伝暗号は、縮重、非曖昧、非重複、非句点であり、普遍性をもっている 485 |
20種のアミノ酸それそれに対し少なくとも1種類の転移RNA(tRNA)分子が存在する 486 |
変異はヌクレオチド配列の変化によって起こる 487 |
タンバク質生合成は三つの段階、すなわち開始、伸長、終結に分けて記述できる 491 |
タンバク質の翻訳後プロセシングによって多くのタンバク質の活性に変化が生ずる 499 |
多くの抗生物質は、バクテリアのタンバク質合成を選択的に阻害することによって作用する 499 |
まとめ 500 |
41 遺伝子発現の制御-(上代 淑人) 502 |
はじめに 502 |
生医学的重要性 502 |
遺伝子の調節された発現が発生、分化、および適応に必要である 502 |
生体系は調節シグナルに対応して3種類の時間的応答を示す 503 |
真核細胞の遺伝子の転写の調節における特徴 511 |
いくつかのモチーフが調節タンバク質のDNAへの結合を媒介する 515 |
これらの調節タンバク質のDNA結合トメインとトランス活性化ドメインとは独立していて相互作用をもたない 517 |
原核細胞と真核細胞における遺伝子調節はいくつかの重要な面で異なっている 519 |
まとめ 523 |
42 組換えDNA技術-(中澤 晶子) 524 |
はじめに 524 |
生医学的重要性 524 |
DNAの基本構造の解明により組換えDNA技術が開発された 524 |
組換えDNA技術とはDNAを単離・操作してキメラ分子をつくることである 526 |
組換えDNA技術の応用は無数にある 533 |
まとめ 539 |
用語の解説 539 |
Ⅴ 細胞外および細胞内情報伝達の生化学 |
43 生体膜:構造、形成、機能-(野澤 義則) 544 |
はじめに 544 |
生医学的重要性 544 |
細胞内および細胞外の正常な環境を維持することは生命にとって基本的なことである 544 |
生体膜は、脂質、タンバク質、糖質から構成される複雑な構造物である 545 |
人工膜は膜機能を調べるモデルとして使われている 549 |
流動モザイク膜モデルは広く受け入れられている 550 |
膜の会合は複雑である 551 |
特殊機能は膜の選択性により発揮される 562 |
形質膜は、促進拡散、能動輸送、および他のプロセスに関与している 565 |
膜タンバク質に影響する変異は疾患をもたらす 570 |
まとめ 571 |
44 ホルモンの作用-(松尾 壽之・本澤 真弓) 572 |
はじめに 572 |
生医学的重要性 572 |
ホルモン受容体は最も重要である 572 |
ホルモンは種々の観点から分類される 573 |
グループⅠホルモンは細胞内受容体を有し遺伝子の発現に影響を及ぼす 574 |
グループⅡ(ペプチド)ホルモン類は膜受容体に結合し細胞内メッセンジャーをもつ 579 |
まとめ 587 |
45 下垂体および視床下部ホルモン-(松尾 壽之・本澤 真弓) 589 |
はじめに 589 |
生医学的重要性 589 |
視床下部ホルモンは下垂体前葉を制御している 589 |
下垂体前葉は、多様な生理的プロセスを促進する多くのホルモンを産生している 591 |
下垂体前葉は二つの活性ホルモンパソブレッシンとオキシトシンを含む 597 |
まとめ 599 |
46 甲状腺ホルモン-(堀江 滋夫) 601 |
はじめに 601 |
生医学的重要性 601 |
甲状腺ホルモンの生合成にはチログロプリンとヨウ素の代謝が含まれる 601 |
甲状腺ホルモンは甲状腺ホルモン結合グロプリンによって輸送される 604 |
甲状腺ホルモンは細胞核で働く機構を介して作用する 605 |
いろいろな甲状腺疾患の病態生理はTSH、T3、およびT4と関連している 605 |
まとめ 606 |
47 カルシウム代謝を調節するホルモン-(野澤 義則) 608 |
はじめに 608 |
生医学的重要性 608 |
カルシスムは骨や細胞外液に存在する 608 |
カルシウムホメオスタシスに関与する主な二つのホルモン 609 |
1,25〔OH〕2-D3はカルシウムホメオスタシスに対してさまざまな作用をする 612 |
人体のカルシウムホメオスタシスにおけるカルシトニン(CT)の働きは不明である 615 |
まとめ 615 |
48 副腎皮質のホルモン-(奥田九一郎) 617 |
はじめに 617 |
生医学的重要性 617 |
副腎皮質は3種のホルモンをつくる 617 |
特殊な命名法によりステロイドの化学は記述される 618 |
副腎ステロイドホルモンの生合成には数個の酵素が関与している 618 |
副腎ステロイドホルモンの分泌、輸送、代謝は需要に対応する 621 |
副腎ステロイドホルモン合成は異なるメカニズムにより調節されている 623 |
副腎皮質ホルモンは多数かつ多彩な代謝的影響を示す 625 |
副腎ステロイドホルモンは細胞内受容体に結合する 625 |
副腎皮質の病理 629 |
まとめ 630 |
49 副腎髄質のホルモン-(奥田九一郎) 632 |
はじめに 632 |
生医学的重要性 632 |
カテコールアミンホルモンはフェニルエチルアミンの3,4-ジヒドロキシ誘導体である 632 |
カテコールアミン酸は貯蔵され放出される 634 |
カテコールアミンはすみやかに代謝される 634 |
神経刺激がカテコールアミンの合成を調節している 636 |
カテコールアミンは作用機構によって分類される 636 |
カテコールアミン受容体と視覚応答系の間には機能的相似性がある 636 |
褐色細胞腫は副腎髄質の腫瘍である 637 |
まとめ 637 |
50 性腺ホルモン-(奥田九一郎) 638 |
はじめに 638 |
生医学的重要性 638 |
精巣はテストステロンと精子を産生する 638 |
精巣機能の調節は多ホルモン的である 642 |
男性生殖系の病態生理はホルモン欠如に関係している 643 |
卵巣は女性ホルモンおよび女性生殖細胞を産生する 644 |
女性生殖系の成熟と維持が卵巣ホルモンの主たる機能である 646 |
女性生殖系のある種の病態生理はホルモンと関連している 652 |
まとめ 653 |
51 膵臓および消化管ホルモン-(松尾 壽之・本澤 真弓) 654 |
はじめに 654 |
生医学的重要性 654 |
膵臓ホルモンにはインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵ポリベプチドがある 655 |
IGF-ⅠおよびIGF-Ⅱは構造も作用もインスリンと関係が深い 668 |
グルカゴンはインスリンのアンタゴニストである 668 |
ソマトスタチンは成長ホルモンの分泌を抑制する 669 |
膵ポリペプチドの作用は不明である 670 |
消化管ホルモンは数多い 670 |
まとめ 671 |
Ⅵ 持論 |
52 水溶性ビタミンの構造と機能-(川崎 尚) 674 |
はじめに 574 |
生医学的重要性 574 |
B群ビタミンは酵素反応の補欠因子 674 |
チアミン 674 |
リボフラビン 675 |
ナイアシン 676 |
パントテン酸 678 |
ビタミンB6 679 |
ビオチン 679 |
ビタミンB12 682 |
葉酸 685 |
アスコルビン酸(ビタミンC) 687 |
まとめ 688 |
53 脂溶性ビタミンの構造と機能-(清水 孝雄) 690 |
はじめに 690 |
生医学的重要性 690 |
ビタミンA 690 |
ビタミンD 693 |
ビタミンE(トコフェロール) 695 |
ビタミンK 698 |
まとめ 700 |
54 栄養-(手塚 統夫) 702 |
はじめに 702 |
生医学的重要性 702 |
栄養必要量はいま、こう決められている 702 |
身体機能すべての原動力としてエネルギーが要求される 702 |
タンバク質は重要な窒素化合物を合成するために必要な特定のアミノ酸やアミノ窒素を供給する 704 |
グルコース必要量は多くの糖質で置きかえ得る 705 |
健康のため維持が必要である 706 |
脂質は、脂溶性ビタミンの運び屋としてまた必須脂肪酸の供給のために必要である 706 |
ビタミンは多彩な生化学機能を演じている 706 |
ミネラルは生理学的および生化学的機能のために必要である 707 |
推奨すべき食物摂取量(RNA) 707 |
まとめ 708 |
55 消化および吸収-(手塚 統夫) 712 |
はじめに 712 |
生医学的重要性 712 |
消化は口腔で始まる 712 |
タンバク質の消化は胃で始まる 712 |
消化は腸内で継続する 714 |
栄養素は、消化管からの吸収により門脈あるいはリンパ管に移っていく 717 |
大腸内細菌は腐敗と発酵を引き起こす 721 |
臨床との関連 723 |
まとめ 725 |
56 糖タンバク質-(手塚 統夫) 726 |
はじめに 726 |
生医学的重要性 726 |
糖タンバク質は、広い範囲に存在し多くの機能をもっている 726 |
オリゴ糖鎖は生物学的情報を担っている 727 |
糖タンバク質の、検出、精製、および構造解析を行う技術がある 727 |
ヒトの糖タンバク質中では8種の糖が主流である 727 |
糖ヌクレオチドは多くの生合成反応で糖供与体として働く 727 |
エキソグリコシダ-ゼやエンドグリコシダ-ゼは、糖タンバク質の研究に有用である 729 |
哺乳類のアシアロ糖タンバク質受容体は肝細胞による血漿糖タンバク質のあるものの除去に関係している 729 |
レクチンは、糖タンバク質を精製したりその機能を調べたりするのに用い得る 729 |
糖タンバク質には三つの主なクラスがある 730 |
糖タンバク質ははいくつかのタイプのΟ-グリコシド結合を含む 731 |
N-結合型糖タンバク質はAsn-G1cNAc結合を含む 733 |
ある種のタンバク質はグリコシルホスファチジルイノシトール構造によって細胞膜に固着している 739 |
糖タンバク質は多くの生化学的過程や多くの病気に関係している 740 |
まとめ 745 |
57 細胞外マトリックス-(手塚 統夫) 747 |
はじめに 747 |
生医学的重要性 747 |
コラーゲンは、動物界で最も多量に存在するタンバク質である 747 |
コラーゲンⅠは三重鎖ヘリックス構造をもち維持を形成する 748 |
エラスチンは、肺、血管、腱に伸展性と弾力性を与える 751 |
Marfan症候群は、微細細維持中に存在するタンバク質、フィプリリンの遺伝子の突然変異によって起こる 752 |
フィプロネクチンは、細胞の接着や遊走に関係する重要な糖タンバク質である 752 |
ラミニンは腎糸球体やその他の基底膜の主要タンバク質成分である 753 |
プロテオグリカンとグリコサミノグリカン 754 |
骨はミネラル化した結合組織である 760 |
多くの代謝異常や遺伝子異常が骨に関係する 763 |
軟骨の主成分はⅡ型コラーゲンとある種のプロテオグリカンである 764 |
軟骨形成異常症、Ⅱ型コラーゲンおよび繊維芽細胞増殖因子受容体遺伝子突然変異の分子的基礎 764 |
まとめ 766 |
58 筋肉と細胞骨格-(手塚 統夫) 768 |
はじめに 768 |
生医学的重要性 768 |
筋肉は、化学的エネルギーを機械的エネルギーに変換する 768 |
アクチンとミオシンが筋肉を構成する主要タンバク質である 771 |
ミオシン頭部のコンホメーションの変化が筋収縮を駆動する 773 |
ティティンは知られている最も大きいタンバク質で、これおよびその他の補助タンバク質が筋肉の構造と機能にとって重要である 777 |
心筋は多くの点で骨格筋と似ている 778 |
筋肉のATPはいくつかの機序で補充される 784 |
骨格筋は攣縮の遅い(赤色)繊維と速い(白色)繊維を含んでいる 786 |
骨格筋は主要な体貯蔵タンバク質である 787 |
細胞骨格は多彩な細胞機能を行う 788 |
まとめ 790 |
59 血漿タンバク質、免疫グロブリン、および血液凝固-(東 悳彦) 792 |
はじめに 792 |
生医学的重要性 792 |
血液は多くの機能を営んでいる 792 |
血漿には多種多様なタンバク質が含まれている 792 |
血漿の免疫グロブリンは生体防御機構の主役である 801 |
止血および血栓形成には共通した三つの過程がある 807 |
まとめ 817 |
60 赤血球および白血球-(小澤 敬也) 819 |
はじめに 819 |
生医学的重要性 819 |
赤血球は単純な構造と機能をもつ 819 |
多くの増殖因子が白血球の産生を調節している 821 |
赤血球の代謝は特徴的で比較的単純なものである 821 |
ヒト赤血球膜はヒトの細胞膜の中で最も詳しく調べられている 825 |
血液型システムには、ABO式、Rh式、MN式などのさまざまなものがある 828 |
A遺伝子はGa1NAcトランスフェラーゼを、B遺伝子はGa1トランスフェラーゼを、O遺伝子は活性をもたない酵素を、それぞれコードしている 829 |
溶血性貧血の原因には、赤血球の外の異常、赤血球膜の異常、赤血球内の異常がある 830 |
好中球は活発な代謝を行い、いくつかのユニークな酵素やタンバク質をもっている 830 |
組換えDNA技術は血液学に大きな影響を与えてきた 835 |
まとめ 835 |
61 生体異物の代謝-(富永 眞一) 837 |
はじめに 837 |
生医学的重要性 837 |
人類は、代謝し排泄すべき数多くの生体異物に遭遇している 837 |
無数の生体異物が、代謝の第1段階でシトクロムP450群により水酸化を受ける 838 |
抱合反応は、生体異物がその代謝の第2段階で排泄されるための準備である 840 |
生体異物を代謝する酵素の活性は、年齢、性別、その他の因子により影響を受ける 841 |
生体異物への反応には、薬理学的効果、毒性、免疫学効果、発癌性などが含まれる 842 |
まとめ 843 |
62 癌、癌遺伝子、および増殖因子-(上代 淑人) 845 |
はじめに 845 |
生医学的重要性 845 |
物理的、化学的、および生物学的要因によって癌が起こる 845 |
悪性形質変換に伴って形態上の変化と生化学的変化が起こる 849 |
癌遺伝子は発癌の上で重要な役割を果している 850 |
ポリベプチド性の増殖因子は細胞分裂を誘起する 857 |
RBIと呼ばれる癌抑制遺伝子が網膜芽腫の成因に関与している 859 |
p53癌抑制遺伝子は遺伝子の番兵として働いている 860 |
結腸直腸癌の遺伝モデルは、癌の発生のためには少なくとも5種類あるいは6種類の遺伝子の変異が必要なことを示唆している 861 |
APCタンバク質とβ-カテニンをコードする遺伝子の変異によってC-MYCの活性化が起こる 862 |
ミスマッチ塩基対の修復遺伝子は遺伝性の非腺腫性大腸癌に関与している 863 |
癌に対する感受性を増加させるような多くの遺伝子が単離されている 865 |
腫瘍細胞の悪性度は進行する傾向を示す 865 |
癌の化学療法に用いられる薬剤は多くの生化学的側面で働く 866 |
P-糖タンバク質は癌化学療法における多剤抵抗性に重要な役割を果す 867 |
テロメラーゼは多くの癌細胞のみならず、増殖しつつある正常細胞でも活性化されている 868 |
転移は腫瘍細胞のもつ最も危険な性質である 869 |
生化学的臨床検査は癌患者の管理に必須である 870 |
まとめ 871 |
63 病気の生化学的、遺伝的基礎-(富永 眞一) 872 |
はじめに 872 |
健康および病気の生化学的基礎を解明することが、合理的な治療につながる 872 |
すべての病気には生化学的基礎がある 872 |
生化学的観点から病気を考える場合には重要な六つの点 873 |
ほとんどの遺伝病は、今後10年間のうちに分子レベルで解明されるようになるだろう 875 |
少なくとも18種類の微生物の全ゲノム構造は1998年秋までに決定されている 883 |
治療可能な遺伝病もある 883 |
まとめ 889 |
64 神経精神疾患の生化学的基礎-(井原 康夫) 891 |
はじめに 891 |
生医学的重要性 891 |
重症筋無力症を理解するためには神経筋接合部の分子機構を理解することが必要である 891 |
Huntington病は遺伝する 894 |
興奮毒および他の生化学的機構が脳卒中による脳障害に関係している 897 |
ミトコンドリアDNAの変異は、ミオパチーおよび神経疾患の原因となる 897 |
染色体脆弱部位および種々の慢性神経変性疾患はトリプレットリピート拡大で起こる 899 |
Parkinson病の徴候は黒質と線条体のドーパミン欠乏を反映している 901 |
Alzheimer病患者の脳にはアミロイドβタンバクが沈着する 904 |
遺伝的要因、神経発生要因、ドーパミン系および他の因子が、精神分裂病の発症に関係しているらしい 906 |
多くの神経精神疾患を分子レベルで解明する技術はすでに手中にある 909 |
まとめ 909 |
65 生化学的病歴-(富永 眞一) 911 |
はじめに 911 |
症例1:色素性乾皮症 911 |
症例2:クワシオルコル 912 |
症例3:コレラ 914 |
症例4:心筋梗塞 915 |
症例5:急性エタノール中毒 918 |
症例6:Duchenne型筋ジストロフィー 919 |
症例7:嚢胞性繊維症 921 |
症例8:アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損による重症複合免疫不全(SCID) 924 |
症例9:ケトアシドシースを伴うⅠ型糖尿病 925 |
症例10:原発性ヘモクロマトーシス 927 |
A 付録-(富永 眞一) 930 |
■血液および体液の化学的構成成分■ 930 |
■主要臨床検査正常値(全血〔B〕、血漿〔P〕、血清〔S〕、尿〔U〕)■ 931 |
血液学 931 |
臨床化学 932 |
血清または血漿中のホルモン 934 |
腎機能検査 935 |
■有用なWWWサイト(World Wide Web Sites) 935 |
生物学、医学関係の文献の利用 935 |
一般のサイト 935 |
特殊サイト、これらのほとんどは他への有用な連係を提供している 936 |
略号および索引 |
略号-(富永 眞一) 940 |
索引 947 |
事項索引 947 |
病名索引 979 |