序 遠藤斗志也 12 |
歴史編 |
1. 研究の歴史 渾沌の前史から「タンパク質の一生」研究が開花するまで 遠藤斗志也, 吉久 徹, 森 和俊, 田口英樹 12 |
1. タンパク質の細胞内輸送の歴史 12 |
1) 細胞生物学の夜明け 12 |
2) シグナル仮説 13 |
3) トランスロコン (膜透過装置) による輸送 14 |
4) 膜を介した物質輸送メンブレントラフィック 16 |
2. シャペロンと品質の管理の歴史 16 |
1) Anfinsenのドクマ 16 |
2) 熱ショックタンパク質(Hsp)と熱ショック応答 17 |
3) 一生の介添え役, 分子シャペロン 19 |
4) 品質管理という概念 20 |
5) 小胞体ストレス解消のためにUPR 20 |
6) 小胞体内の掃除役, ERAD 21 |
3. 秩序ある凝集の歴史 22 |
1) プリオン仮説とアミロイドーシス 23 |
2) 拡大するプリオンの概念 23 |
2. ブレイクスルーとなった実験法を中心に そのとき「タンパク質の一生」研究の歴史が動いた 遠藤斗志也, 吉久 徹, 森 和俊, 田口英樹 25 |
1. 輸送とシャペロン: 40年間現役の無細胞翻訳系 25 |
2. 輸送: 小胞輸送研究の両輪となった実験系 26 |
1) 出芽酵母の遺伝学的解析 26 |
2) 培養細胞のin vitro アッセイ系 27 |
3) 補いあう2つの手法 28 |
3. シャペロン: 王道の試験管内実験と最新イメージング技術 29 |
1) 基本の試験管内フォールディング実験 29 |
2) アイデアを駆使した実験系と成果 30 |
3) 最新1分子蛍光イメージング技術 31 |
4. 品質管理: 古くて新しい酵母遺伝学解析の切れ味 31 |
1) 出芽酵母によるブレイクスルー 31 |
2) 酵母変異株の重要な貢献 32 |
5. 品質管理: ゲノム時代の新たなアプローチ 32 |
1) ゲノム情報から発見されたPERK 32 |
2) マイクロアレイ解析が明かすUPRの標的遺伝子 32 |
6. プリオン/アミロイド研究: 秩序ある凝集を調べる古典的手法とGFPの活用 34 |
1) アミロイドを特異的に検出する 34 |
2) GFP融合タンパク質のアミロイド化を観察する 35 |
レビュー編 |
第1章 フォールディング入門-タンパク質の構造や機能の基盤 櫻井一正, 後藤祐児 38 |
1 フォールディングと折り紙 38 |
2 フォールディング経路と中間体の探索 40 |
3 速いフォールディングと, 理論と実験の融合 42 |
1) 中間体のない"速い"フォールディング 42 |
2) 理論と実験の融合による研究の前進 42 |
4 遅いフォールディングとアミロイド線維形成 44 |
1) 大きなタンパク質にみられる中間体の役割 44 |
2) もう1つの安定状態: アミロイド線維 46 |
5 新たな潮流, 一分子フォールディングと可視化 46 |
6 広がっていくフォールディング研究 47 |
第2章 分子シャペロンの作動原理 元島史尋, 吉田賢右 49 |
1 分子シャペロンとは 49 |
2 分子シャペロンの作用機構 51 |
3 シャペロニン 52 |
4 Hsp70システム 53 |
5 Hsp104 55 |
6 フォールディングメカニズム解明への期待 56 |
第3章 ブローベル・コード-交通管制という問題 遠藤斗志也 58 |
1 タンパク質の交通管制システム 58 |
2 ブローベル・コード 59 |
1) 同定しにくい行き先シグナルの実体 59 |
2) ミトコンドリア行きシグナルの認識機構 60 |
3 トランスロコンの孔 61 |
1) トランスロコンの孔の構造 61 |
2) Sec型トランスロコンの二量体の意義 62 |
4 交通管制システムの進化 62 |
1) 複数のトランスロコンの連携 62 |
2) ミトコンドリアの交通管制システム 62 |
3) 葉緑体の交通管制システム 64 |
4) 交通管制システムに残る細胞構造の進化 65 |
5 トランスロコンの分子モータ 65 |
6 今後の研究の展開 66 |
第4章 細胞機能を支える巧みな物流管理システム-エンドメンブレンシステムにおける小胞輸送の分子メカニズム 佐藤 健, 佐藤美由紀 68 |
1 小胞輸送の基本反応 68 |
2 輸送小胞の接着, 融合機構 69 |
3 小胞を介した選別輸送の分子メカニズム 71 |
1) 新生タンパク質の輸送 71 |
2) ゴルジ体以降の輸送経路 73 |
3) 細胞外からの物質輸送: エンドサイトーシス 74 |
4 今後の展望 75 |
第5章 細胞品質管理に関与するタンパク質ジスルフィドネットワ-ク 稲葉賢次, 伊藤継昭 77 |
1 大腸菌におけるタンパク質ジスルフィドネットワーク 78 |
1) ジスルフィド結合導入システム 78 |
2) ジスルフィド結合を組換える異性化システム 80 |
2 小胞体におけるタンパク質ジスルフィドネットワーク 80 |
1) 酵母でのジスルフィド結合導入システム 80 |
2) 謎の多いジスルフィド異性化システム 81 |
3 ミトコンドリアにおけるタンパク質ジスルフィドネットワーク 83 |
第6章 タンパク質の品質管理機構 永田和宏 86 |
1 タンパク質の品質管理で視野にいれるべきポイント 87 |
2 小胞体における4つの品質管理戦略 88 |
1) "工場"に例えられる品質管理戦略 88 |
2) 小胞体品質管理の制御機構 89 |
3 研究が進む小胞体管理分解(ERAD)の仕組み 90 |
1) ERADの分子機構 90 |
2) 逆輸送チャネルを構成する正体は? 90 |
4 サイトゾルにおける品質管理 91 |
1) 再生か分解か: トリアージと品質管理 91 |
2) 凝集体形成にかかわる品質管理機構 91 |
5 品質管理機構の重要性 93 |
第7章 品質管理にかかわる細胞応答の仕組み 森 和俊 95 |
1 品質管理に失敗すると? 95 |
2 さまざまな細胞応答機構 96 |
1) 熱ショック応答 96 |
2) 小胞体ストレス応答(UPR) 97 |
3 今後の研究の展望 103 |
第8章 シャペロンと分解の交差点-AAA⁺プロテアーゼによるシャペロン・パワード・プロテオリシス 龍田高志 105 |
1 プロテアーゼの"戦略"と基本機構 106 |
1) 刃は危ないので隠す 107 |
2) 穴に引きずり込む 107 |
3) いらないものだけを捕らえる 107 |
2 基質の解きほぐしと分解の機構 107 |
1) 穴の中のフレキシブル・ループ 109 |
2) 基質の送り込みと解きほぐしの共役 110 |
3) プロテアーゼ活性中心にいたるゲートの開閉 110 |
4) ATPの加水分解を機械的な動きに変換する機構 110 |
3 基質認識機構 111 |
1) 基質の標識と認識配列 111 |
2) アダプタータンパク質 112 |
3) 基質結合ドメイン 112 |
4) 基質選択性の謎 112 |
第9章 秩序ある凝集: アミロイドとプリオン 田口英樹 116 |
1 秩序ある凝集と無秩序な凝集 116 |
2 病気・ 非病気におけるアミロイド・ プリオン 117 |
1) アミロイドーシス 117 |
2) 哺乳類プリオン 118 |
3) 酵母プリオン 118 |
4) 疾病と関係ないタンパク質によるアミロイド 118 |
3 アミロイド・プリオンの構造と形成機構 119 |
1) 分子間βシートがアミロイド・プリオン線維の骨格 119 |
2) アミロイド線維成長機構 120 |
4 細胞内での秩序ある凝集 122 |
1) 細胞内でのアミロイド・プリオン 122 |
2) 秩序ある凝集とシャペロンの接点 122 |
5 アミロイド・プリオンは単なるやっかいものか? 122 |
1) アミロイド・プリオンによるタンパク質機能の拡張 123 |
2) プリオンとアミロイドの違いは? 124 |
6 拡大する「秩序ある凝集」の世界 124 |
最新トピックスがわかるUP TO DATE |
1 変性していることが普通の機能性タンパク質 (櫻井一正、後藤祐児) 128 |
2 せまい方が安定? (櫻井一正、後藤祐児) 129 |
3 タンパク質はシャペロニンのゆりかごでどんな夢を見るか? (元島史尋、吉田賢右) 129 |
4 新生タンパク質の歩留まりは? (元島史尋、吉田賢右) 130 |
5 トランスロコンはどうやって組立てられるのか (遠藤斗志也) 130 |
6 小胞輸送の起源は何か? (佐藤 健,佐藤美由紀) 131 |
7 ゴルジ体層板間輸送をめぐる論争(佐藤 健,佐藤美由紀) 131 |
8 まだまだ見つかる Protein Disulfide Isomerase (PDI) の新しい機能(稲葉謙次,伊藤継昭) 132 |
9 シャロペンとの病態の接点 (久保田広志,永田和宏) 133 |
10 品質管理の切り札 : 核における品質管理(久保田広志,永田和宏) 134 |
11 アミロイド病とトランスサイレチン変異体(久保田広志,永田和宏) 134 |
12 いかに小胞体ストレスを感知するか? (森 和俊) 135 |
13 哺乳動物では前駆体も駆り出される (森 和俊) 135 |
14 小胞体ストレスで膜も増加する (森 和俊) 136 |
15 基質に埋め込まれた "うなぎ" 配列 (龍田高志) 137 |
16 神経変性を引き起こす真犯人は? (田口英樹) 138 |
17 プリオンによるプリオンの誘発 (田口英樹) 138 |
18 水と油のコラボ: 膜タンパク質の加水分解 (秋山芳慶) 139 |
19 シャロペン界の偶像破壊者AAA型シャロペン (小椋 光) 139 |
20 どこが違う? 植物の品質管理 (嶋田知生) 140 |
21 ユビキチン化酵素は異常タンパク質ハンターか? (白根道子) 141 |
22 ERADとオートファジーの密かな関係 (野田健司) 141 |
索引 143 |
序 遠藤斗志也 12 |
歴史編 |
1. 研究の歴史 渾沌の前史から「タンパク質の一生」研究が開花するまで 遠藤斗志也, 吉久 徹, 森 和俊, 田口英樹 12 |