序文 |
第1章 地球内部の水とその循環 1 |
1.1 沈み込み帯の水の役割(笠原順三) 2 |
1.1.1 海洋地殻と海溝軸付近の非地震域 2 |
(1)沈み込み以前のプレートの構造 2 |
(2)沈み込み近傍の構造と特徴 3 |
(3)デコルマの実体と水 5 |
1.1.2 沈み込み帯の地震とプレート境界の固着度 7 |
(1)地震発生域 7 |
(2)プレート間の固着の違いとすべり 9 |
1.1.3 蛇紋岩とプレート沈み込みに伴う水の挙動 10 |
(1)蛇紋岩海山の意義 10 |
(2)沈み込む海洋地殻物質と水 11 |
(3)水の移動と水のもたらすその他の効果 12 |
1.2 沈み込み帯の温度構造と水循環・火成作用(岩森 光) 14 |
1.2.1 沈み込み帯における水循環の重要性 14 |
1.2.2 沈み込み帯の流れ・温度構造 16 |
1.2.3 水の循環とマグマの生成 21 |
1.2.4 モデルと地震波速度構造・火山分布との比較 27 |
(1)東北日本 30 |
(2)中部日本 33 |
(3)四国~北九州 34 |
1.2.5 まとめ 35 |
1.3 水が関係した相転移と部分溶融(小野重明) 38 |
1.3.1 相平衡の基礎と含水鉱物 38 |
1.3.2 スラブの内部の水と相平衡 44 |
(1)泥質堆積岩の反応 44 |
(2)玄武岩質地殻物質の沈み込みと水 46 |
(3)レールゾライト質岩石と水 47 |
(4)ハルツバージャイトと水 50 |
1.3.3 スラブの沈み込みに伴う水の量の変化 50 |
1.4 マントル内部物質の物性に及ぼす水の影響(唐戸俊一郎) 55 |
1.4.1 地震波伝播と水 56 |
(1)直接的効果 56 |
(2)間接的効果:塑性変形と地震波伝播 57 |
1.4.2 いくつかの応用例 68 |
(1)(平均)速度異常からの水の分布の推定 68 |
(2)異方性からの水の分布の推定 69 |
1.4.3 部分溶融の効果 72 |
1.4.4 まとめ 73 |
コラム 地震発生域のアナログとしての活地熱地帯 岩手県葛根田地熱地域(藤本光一郎) 76 |
第2章 水の特性と地球構成鉱物の性質 79 |
2.1 水と水溶液の化学的特異性(河村雄行) 80 |
2.1.1 水の性質の特異性 80 |
2.1.2 水の特異性の起源 82 |
2.1.3 水と氷 87 |
2.1.4 水溶性の性質 90 |
2.1.5 岩石・鉱物・マグマと水 94 |
2.2 超臨界水(土屋範芳) 98 |
2.2.1 臨界点と超臨界状態 98 |
2.2.2 超臨界状態の水 99 |
2.2.3 超臨界状態のH2Oの反応性 岩石/熱水相互作用 101 |
2.2.4 地殻流体の超臨界状態 104 |
2.3 粘土の透水性と変形の力学(河村雄行・市川康明) 106 |
2.3.1 粘土鉱物の結晶化学 106 |
(1)スメクタイトの結晶化学 108 |
(2)高分子としてのスメクタイトの構造 109 |
(3)蛇紋石族の構造 111 |
2.3.2 スメクタイトの物性 112 |
(1)X線回折実験によるスメクタイトの膨潤性 113 |
(2)分子動力学法シミュレーションによるスメクタイトの水和と膨潤 114 |
2.3.3 スメクタイト表面近傍での水・水溶液の挙動 118 |
2.3.4 均質化法(HA)によるミクロ・マクロ解析と透水挙動 120 |
(1)ベントナイト粘土の二次元浸透解析 121 |
2.3.5 透水場が支配する変形場の解析 123 |
(1)飽和地盤の一次元有限歪み圧密理論 123 |
(2)圧密実験の解析 127 |
解説 多孔質体中の流れに対する多段階均質化解析 130 |
2.4 地殻浅部での水の移動(徳永朋祥) 135 |
2.4.1 はじめに 135 |
2.4.2 地下水の流動過程の物理 135 |
(1)地下水流れの構成関係(ダルシーの法則) 135 |
(2)地下水流動の支配方程式 143 |
2.4.3 被圧帯水層と不圧帯水層 147 |
2.4.4 地震に伴う地下水の変動 151 |
(1)地震時の地殻歪みの再配分に伴う間隙水圧の変化と地下水流動 151 |
(2)地震に伴う浸透率の変化とそれに伴う地下水流動 152 |
2.5 粒界と水(鳥海光弘) 155 |
2.5.1 界面の熱力学 155 |
2.5.2 界面エネルギーの温度変化 156 |
2.5.3 界面エネルギーと粒成長則 157 |
2.5.4 ノイマンの三角形と2面角 158 |
2.5.5 多結晶体の組織平衡と2面角 159 |
2.5.6 亜結晶境界を持つ多結晶体の液相 162 |
2.5.7 熱グルーブ過程と平衡2面角 164 |
2.5.8 塑性変形と液相の非平衡形 165 |
2.5.9 2面角の温度変化 167 |
2.5.10 多結晶体の液相分布と浸透率 167 |
2.5.11 地殻・マントルの構成鉱物と水との2面角 169 |
2.5.12 かんらん石と水の2面角およびマントルにおける流体移動 173 |
2.5.13 クラックによる流体移動 174 |
(1)クラックの種類 174 |
(2)クラック力学 175 |
(3)クラックを含む岩石の流体移動 178 |
(4)流体の移動経路の変化とクラック密度 179 |
2.6 地球内部の流体相の観察(鍵 裕之) 181 |
2.6.1 水と水素の存在形態と地震発生 181 |
2.6.2 流体包有物の観察 182 |
2.6.3 地球内部物質の流体包有物 184 |
(1)マントル捕獲岩中の流体 185 |
(2)天然ダイヤモンド中の流体 188 |
第3章 地震発生と水 191 |
3.1 岩石破壊と水(大中康譽) 193 |
3.1.1 破壊の定義と岩石破壊 193 |
3.1.2 岩石破壊と支配法則 195 |
3.1.3 間隙水の力学的効果 200 |
3.1.4 間隙水の化学的効果 206 |
コラム 脆性領域における断層破砕帯内のフリーラジカルを伴う化学反応(田中秀実) 208 |
3.2 沈み込み帯の地震発生と水の挙動(笠原順三) 210 |
3.2.1 スラブの沈み込みに伴う地震 210 |
(1)海溝外側斜面上の地溝・地塁(ホルスト・グラーベン)群 210 |
(2)海溝(付加)ウェッジ 211 |
(3)逆断層型地震域 213 |
3.2.2 東北日本の沈み込み構造と水 217 |
(1)三陸沖の地震空白域と地震波反射強度 217 |
(2)1968年十勝沖地震と1994年三陸はるか沖地震の震源域に存在する地殻の不連続性 221 |
(3) 自然地震を用いた東北日本の沈み込み構造トモグラフィー 224 |
3.2.3 伊豆・小笠原弧の沈み込みと水 225 |
(1)伊豆・小笠原弧の沈み込み構造と蛇紋岩海山 225 |
(2)関東の下の沈み込み 232 |
3.2.4 南海トラフ,日向灘の沈み込みと水 233 |
3.2.5 場所による地震発生様式の違い 238 |
3.3 蛇紋岩ダイアピル(前川寛和) 240 |
3.3.1 蛇紋岩海山の分布と産状 240 |
3.3.2 蛇紋岩海山の岩石学 244 |
(1)蛇紋岩 244 |
(2)変成岩類 245 |
3.3.3 蛇紋岩海山の形成 246 |
3.3.4 陸上の高圧変成帯との関連 249 |
3.4 脱水不安定とスラブ地震(瀬野徹三) 252 |
3.4.1 二重地震面に起こる地震の発生メカニズム 252 |
3.4.2 海溝-アウターライズの地震と二重面 254 |
3.4.3 二重面と脱水不安定 257 |
3.4.4 脱水不安定とスラブ浅部大地震 259 |
3.4.5 スラブ脱水と火成活動,内陸地震,プレート境界地震 260 |
3.4.6 脱水不安定に関するまとめ 262 |
3.5 内陸の地震での水の関与(趙 大鵬) 263 |
3.5.1 地震波トモグラフィーによる地殻構造探査 263 |
3.5.2 島弧火山地域の地殻大地震 264 |
3.5.3 大地震の「心臓部」に水 270 |
3.5.4 フィリピン海プレートからの脱水 275 |
3.5.5 地震発生における流体の重要性 279 |
コラム 地下水の水位変化と地震(五十嵐丈二) 281 |
3.6 電気比抵抗と水(上嶋 誠) 283 |
3.6.1 乾燥岩石の比抵抗 283 |
3.6.2 間隙水を含んだ岩石の比抵抗 285 |
3.6.3 比抵抗の深さ依存性 東北地方背弧を例として 287 |
3.6.4 比抵抗構造の実例 290 |
3.6.5 水と電気的性質のまとめ 295 |
第4章 地球の水の歴史(丸山茂徳・大森聡一) 297 |
4.1 地球深部での含水鉱物の安定領域 299 |
4.2 地球内部の物質大循環 305 |
4.3 地球内部の温度分布 314 |
4.3.1 外核・内核境界 314 |
4.3.2 CMBの温度構造 314 |
4.3.3 マントル遷移層 316 |
4.4 地球内部の水の大循環 319 |
4.4.1 スラブ海洋地殻とマントルウェッジによる水の輸送 320 |
4.4.2 マントル深部から地表への水の輸送 321 |
4.4.3 水の収支計算 323 |
4.4.4 スラブかんらん岩は含水化しているか 324 |
4.5 過去の沈み込み帯の温度構造 328 |
4.6 地球の水の歴史 太古代から顕生代・現在から未来へ 331 |
4.6.1 太古代・原生代 331 |
4.6.2 海水の逆流の開始と表層環境変動 335 |
(1)海水準変動曲線 335 |
(2)Sr同位体曲線 337 |
(3)堆積岩の占める割合の時代変化 338 |
(4)表層環境の変化 338 |
4.6.3 地球型惑星と水 341 |
コラム 地球中心核と水(奥地拓生) 343 |
Appendix 1 この本に現れる鉱物,および関連する鉱物(河村雄行) 345 |
Appendix 2 蛇紋岩の地震波速度(笠原順三) 349 |
Appendix 3 海底構造調査における地震波トモグラフィー(笠原順三) 353 |
あとがき 357 |
文献 359 |
索引 384 |
執筆者所属・分担一覧 391 |