巻頭言(伊藤翼) |
はじめに(諸岡良彦) |
1章 生物無機化学の成り立ちと展望(山内脩) |
1.1 生物無機化学の誕生 1 |
1.2 生体系の必須元素と役割 2 |
1.2.1 役割から見た金属元素の分類 3 |
1.2.2 金属イオンの取り込みと量的コントロール 4 |
1.3 生体系の金属イオン結合部位とその反応性 6 |
1.3.1 アミノ酸・ペプチドの錯形成反応 6 |
1.3.2 金属タンパク質における結合様式 7 |
1.3.3 ヌクレオチドの錯形成能および核酸と金属錯体との相互作用 9 |
1.4 金属中心における分子間相互作用と分子認識 10 |
1.5 生物無機化学の展望 13 |
2章 基本的概念 |
2.1 物理化学―化学結合(榊茂好) 15 |
2.1.1 量子化学とシュレーディンガー方程式 15 |
2.1.2 原子軌道 19 |
2.1.3 1電子系の分子軌道法:等核2原子分子 23 |
2.1.4 1電子系の分子軌道法:異核2原子分子 27 |
2.1.5 第2周期元素の2原子分子の結合とσ,π結合 28 |
2.1.6 多電子系の分子軌道法 33 |
2.1.7 軌道エネルギーとイオン化ポテンシャル,電子親和力,フロンティア軌道理論 35 |
2.1.8 実際の分子軌道計算:ab initio MO計算と密度汎関数理論(DFT) 37 |
2.1.9 金属錯体の配位結合と分子軌道 40 |
2..10 生物無機化学分野への理論化学の応用 41 |
2.2 物理化学―化学平衡と反応速度(福住俊一) 43 |
2.2.1 化学平衡 43 |
2.2.2 反応速度 45 |
2.2.3 速度定数 48 |
2.2.4 逐次反応 51 |
2.2.5 反応機構 52 |
2.2.6 遷移状態理論 55 |
2.2.7 化学平衡と反応速度との関係 58 |
2.3 錯体化学(鈴木正樹) 62 |
2.3.1 遷移金属錯体の電子状態と結合性の理解 62 |
2.3.2 配位子場理論 64 |
2.3.3 錯体の安定性 69 |
2.3.4 遷移金属錯体の配位子置換反応 72 |
2.3.5 酸化と還元 74 |
2.3.6 遷移金属錯体の電子状態 78 |
2.4 生体関連有機分子の基礎化学(伊東忍) 84 |
2.4.1 アミノ酸とタンパク質 85 |
2.4.2 補因子(補酵素) 89 |
2.4.3 補酵素化学の新しい流れ 93 |
2.5 生化学の基礎知識(渡辺芳人) 97 |
2.5.1 タンパク質の改変 97 |
2.5.2 金属酵素を作り出す 103 |
2.5.3 ゲノムと遺伝子 107 |
2.5.4 まとめ 110 |
3章 光合成 |
3.1 光合成と呼吸(福田秀樹) 112 |
3.2 電荷分離(福住俊一) 116 |
3.2.1 電子移動反応 117 |
3.3 光合成反応中心(福住俊一) 128 |
3.4 光合成反応中心モデル(福住俊一) 132 |
3.5 生体エネルギー変換―電子移動と共役したプロトン能動輸送(福住俊一) 136 |
3.6 光合成における水の酸化(増田秀樹) 140 |
3.6.1 光合成系光化学反応系Ⅱと酸素発生中心の構造 140 |
3.6.2 OECにおける水の酸化反応 141 |
4章 呼 吸 |
4.1 酸素運搬(鈴木正樹) 145 |
4.1.1 酸素分子 146 |
4.1.2 ヘモグロビンとミオグロビン 147 |
4.1.3 へムエリスリン 156 |
4.1.4 ヘモシアニン 163 |
4.2 呼吸における酸素の還元(増田秀樹) 168 |
4.2.1 呼吸錯とシトクロムc酸化酵素 169 |
4.2.2 シトクロムc酸化酵素モデル 172 |
5章 電子伝達タンパク質(増田秀樹) |
5.1 銅タンパク質 175 |
5.1.1 銅イオンの性質と銅タンパク質 175 |
5.1.2 タイプⅠ銅を含む銅タンパク質 177 |
5.1.3 タイプⅡ銅を含む銅タンパク質 180 |
5.1.4 タイプⅢ銅を含む銅タンパク質 184 |
5.1.5 マルチ銅タンパク質 186 |
5.2 鉄タンパク質 189 |
5.2.1 ヘム鉄タンパク質 189 |
5.2.2. 非ヘム鉄タンパク質 191 |
6章 酸素の活性化と酸素化反応 |
6.1 ヘムタンパク質・ヘム酵素(渡辺芳人) 195 |
6.1.1 ヘムタンパク質・ヘム酵素の所在と機能 195 |
6.1.2 ヘム鉄の電子状態 196 |
6.1.3 酸素分子の運搬・貯蔵を行うヘモグロビン,ミオグロビン 198 |
6.1.4 酸素を利用して酸化反応を行うシトクロムP450 200 |
6.1.5 ペルオキシダーゼ 206 |
6.1.6 高原子価活性種のモデル錯体による研究 210 |
6.1.7 ヘム酵素やモデル錯体が行う酸化反応 211 |
6.1.8 選択的酸化反応触媒としての金属ポルフィリン錯体 222 |
6.1.9 シトクロムc酸化酵素 227 |
6.1.10 まとめ 229 |
6.2 非ヘム酵素―銅含有酵素(伊東忍) 230 |
6.2.1 銅タンパク質の分類 230 |
6.2.2 単核銅中心における酵素の活性化 232 |
6.2.3 2核銅活性中心における分子状酸素の結合様式 236 |
6.2.4 2核銅(Ⅱ)―ペルオキソ錯体の反応性 239 |
6.2.5 酸素―酸素結合の開裂とその制御 241 |
6.2.6 Bis(μ-oxo)2核銅(Ⅲ)錯体の反応性 243 |
6.2.7 多核銅-酸素錯体 245 |
6.3 非ヘム金属酸化酵素(引地史郎) 247 |
6.3.1 非ヘム鉄酸化酵素 247 |
6.3.2 その他の非ヘム鉄酸化酵素 270 |
6.3.3 まとめ 272 |
7章 窒素の活性化と窒素固定(舩橋靖博・増田秀樹) |
7.1 工業的および天然の窒素固定 276 |
7.2 ニトロゲナーゼの構造と反応の全体像 278 |
7.3 ニトロゲナーゼに含まれる各種鉄-硫黄クラスターの構造と性質 279 |
7.4 窒素の還元反応様式 284 |
7.5 今後の展望 288 |
8章 生体系における金属イオンの輸送(実川浩一郎・増田秀樹) |
8.1 金属イオンの輸送 291 |
8.2 鉄の吸収 292 |
8.3 生体内の鉄輸送 293 |
8.4 トランスフェリン 295 |
8.5 シデロフォア 299 |
8.6 人工シデロフォア 302 |
8.7 海洋における鉄 306 |
8.8 銅タンパク質の生体内挙動 308 |
8.9 銅シャペロン 311 |
9章 加水分解酵素と加水酵素(実川浩一郎・増田秀樹) |
9.1 加水分解酵素・加水酵素の分類 315 |
9.2 金属イオンの作用 317 |
9.3 金属酵素の活性中心 318 |
9.4 人工加水分解酵素 322 |
9.5 ペプチドの加水分解酵素 324 |
9.6 錯体によるペプチド加水分解 327 |
9.7 核酸をはじめとするリン酸エステル類の加水分解 331 |
9.8 ヒドラターゼの特異構造 336 |
9.9 ヒドラターゼモデル 337 |
10章 生体内のアルカリ,アルカリ土類金属イオンの役割(小夫家芳明) |
10.1 アルカリ金属およびアルカリ土類金属イオン 344 |
10.1.1 神経伝達に果たすアルカリ金属イオンの役割 344 |
10.1.2 カルシウムイオンの役割 345 |
10.1.3 マグネシウムイオンの役割 347 |
10.2 天然のイオンチャンネルの構造と機能 348 |
10.2.1 イオン選択性フィルター 348 |
10.2.2 イオンチャンネルのゲート 353 |
10.3 人工イオンチャンネル 355 |
10.3.1 イオンチャンネル生成パターン 355 |
10.3.2 電位依存性ゲート 358 |
10.3.3 イオン選択性 359 |
10.3.4 イオンチャンネルデバイス 360 |
10.3.5 人工イオンチャンネルの抗バクテリア活性 363 |
10.4 疾 病 364 |
10.4.1 アルツハイマー病 365 |
10.4.2 プリオン病(牛海綿状脳症(BSE),羊Scrapie病,Creutzfeldt-Jakob病) 366 |
11章 工業的応用(穐田宗隆) |
11.1 化学工業と生物無機化学 369 |
11.2 ニトリルヒドラターゼ(NHase)によるアクリルアミド合成 370 |
11.3 金属タンパクの反応に発想を得た触媒的変換反応 374 |
11.4 医薬・診断薬としての利用 380 |
11.4.1 医 薬 381 |
11.4.2 診断書 385 |
付録 390 |
さくいん 399 |