自然と人間 |
淡路剛久・川本隆史・植田和弘・長谷川公一 |
『リーディングス環境』の刊行にあたって 編者一同 |
解題 1 ●川本隆史 |
Ⅰ環境危機への警鐘と告発 11 |
1沈黙の春 13 ●レイチェル・カーソン(青樹築一訳)『沈黙の春』より |
明日のための寓話(13)べつの道(15) |
2技術と成長の限界 16 ●ドラネ・H・メドウズほか(大来佐武郎監訳) |
『成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』より |
世界モデルにおける技術(17) |
3しのびよる公害―その政治経済学 26 ●宮本憲一「しのびよる公害-その政治経済学」『世界』一九六二年一二月号、より |
人権侵害の王様(26)「地域開発戦争」の落し子(26)くさい魚(27)大都市に青空はない(28)無責任の体系(28)「百年河清をまつ」(30)公害防止は公共投資から(30)まず軍縮を(31)地域住民の運動を(31)「命のあらん限り反対をしなければならない」(32) |
4「水俣奇病」の発見とその波紋 33 ●宇井純『公害の政治学―水俣病を追って』より |
細川医師の不吉な予感(33)猫の狂死と関係が(36) |
5いのちの契約書 38 ●石牟礼道子『苦海浄土―わが水俣病』より |
6水俣病にまなぶ 49 ●原田正純『水俣病にまなぶ旅』/同『胎児からのメッセージ』より |
水銀を追って 49 |
終わっていない水俣病(49)水俣病像のマイナス面(50)中国への旅(51)中国における水銀汚染の点検(53)心を失わない近代化(55)汚染の流れを把握せよ(55) |
胎見性水俣病 57 |
この子が私の水銀を吸い取ってくれた(57)みんな同じ症状で同じ病気だ(58) |
7環境の倫理 61 ●E・O・ウィルソン(大貫昌子・牧野俊一訳)『生命の多様性』Ⅱ、より |
8地球温暖化の実態と見通し―政策決定者向けの要約 71 ●WMO/UNEP IPCC(気候変動に関する政府間パネル)「第二次評価報告書/第一作業部会報告書」 |
気象庁編『地球温暖化の実態と見通し―世界の第一線の科学者による最新の報告』より |
温室効果気体の濃度は増加し続けてきた(71)人為起源のエーロゾルは負の放射強制力を及ぼす(73)気候は過去一世紀の間に変化してきた(73)証拠を比較検討した結果、識別可能な人為的影響が全球の気候に現れていることが示唆される(74)気候は将来も変化し続けると考えられる(75)まだ多くの不確実性が存在する(77) |
9有毒の遺産 79 ●シーア・コルボーンほか(長尾力訳)『奪われし未来』より |
10歴史的環境の保存・再生の系譜 91 ●木原啓吉『暮らしの環境を守る―アメニティと住民運動』より |
町並み保存への関心の高まり(91)明治以来四つの破壊の波(92)廃仏毀釈の混乱のなかで(93)法制度の整備の動き(93)戦争による文化財の破壊(94)文化財保護法の成立(95)「文化財」から「歴史的環境」へ(96)平城宮跡の保存運動(96)都市化の波のなかで(97)都市計画的手法の充実(99)住民運動の高まり(99)文化財保護法の改正(100)「歴史地区」の指定を(100) |
Ⅱ自然と人間の伝統的かかわり 103 |
11なわばりの文化史―共有と入会い 105 ●秋道智彌『なわばりの文化史』より |
12近代のなかの森と国家と民衆 112 ●三井昭二「近代のなかの森と国家と民衆」内山節編『《森林社会学》宣言』より |
はじめに(112)国有林の成立と民衆(113)国有林経営の確立と民衆(113)御料林と民衆(110)むすびにかえて(120) |
13エコノミーとエコロジー 122 ●玉野井芳郎『エコノミーとエコロジー』より |
人間と自然との物質代謝=エコ・システム(122)農業と工業との本質的差異(124)〈自然〉をめぐる古典的争点―スミスとリカードウ(126) |
14神社合祀問題関係書簡 132 ●南方熊楠『南方熊楠随筆集』より |
15衣食住の基本問題 142 ●ヘンリー・D・ソロー(真崎義博訳)『森の生活―ウォールデン』より |
生活をみつめなおす目(142)さあ、まず着るものからはじめょう!(149) |
16ケンタッキーの森と洞窟 153 ●ジョン・ミューア(熊谷鉱司訳)『一〇〇〇マイルウォーク緑へ』より |
Ⅲ社会科学における環境研究の源流 161 |
17人口の原理 163 ●ロバート・マルサス(高野岩三郎・大内兵衛訳)『初版人口の原理』より |
18大工業と農業 166 ● カール・マルクス(マルクス=エンゲルス全集刊行委員会訳)『資本論』3、より |
19社会的限界純生産物と私的限界純生産物との乖離 169 ●A・C・ピグウ(気賀健三訳者代表)『ピグウ厚生経済学』Ⅱ、より |
20社会的費用の問題 177 ●ロナルド・H・コース(宮沢健一ほか訳)『企業・市場・法』より |
検討すべき問題(177)問題の相互的性質(177)損害責任が問われるときの価格システム(178)損害責任が問われないときの価格システム(182) |
21政治経済学的接近 185 ●都留重人『公害の政治経済学』より |
公害の定義(185)素対面と体制面(187) |
22公害と地域社会 192 ●福武直「公害と地域社会」『東京大学公開講座7公害』より |
戦後の経済成長と公害の増大(192)公害をめぐる地域社会の動き(その一)(195)公害をめぐる地域社会の動き(その二)(198) |
23産業公害と住民運動 202 ●飯島伸子「産業公害と住民運動―水俣病問題を中心に」『社会学評論』八一号、より |
まえがき 203 |
熊本の水俣病問題 203 |
水俣地域の社会経済構造と水俣病(203) |
水俣における問題の経過と住民運動の展開 205 |
問題の経過(205) |
新潟水俣病と住民運動 211 |
新潟地域の社会経済構造と新潟水俣病(212)問題の経過と住民運動への展開(214) |
24公害問題と法律学 220 ●戒能通孝「はしがき」戒能編『公害法の研究』より |
25公害法の現状と展望 224 ●加藤一郎「序論―公害法の現状と展望」加藤編『公害法の生成と展開』より |
はじめに―公害基本法への各種の提案と公害対策基本法の成立 224 |
公害の概念 225 |
「公害」の意味(225)公害の種類(226) |
Ⅳ環境をとらえる視点 229 |
26環境世界 231 ●ヤーコブ・フォン・ユクスキュル、ゲオルク・クリサート(日高敏隆・野田保之訳)『生物から見た世界』より |
異なる環境世界における客体としての同一主体(231)結び(237) |
27経済学の神話 240 ●ニコラス・ジョージェスク=レーゲン(小出厚之助ほか編訳)『経済学の神話』より |
力学対熱力学 240 |
振子運動に擬せられた経済プロセス(241)エントロピー法則と人類の運命(242) |
エントロピー法則と経済学 243 |
生命体とエントロピーの不確定性(244)経済的希少性とエントロピー法則(245) |
入手可能なエネルギーと入手可能な物質 246 |
エネルギーで測った効率(247)エネルギーで物質はつくれない(247) |
28宇宙船地球号の経済学 249 ●ケネス・E・ボールディング(公文俊平訳)「来たるべき宇宙船地球号の経済学」ボールディング(公文訳)『経済学を超えて』改訂版、より |
29社会的共通資本の概念 258 ●宇沢弘文「社会的共通資本の概念」宇沢弘文・茂米愛一郎編『社会的共通資本―コモンズと都市』より |
社会的共通資本としての自然(258)社会的共通資本の範疇(260) |
30地域固有性 263 ●ジョン・ラスキン(木村正身訳)『ムネラ・ブルウェリス―政治経済要義論』より |
31環境社会学の背景 266 ●C・R・ハムフェリー、F・H=バトル(満田久義ほか訳)『環境・エネルギー・社会―環境社会学を求めて』より |
環境の概念について(266)環境社会学とは何か(267)環境社会学の起源(268)環境運動の高揚(270)機能主義の優位とそれへの批判(272)農村社会学の影響(276) |
32環境法の基礎 275 ●淡路剛久「環境法の基礎」阿部泰隆・淡路剛久編『環境法』第二版、より |
環境と環境法 278 |
環境とは何か(278)環境法とは何か(279) |
環境法の理念と課題 280 |
環境法の理念(280)基本的な権利としての環境権(282) |
33食料生産と地球環境問題 284 ●荏開津典生『「飢餓」と「飽食」―食料問題の十二章』より |
農業と環境問題 284 |
イギリス農業の反対者(284)自然への脅威(285)飲料水が危ない(285)モノカルチュアの弊害(286) |
環境と食料生産 287 |
生物の多様性が失われる(287)新品種がつくれない(287)一〇〇年で一センチメートル(288)砂漠化のもたらすもの(289)立ちふさがる温暖化(289) |
LISA 291 |
地球は供給し続けることができるか(291)LISAを取り入れて(291)公平な豊かさとは(292) |
34人口が爆発する! 294 ●ポール・エーリック、アン・エーリック(水谷美穂訳)『人口が爆発する!―環境・資源・経済の視点から』より |
臨界状態にある人口塊 294 |
複合的影響(294)人口増加の慣性力(296) |
人口・成長主義・国家の安全保障 298 |
経済学による目隠し(300)利益のための地球破壊行為(302)代替の限界(303)経済専門家およびその他の人びとの教育(305)前線の兵隊は必要か(306)国家の安全を脅かす環境問題(307) |
Ⅴ環境学としての自覚 311 |
35環境容量の経済理論 313 ●A・V・クネーゼ、R・U・エイヤーズ、R・C・ダージュ(宮永昌男訳)『環境容量の経済理論』より |
経済学理論と物質の諸問題(313)物質のフロー(315)結論(319) |
36環境経済学の課題 323 ●植田和弘『環境経済学』より |
政府の失敗と公共的意思決定(323)環境経済学の課題(325) |
37エコロジー経済学に向かって 331 ●Costanza、R. and Daly H.E.、Toward an Ecologica1 Economics、Ecological Modeling、Vol.38(ハ塚みどり・植田和弘訳「エコロジー経済学に向かって」)より |
要旨 331 |
エコロジー経済学の必要性 331 |
主要論点、問題、解決法 332 |
持続可能性―生命維持システムの保持(333)種内、種間における富の分配(333)割引、世代間の正義、そして遅滞のわな(334)非貨幣的価値と部分定量のわな(335)統合対相互交流(336)古典派、新古典派、マルクス主義的分析の拡張(337)システム生態学とエネルギー分析(337) |
真の総合に向かって 337 |
38環境社会学―新しいパラダイム 339 ●Catton、W.R.、Jr. and Dunlap、R.E.、Environmental Sociology : A New Paradigm、The American Sociologist、Vol.13(長谷川公一訳「環境社会学―新しいパラダイム」)より |
「人間特例主義パラダイム」(340)環境社会学と「新環境主義パラダイム」(342)環境主義的な事実と社会的事実(344) |
39経験と生活環境主義 343 ●鳥越皓之「経験と生活環境主義」鳥越編『環境問題の社会理論―生活環境主義の立場から』より |
三つの主義(347)生活のなかの経験(348)調和のとれた体系の否定(351)日常生活に浸透している国家権力(353) |
40環境社会学と政策研究 355 ●長谷川公一「環境社会学と政策研究」環境経済・政策学会編『環境経済・政策研究のフロンティア』より |
環境社会学とはどのような学問か(355)日本の環境社会学―その特質(357)環境政策の共同研究―意義と課題(358) |
41土地倫理 362 ●アルド・レオポルド(新島義昭訳)『野生のうたが聞こえる』より |
倫理拡張の筋道(362)共同体の概念(363)生態学的な良心(364)土地倫理の代用品(364)土地の健康とA・B分裂(365)展望(366) |
42自然に対する人間の責任 365 ●J・パスモア(間瀬啓允訳)『自然に対する人間の責任』より |
新しい自然観と生態学的問題(369)新しい道徳原理は必要か(371)まとめ(373) |
43環境倫理の消滅?―モラルとルールの《つなぎ目》をめぐって ●川本隆史『21世紀フォーラム』第七四号、より |
公文書へのデビュー(376)積極的姿勢と微妙な転向(378)「倫理」から「合理性」さらに「教育」へとシフト(379)「環境教育」の隘路(380) |
44環境法および環境法学のフロンティア 372 ●淡路剛久「環境法および環境法学のフロンティア」環境経済・政策学会編『環境経済・政策研究のフロンティア』より |
序論(383)環境法と環境法学の生成(384)固有の環境法学のフロティア―環境法学の理念と環境法の改革(385)終論―環境経済学など隣接領域との協働(387) |
出典一覧 |
自然と人間 |
淡路剛久・川本隆史・植田和弘・長谷川公一 |
『リーディングス環境』の刊行にあたって 編者一同 |
解題 1 ●川本隆史 |
Ⅰ環境危機への警鐘と告発 11 |
1沈黙の春 13 ●レイチェル・カーソン(青樹築一訳)『沈黙の春』より |