ハイゼンベルグの顕微鏡 |
はじめに 7 |
第1章 不確定性原理とは何か 13 |
ごく簡単な不等式で表せる |
ブランク定数は量子の世界で重要な動きをする |
不確定性原理は何を意味するのか |
何かを観察するということ |
光が粒子の性質を持つことによる影響 |
観測するための光と観測される物体の関係 |
ガンマ線顕微鏡の思考実験 |
普通の測定と何が違っているのか |
根本的な考え方の転換 |
発見者は二五歳のハイゼンベルク |
終生の盟友パウリとの出会い |
ハイゼンベルクとボーアの出会い |
第2章 不確定性原理はどのようにして発見されたか 45 |
一年八ヶ月前、ハイゼンベルクが新しい量子の理論を作り上げる |
一年四ヶ月前、行列による数学的な裏づけができる |
一年前、ハイゼンベルクとアインシュタインが対話する |
そのときにはライバルとの競争が始まっていた |
波動とは何か |
ハイゼンベルクの形式との共通性が発見される |
数学と物理学との関係をめぐって |
八ヶ月前、ハイゼンベルクはミュンヘンで論争に敗れる |
五ヶ月前、ボーアがシュレディンガーを説得しようとする |
その頃にはボルンが新しい解釈を考え出していた |
波動関数は確率密度を与える |
三ヶ月前、すべてが変換理論により関係付けられる |
一ヶ月前、ハイゼンベルクは一人になって考える |
ついに不確定性原理にたどり着く |
第3章 物理学界との対決 -コペンハーゲン解釈の成立- 77 |
最初はボーアがハイゼンベルクを批判した |
物理学者たちへのお披露目とアインシュタインの反応 |
いわゆる二重スリットの思考実験 |
今では二重スリットの思考実験が「思考」でなくなった |
量子力学の立て役者たちが新しいポストに就く |
洗練されていく不確定性原理-実は混乱の種を内包 |
不確定性原理の不等式を別の方法で導く |
アメリカへ渡った不確定性原理 |
エネルギーと時間の関係についてのひとこま |
一九三〇年のソルヴェイ会議では一般相対性理論もからんで応酬 |
新しい不等式を使うとどうなるか |
ノーベル賞への道 |
第4章 再開された論争 -アインシュタインの再批判- 111 |
いわゆるEPRのパラドックス |
ボーアの巧妙な反論 |
シュレディンガーの疑問 |
EPRを別の表現で言うと… |
小澤の不等式でEPRを解釈すると… |
二重スリットで干渉パターンが消える実験 |
フォン・ノイマンが量子力学の数学的基礎を固める |
ノイマンは測定の問題についても分析 |
生死が重ね合わせ状態になったネコ |
ハンガリー人科学者たちのネットワーク |
ノイマンの友人ウィグナーが考えたこと |
第5章 原子核物理学の発展とハイゼンベルク 147 |
原子核理論の研究を深めるハイゼンベルク |
一九三三年から始まったドイツ科学の後退 |
次々にドイツを脱出する科学者たち |
ハイゼンベルクはドイツに残った |
核分裂現象の発見 |
ハイゼンベルクは原子力開発の理論指導者に |
アメリカは戦争終結前からヨーロッパ戦線で核開発の情報を収集 |
誠治を軽蔑していたシュレディンガー |
シュレディンガーのもう一つの生活 |
再びナチスから逃れるシュレディンガー |
幻となった日本の原爆開発計画 |
第6章 コペンハーゲン解釈への挑戦 169 |
因果律と決定性を否定した不確定性原理 |
「隠れた変数」の存在を主張 |
古典力学と似た方程式を導く |
二重スリットの思考実験 |
再び論争が起こる |
論争に対する日本の物理学者の反応 |
不可逆なプロセスで増幅されて測定されるという考え方 |
隠れた変数の理論に新しい展開 |
ベルの不等式が登場 |
アスペの実験で決着 |
全く異なる観点「多世界解釈」の登場 |
忘れられた多世界解釈とその復活 |
観測問題への日本人物理学者の貢献 |
第7章 不確定性原理は破れているのか -重力波測定の限界をめぐって- 201 |
運命の出会い |
アインシュタインが存在を予言した重力波 |
重力波は時空を歪ませる |
宇宙から重力波が届くのを待つ |
重力波を観測するには |
レーザー光を干渉させて測定する |
重力波測定の標準量子限界 |
ユーエンの標準量子限界批判と反批判 |
そして小澤が決定的な論文を書く |
小澤とユーエンが正しいことを第三者が判定 |
一般化された測定理論 |
無限小解釈と量子力学 |
測定の限界に関する研究が続く |
波束の収縮をめぐって |
大転換に向かって |
第8章 書き直された不確定性原理 -ハイゼンベルクから小澤へ- 233 |
量子の確率的な性質から不確定性原理を導く |
現実的に重大な問題とは見なされなかった |
ハイゼンベルクの不等式への疑問 |
測定限界を克服したもう一つの例 |
ハイゼンベルクの不確定性原理が破れていることを主張する |
フォン・ノイマンの相互作用モデルでハイゼンベルクの不等式は成り立つ |
しかし論文のレフェリーは受け付けなかった |
新しい不等式が姿を現す |
アインシュタインとボーアの論争への応用 |
EPRのパラドックスをめぐって |
再びWAY定理について |
量子コンピュータの実現可能性 |
ハイゼンベルクの不確定性原理を検証する実験 |
小澤の不等式は実験で検証されるか |
あとがき 264 |
読書案内/参考文献 271 |