第一章 国際法と環境 1 |
1 序論 1 |
(1)国際環境法とは何か |
(2)「環境」とは何か |
(3)なぜ環境を保護するのか |
(4)国際関心事としての環境 |
(5)国際的な環境保護における法の役割 |
(6)現行の国際法は適切に環境を保護しているか |
2 国際法の法源と立法過程 12 |
(1)国際法の立法過程 |
(2)環境上の観点における国際法の法源 |
(3)国際法の伝統的法源 |
(4)法典化と漸進的発達 |
(5)国連総会決議及び宣言の地位 |
(6)非伝統的な法源-「ソフト・ロー」 |
3 結論 36 |
第2章 国際ガバナンスと環境法・政策の形成 39 |
1 国際ガバナンス-国際組織の役割 39 |
2 国連と国際環境政策の発展 43 |
(1)国際レベルでの環境問題の出現 |
(2)1972年の国連人間環境会議(UNCHE) |
(3)国連と持続可能な開発の出現 |
(4)環境と開発に関する1992年の国連会議 |
(5)持続可能な開発の概念 |
3 国連と環境ガバナンス 56 |
(1)国連の環境上の権限 |
(2)国連の組織的枠組み |
(3)国際環境法の発展させる上でのUNEPの役割 |
4 国際環境法・政策の発展に関わる他の国際組織 69 |
(1)国連専門機関と関係機関 |
(2)国連食糧農業機構(FAO) |
(3)国際海事機関(IMO) |
(4)世界銀行と地球環境ファシリティ |
(5)国連教育科学文化機関(UNESCO) |
(6)国際原子力機関(IAEA) |
(7)世界貿易機関(WTO) |
(8)国連地域委員会 |
(9)経済協力開発機構(OECD) |
5 科学に関する組織 78 |
6 非政府組織(NGO) 80 |
(1)NGOの一般的な役割 |
(2)国際自然保護連合(IUCN) |
7 結論 83 |
第3章 国際環境法の構造Ⅰ-国家の権利と義務 87 |
1 序論 87 |
(1)国際環境法の法典化と発展 |
(2)1992年の環境と開発に関するリオ宣言 |
2 持続可能な開発-法的意味合い 95 |
(1)持続可能な開発の、法に対する影響力 |
(2)持続可能な開発の諸要素 |
(3)持続可能な開発の法的地位 |
3 グローバルな環境責任 114 |
(1)「共通の関心事」としての環境 |
(2)グローバルな環境責任の「対世的な」地位 |
(3)共通だが差異のある責任 |
(4)予防的アプローチと地球環境責任 |
4 越境汚染と環境損害に関する慣習国際法 124 |
(1)序論 |
(2)環境損害を防止し、削減しかつ管理する義務 |
(3)環境リスクの場合の越境協力 |
5 天然資源及び共同の空間の法的地位 175 |
(1)天然資源に対する恒久主権 |
(2)共有された天然資源 |
(3)共通の財産 |
(4)共同の財産(遺産) |
6 資源開発と環境保護を規律する国際法の一般的原則 186 |
(1)合理的利用 |
(2)権利の濫用 |
(3)衡平及び衡平な利用 |
(4)無差別 |
7 軍事活動と環境 190 |
8 結論と評価 194 |
第4章 国際環境法の構造Ⅱ-規制、遵守、実施及び紛争解決 197 |
1 序論 197 |
2 国際法における国家責任 201 |
(1)国家責任の基礎 |
(2)過失(fault)と注意(diligence) |
(3)環境損害に対する厳格責任又は絶対責任 |
(4)救済 |
(5)請求を行うための当事者適格 |
(6)国内的救済の規則 |
(7)結論-国家責任の有用性 |
3 国際制度による規制と監督 230 |
(1)国際制度(international institutions)の役割 |
(2)国際監督制度のモデル |
(3)監督上の技術 |
(4)基準の設定及び国際的な規制 |
(5)国際的な管理 |
(6)加盟資格 |
(7)NGOの参加 |
(8)政府間制度による紛争解決 |
(9)国際的監督の有用性 |
4 紛争解決 258 |
(1)国際的な裁定-司法的解決と仲裁 |
(2)外交的解決方法 |
5 結論 274 |
第5章 国際環境法の構造Ⅱ-環境上の権利と環境犯罪 277 |
1 序論 277 |
(1)環境上の権利 |
(2)国内法における環境上の権利と責任 |
2 人権と環境 279 |
(2)良好、健康又は実現可能な環境に対する権利 |
(3)現行の人権の環境志向化 |
(4)参加の権利 |
(5)環境事件における国際人権法の越境適用 |
(6)人権アプローチの価値 |
3 越境する環境上の権利 302 |
(2)平等なアクセスと無差別 |
(3)越境環境訴訟における国際私法上の争点 |
(4)環境責任の調和 |
4 環境損害に対する個人の責任 322 |
(1)国内法における実施 |
(2)域外刑事管轄権 |
(3)普遍的管轄権と国際法に対する犯罪 |
5 結論 328 |
第6章 国際水路の環境保護と持続可能な利用 331 |
1 序論 331 |
(1)国際水路法の範囲 |
(2)水資源-配分の諸原則 |
2 水路環境の保護 344 |
(1)水路の汚染と許される利用 |
(2)環境損害と衡平な利用 |
(3)汚染及び越境環境損害の防止 |
(4)水路の生態系の保護 |
(5)水資源の持続可能性及び保全 |
(6)越境環境協力 |
3 地域協力と環境規制 372 |
(1)ライン河保護のための国際委員会 |
(2)米加国際合同委員会 |
(3)南部アフリカにおける共有水路 |
4 結論 382 |
第7章 海洋法と海洋環境の保護 385 |
1 序論 385 |
2 慣習法と1982年の国連海洋条約 390 |
(1)公海の自由と合理的な利用 |
(2)海洋環境を保護する義務 |
3 海洋環境の地域的保護 394 |
(1)国連海洋条約と地域的な諸規則 |
(2)地域海諸協定 |
4 船舶からの汚染 402 |
(1)問題の性質 |
(2)船舶からの汚染を規制する権限 |
(3)沿岸国の管轄権 |
5 海洋における汚染事故及び緊急事態 428 |
(1)国際協力及び援助 |
(2)汚染緊急事態の管理 |
6 損害に対する国家責任及び民事責任 437 |
(1)海洋環境損害に対する国家責任 |
(2)海洋汚染損害に対する民事責任 |
7 結論 448 |
第8章 有害廃棄物の国際的規制 451 |
1 序論 451 |
(2)国際的な政策 |
(3)協力及び危険回避 |
2 陸上起源の海洋汚染 455 |
(1)慣習法上の背景 |
(2)1982年の国連海洋法条約 |
(3)共通基準の地域的な適用 |
(4)手続上の義務及び危険の回避 |
(5)国際水路の法との関係 |
(6)陸上起源汚染に関するグローバルなレジーム? |
3 海洋投棄 473 |
(1)法的レジームの発展 |
(2)国際的政策と投棄の許容性 |
(3)「投棄」とは何か |
(4)放射性廃棄物の投棄 |
(5)洋上焼却 |
(6)許可発給及び執行-管轄権及び規制 |
(7)協議、モニタリング及び環境影響評価 |
(8)地域的な諸条約 |
(9)ロンドン投棄条約の評価 |
4 有害廃棄物の国際取引 487 |
(1)有害廃棄物及び有害物質の取引の許容性 |
(2)バーゼル条約の規律範囲 |
(3)事前同意の義務 |
(4)環境上適正な処理 |
(5)実施及び監督機関 |
(6)国家責任と民事責任 |
(7)バーゼル条約の評価 |
5 結論 502 |
第9章 原子力と環境 505 |
1 序論-国際的な原子力の政策 505 |
(1)原子力の発展 |
(2)核兵器の許容可能性 |
(3)原子力-環境上の懸念の表出 |
2 原子力の国際的な規制 509 |
(1)IAEA、原子力による危険の規制 |
(2)原子力安全に関する国際諸協定 |
(3)その他の国際的な規制組織 |
(4)国際的な規制の実効性 |
3 原子力リスクの管理-慣習法 529 |
(1)国際的な義務 |
(2)原子力施設-通報と協議 |
(3)原子力による突発事故の場合における協力と援助 |
4 原子力損害に関する国家責任 539 |
(1)厳格責任又は無過失責任 |
(2)国家請求 |
(3)原子力損害に関する国家責任法の再構成 |
5 原子力損害に関する民事責任 543 |
(1)諸条約のスキーム |
(2)なぜ無過失責任であるのか |
(3)賠償責任の集中 |
(4)保険と責任の制限 |
(5)諸条約における請求の提起 |
(6)非当事国による請求 |
(7)原子力損害と環境 |
6 結論 558 |
第10章 大気の保全と宇宙空間の保護 561 |
1 序論 561 |
(1)越境問題としての大気汚染 |
(2)地球大気の悪化 |
(3)大気の法的な地位 |
(4)国際的な政策と大気の管理 |
2 国境を越える大気汚染 567 |
(1)慣習法と一般原則 |
(2)内外人平等アクセス、無差別の原則及び「汚染者負担」の原則 |
(3)1979年の長距離越境大気汚染条約 |
(4)北米の実行 |
(5)開発途上国の地域的な実行 |
(6)海洋環境に関する大気汚染 |
3 地球大気の保全 584 |
(1)慣習法と地球環境責任 |
(2)オゾン層破壊 |
(3)地球気候変動 |
4 宇宙空間 609 |
5 結論 612 |
第11章 自然、生態系及び生物多様性の保全-諸原則と問題群 613 |
1 序論 613 |
2 自然保全と天然資源の概念 615 |
(1)自然と生態系 |
(2)天然資源 |
(3)生物の多様性の概念 |
(4)生物資源の保全 |
3 自然保護における法の役割 625 |
(1)揺籃期のアプローチ |
(2)新しいアプローチの展開 |
(3)協力の役割 |
(4)実効的な生物資源レジームにおける組織上の諸条件 |
4 自然保護に関する国際法の法典化と発展 635 |
(1)1978年の「複数の国が共有する天然資源の保存及び調和ある利用に関する各国のガイダンスのための環境分野におけるUNEP行動原則」 |
(2)世界自然憲章(WCN) |
(3)環境と開発に関する世界委員会(WCED)による1987年の報告書 |
(4)1992年の環境と開発に関する国連会議(UNCED) |
(5)IUCNの「環境と開発に関する国際規約草案」(2000年) |
(6)国連総会と自然保護 |
5 生物の多様性に関する条約 644 |
(2)交渉の背景 |
(3)生物多様性条約の目的 |
(4)生物多様性条約上の目的達成に関係する諸規定 |
(5)適用範囲 |
(6)国の主権行使を抑制する義務 |
(7)参加に対するインセンティブと遵守 |
(8)制度的な監督機関及び遵守手続 |
6 結論 673 |
第12章 移動性の種及び陸上種の保全と生物多様性 675 |
1 序論 675 |
2 保全条約を通じた諸原則と戦略の実施 676 |
(1)諸条約により保護される種 |
(2)「保全」の定義の問題 |
(3)天然生物資源に対する国際共同社会の利益の性質とその法的地位に関する問題 |
(4)協力及び保全に関する技術 |
3 野生生物に関する主要かつグローバルな諸条約の意義と実効性 697 |
(1)1971年の国際的に重要な湿地に関するラムサール条約 |
(2)1972年の世界遺産条約 |
(3)1979年の移動性の野生動物種の保全に関する条約(ボン条約) |
(4)1973年の絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約) |
4 自然と生物多様性の保全に関する国連環境開発会議以後の文書 719 |
(1)砂漠化対処条約 |
(2)森林原則及び関連文書 |
(3)景観の保護-ヨーロッパ景観条約 |
5 地域的アプローチ 723 |
6 条約と機関の調整 724 |
7 結論 725 |
第13章 海洋生物資源と生物多様性の保全 731 |
1 序論 731 |
2 漁業と海産哺乳動物に対する管轄権-概念と限界 734 |
(1)公海漁業自由の展開 |
(2)1958年のジュネーブ条約と海洋生物資源に対する沿岸国管轄権の拡大 |
3 国際漁業レジームの発展 740 |
(1)保存に関する諸条約及び保存委員会の発展 |
(2)漁業管理及び漁業法におけるFAOの役割 |
4 1982年の国連海洋法条約 744 |
(1)一般的なアプローチ |
(2)国連海洋法条約における海洋生物資源の保存に対する権能 |
(3)国連海洋法条約における漁業に関する諸規定の国内的実施 |
(4)魚種別アプローチ |
5 国連海洋法条約締結後の発展 766 |
(1)国連環境開発会議と公海生物資源の保存 |
(2)公海漁業の管理に対する代替的なアプローチ |
(3)ストラドリング魚類資源及び高度回遊性魚類資源に関する1995年の協定 |
6 海洋における生物多様性の保全 779 |
7 結論 786 |
第14章 国際貿易と環境保護(トマスJ.ショーエンバウム) 789 |
1 序論 789 |
2 多角的貿易制度 791 |
(1)世界貿易機関 |
(2)環境に関連する主要なWTO/GATTの諸規範 |
(3)貿易と環境に関する委員会 |
(4)WTOの紛争解決 |
3 多数国間環境諸協定と貿易制限 800 |
4 国家管轄権の越える資源を保護するための貿易制限 803 |
(1)1947年のGATTにおける一方的な貿易制裁 |
(2)1947年のGATTの下における第20条(b)及び(g)の域外範囲 |
(3)1994年のGATTにおけるWTOの新しいアプローチ |
(4)「創造的」な一方主義(Creative Unilateralism) |
5 国内の環境を保護するための貿易制限 813 |
(1)輸入制限 |
(2)再商品化(Recycling)と包装 |
(3)エコ・ラベル |
(4)天然資源 |
6 汚染の避難所(pollution havens) -他国の環境を改善するための貿易制限 823 |
(1)生産工程と生産方法(PPM:process and production methods) |
(2)国際環境諸協定 |
(3)環境マネジメント制度 |
(4)投資 |
7 有害な物質及び廃棄物の輸出 829 |
(1)国内的に禁止される物品 |
(2)廃棄物 |
8 環境税 831 |
9 知的財産 838 |
(1)遺伝資源の取得機会 |
(2)特許適格性(Patentability) |
(3)技術取得へのアクセスと技術移転 |
(4)強制実施許諾(Compulsory Licensing) |
(5)バイオセーフティ |
(6)紛争解決 |
10 結論 847 |
第15章 結論 849 |
訳者あとがき 855 |
文献一覧 859 |
用語索引 877 |