1章 河川における生態系と水質の相互関係 1 |
1.1 河川生態系の成り立ち 1 |
1.1.1 河川の場と生態系 1 |
1.1.2 生態系と水質成分の関係 3 |
1.2 河川における生態系の構造 5 |
1.2.1 河川における有機物の動態 5 |
(1)河川における有機物の起源と形態 5 |
(2)流入の時間 6 |
1.2.2 河川内の有機物と消費者の関係 6 |
(1)CPOMの消費 6 |
(2)FPOMの消費 6 |
(3)DOMの消費 7 |
(4)付着藻食 7 |
(5)消費者の食性の特性と消化吸収効率 8 |
1.2.3 高次捕食者 9 |
(1)摂餌の特性 9 |
(2)栄養のカスケードダウンの影響 9 |
1.2.4 栄養塩の動態 10 |
1.2.5 伏流水 11 |
1.2.6 洪水撹乱の影響 12 |
1.2.7 河川生態系の枠組み 12 |
1.3 生態系に対する重要な水質因子 14 |
1.3.1 基礎的な水質項目 14 |
(1)生物の生息を規定する因子 14 |
(2)生物の成長段階に応じた保全対策 15 |
(3)種々の水質項目の特性 16 |
1.3.2 栄養塩類 20 |
(1)河川形態と栄養塩類の関わり 20 |
(2)発生源特定のための窒素安定同位体比の利用 24 |
1.3.3 粒状有機物(POM) 26 |
(1)粒状有機物の重要性 26 |
(2)粒状有機物の分類および既存指標との関係 26 |
(3)粗大粒状有機物と微細粒状有機物 29 |
(4)粒状有機物と生態系との相互作用 31 |
(5)河川環境や生態系の管理との関わり 32 |
1.3.4 毒性物質,農薬 33 |
(1)毒性物質の種類 33 |
(2)毒性の発現形態 34 |
(3)毒性の試験方法 34 |
(4)水生生物への影響に配慮した水質目標の現状 35 |
(5)生物群集に及ぼす毒性物質の複合影響 36 |
(6)生物群集に及ぼす毒性物質の生物間相互作用を介した影響 37 |
(7)アンモニア 39 |
(8)農薬の使用実態と水系への影響 41 |
(9)内分泌攪乱化学物質 45 |
1.4 生物モニタリングの意義とその方法 51 |
1.4.1 生物モニタリング 51 |
1.4.2 水生植物 53 |
(1)河川に生育する水生植物の生育を規定する要因 54 |
(2)水生生物の生育と水質項目 54 |
1.4.3 底生生物 56 |
(1)底生生物を使った水質スコア法 56 |
(2)河川ベントスによる水質判定をめぐって 59 |
(3)河川性マクロ動物ベントスを使った生物モニタリングの展開 62 |
1.4.4 重金属,特に亜鉛の生態影響評価について 63 |
1.5 生態系と水質のダイナミックな相互関係 66 |
1.5.1 停滞水域における生態系構造と水質変化 66 |
(1)停滞水域の生態系に及ぼす水質変化の影響 66 |
(2)生態系構造を決める要因としての生物たちの食う・食われる関係 67 |
(3)停滞水域の水質に及ぼす生態系変化の影響 69 |
(4)停滞水域の水質に及ぼす底生魚の影響 71 |
1.5.2 大型植物が湖内の栄養塩類循環に与える影響 71 |
(1)大型植物の生活史を介した栄養塩循環 71 |
(2)栄養塩循環における大型植物の間接的な影響 73 |
(3)大型植物が他の生物相に与える影響 73 |
(4)大型植物による底質再浮上防止および浮遊物質沈降促進効果 75 |
(5)湖沼の栄養塩レベルの変化による植物相の遷移と排他的安定状態 76 |
1.6 提 言 78 |
1.6.1 河川生態系からみた有機物・栄養塩の動態把握に関する提言 78 |
1.6.2 毒性物質の影響評価に関する提言 79 |
1.6.3 河川環境モニタリングに関する提言 80 |
1.6.4 生物指標の必要性に関する提言 81 |
1.6.5 停滞水域における生態系機能を利用した水質浄化に関する提言 82 |
参考文献 83 |
2章 大型植物が湖沼内の栄養塩の循環に与える影響 89 |
2.1 調査場所および方法 90 |
2.1.1 植物および骸泥(gyttja)の分布調査 91 |
2.1.2 植物の分解実験 91 |
2.1.3 カルシウム濃度を増加させた室内実験 91 |
2.2 結果 92 |
2.2.1 植物相の年間変化 92 |
2.2.2 骸泥の堆積状況 93 |
2.2.3 湖底の特性と植物相 93 |
(1)車軸藻類 93 |
(2)イバラモ 94 |
(3)フサモ 94 |
2.2.4 植物量 94 |
2.2.5 種間競争 95 |
2.2.6 分解実験の結果 96 |
2.2.7 湖内の栄養塩濃度変化および栄養塩循環の機構 97 |
2.2.8 車軸藻が水中のリン濃度に与える影響 98 |
2.3 考察 99 |
2.3.1 車軸藻の生態的特性 99 |
(1)植物種同士の競合と骸泥関係 99 |
(2)車軸藻と深度との関係 100 |
2.3.2 栄養塩循環への影響 100 |
(1)水質の安定化に対する骸泥の役割 100 |
(2)車軸藻によるカルシウムの固定がリンの濃度に与える影響 101 |
(3)車軸藻を介した栄養塩循環量 101 |
2.3.3 湖沼の管理に向けた示唆 102 |
参考文献 103 |
3章 河床生態系の水質変換機能と栄養塩濃度の関係 105 |
3.1 方法 105 |
3.2 結果と考察 106 |
3.2.1 夏季の明条件における栄養塩フラックス 106 |
3.2.2 秋季の明条件における栄養塩フラックス 108 |
3.2.3 夏季の暗条件における栄養塩フラックス 109 |
3.2.4 秋季の暗条件における栄養塩フラックス 110 |
3.2.5 まとめ 111 |
4章 付着藻類の窒素安定同位体比から河川の汚染源を探る 113 |
4.1 窒素安定同位体比 113 |
4.2 千曲川における付着藻類の窒素安定同位体比 114 |
4.3 天竜川における付着藻類の窒素安定同位体比 117 |
参考文献 119 |
5章 粒状有機物の動態と水生生物との相互関係 121 |
5.1 浮遊性粒状有機物の動態 122 |
5.1.1 季節変化 122 |
5.1.2 洪水時の変化 123 |
5.1.3 微細粒状有機物の起源 125 |
5.2 堆積性粒状有機物の動態 127 |
5.3 微細粒状有機物の生成過程 128 |
5.4 微細粒状有機物の分解過程 129 |
5.5 堆積性粒状有機物と底生動物群集の関係 132 |
5.5.1 底生動物現存量 133 |
5.5.2 底生動物群集と微細粒状有機物の関係 134 |
5.6 まとめ 136 |
参考文献 137 |
6章 河川の微量有害物質と水生生物生息状況 139 |
6.1 濃縮毒性試験方法 139 |
6.2 ヒメダカ仔魚とヌマエビの有害物質に対する感度の違い 140 |
6.3 生物生息状況の評価方法 141 |
6.4 濃縮毒性と水生生物生息状況の関係 145 |
6.5 農薬流出モニタリング調査 149 |
参考文献 151 |
7章 鉱山跡周辺の亜鉛等の汚染水路・渓流における底生動物相:兵庫県旧多田銀山跡 153 |
7.1 調査方法 153 |
7.2 結果 157 |
7.2.1 水質 157 |
7.2.2 ベントス 157 |
(1)カゲロウ目 158 |
(2)カワゲラ目 158 |
(3)トビケラ目 158 |
7.2.3 考察 159 |
参考文献 160 |
8章 河川水への農薬の影響 161 |
8.1 使用実態と課題となる農薬成分 161 |
8.1.1 我が国における農薬の使用実態 161 |
8.1.2 課題となる農薬成分の抽出 162 |
8.1.3 毒性等からの課題農薬成分の絞込み 163 |
(1)魚毒性による判定 163 |
(2)他の生物毒性データの活用 163 |
8.1.4 課題となる農薬成分の選定結果 166 |
8.1.5 主要な農薬成分の国内使用量の経年変化 166 |
8.2 水生生物への影響試験 170 |
8.2.1 登録保留条件および安全使用基準 170 |
8.2.2 新しい生態影響試験法 170 |
8.2.3 登録保留基準の改定の内容 172 |
(1)基本的考え方 172 |
(2)評価手法 172 |
(3)PECの算定 173 |
(4)登録保留基準地としてのAEC 174 |
8.3 河川における農薬のモニタリング 175 |
8.3.1 河川における農薬濃度データ 175 |
8.3.2 農薬の河川への流出データ 176 |
参考文献 178 |
9章 水生植物相の変遷と水質:兵庫県加古川の事例 181 |
9.1 調査の方法 182 |
9.2 23定点における過去約15年間の水生植物相の変化 182 |
9.3 近年の水質の変化 186 |
9.4 水生植物相の変化とその原因 187 |
9.4.1 物理的要因 187 |
9.4.2 水質の影響 188 |
参考文献 189 |
10章 河川における底生生物と水質の関係 191 |
10.1 検討対象データ 191 |
10.1.1 底生生物データ 191 |
10.1.2 水質データ 192 |
10.1.3 底生生物調査地点と水質調査地点の整合 192 |
10.2 検討対象地点の底生生物と水質の状況 194 |
10.2.1 底生生物の状況 194 |
10.2.2 水質の状況 195 |
10.2.3 底生生物の種数と水質値 197 |
10.3 底生生物と水質項目との相関 197 |
10.3.1近似式による検討 197 |
10.3.2 底生生物の生息に関わる水質 203 |
参考文献 205 |
11章 停滞水域での生態系と水質の関わり 207 |
11.1 白樺湖でのバイオマニピュレーション 207 |
11.2 お堀でのバイオマニピュレーション 213 |
11.3 水質浄化に伴う生態系の変化 216 |
11.4 有害化学物質汚染が生態系に及ぼす間接影響 219 |
参考文献 222 |
12章 EUにおける河川の水環境評価の手法 223 |
12.1 WFD 224 |
12.2 EUにおける水環境の評価の現状とWFDの適用 225 |
12.3 AQEMとSTAR 227 |
12.4 AQEMについて 228 |
12.4.1 目的 228 |
12.4.2 AQEMの進め方 229 |
12.4.3 AQEMの河川タイプ分けについて 229 |
12.4.4 基準条件と劣化のクラス分けについて 230 |
12.4.5 河川の生態学的ステータスの評価について 231 |
(1)multimetric index について 231 |
(2)AQEMによる評価方法 231 |
12.4.6 AQEMによる評価事例 233 |
(1)評価の事例1:砂底河川 233 |
(2)評価の事例2:砂底の小河川 233 |
12.5 STARについて 234 |
12.6 おわりに 235 |
参考文献 236 |
略語表 237 |
索引 239 |
英語索引 245 |