第1章 人はどれだけエラーしやすいか |
1.1 重大事故の背景 2 |
こうして患者取り違えが起きた-医療事故 2 |
コミュニケーション不良が事故を招いた 3 |
チェルノブイリ原発事故はどうして起きたか 4 |
絶対服従の部下 4 |
規律違反を許容する職場風土とシステム 6 |
2つの事故の背後にあるもの 6 |
1.2 人間はどのくらいエラーをしやすいか 8 |
エラーの頻度 8 |
ハインリッヒの法則 8 |
コラム 間違った論文を送った!? 10 |
1.3 どんな分野でどんなエラーをおかしているか 10 |
生産現場のエラー 11 |
交通事故の原因にはあらゆるヒューマン・エラーが含まれている 12 |
エスカレーターでの事故 14 |
コラム ローカルルールは他所では通用しない 15 |
スポーツにおけるエラー 16 |
組織エラーが起こした美浜原発事故 17 |
1.4 エラーを重大な事故につなげないために 20 |
第2章 なぜ人はエラーをおかすのか |
2.1 人間と機械の不適切な関係(人間-機械系)が起こすエラー 23 |
人間と機械の利点・欠点 23 |
人間の3大特性 25 |
扱いづらくて飛行機が墜落 26 |
人間の特性を無視した機械ではヒューマン・エラーが絶えない 28 |
2.2 人間の認知能力には限界がある 29 |
知覚した情報に意味づけをする「認知情報処理」 29 |
人間の脳は創造の源であると同時にエラーの源 30 |
人間の行動を規定する3つの認知的階層モデル 31 |
感覚・知覚の限界 33 |
注意能力の限界 36 |
記憶の限界 42 |
2.3 人間の心理はそもそも間違いやすくできている 45 |
いかに人間の実感が実際とかけ離れているか 45 |
コラム ベイズの定理 47 |
人間は過去の記憶を過剰に評価する 50 |
ジンクスは科学的に妥当か 51 |
2.4 疲労が原因となるエラー 51 |
肉体的疲労と精神的疲労 52 |
コラム 交通事故は自宅周辺で起こる!? 52 |
疲労するとどんなことが起こるか 53 |
疲労と眠気 56 |
疲労が引き起こす様々な事故 57 |
2.5 組織としての誤った行動・文化が原因のエラー 58 |
安全文化・組織文化 58 |
スイスチーズの穴を塞げ 59 |
グループ・シンク60 |
2.6 知識不足・経験不足が起こすエラー 61 |
2.7 いろいろな原因が重なって大きな事故を起こす 62 |
事故に至るまでのいくつかのハードル 63 |
2.8 ヒューマン・エラーの背後要因が複合的に作用する場合 67 |
ヒューマン・エラーの背後要因「4M」 67 |
コラム 他のすべてが良くても,管理が駄目だとエラーが起こる「m-SHEL」 69 |
第3章 エラーにもいろいろある-エラーの種類と分類- |
3.1 どんなタイプのエラーもゼロにはできない 71 |
第1種の過誤と第2種の過誤 71 |
偶然エラーと体系的エラー 72 |
3.2 原因から見たヒューマン・エラーの分類 74 |
錯誤(スリップ)によるエラー 75 |
し忘れ(ラップス)によるエラー 76 |
ミステイクによるエラー 77 |
違反によるエラー 79 |
意図しないエラーと意図的なエラー 80 |
3.3 結果としてみたヒューマン・エラー 82 |
3.4 チームエラー 83 |
3.5 事故事例からみるヒューマン・エラー分析 84 |
経験・技量不足,疲労,組織の安全文化の未熟さがもたらした事故 84 |
違反が原因の事故 86 |
グループ・シンクが原因の事故 88 |
確認作業の省略が原因の事故 92 |
リスク評価の甘さによる事故 93 |
効率性追求と知識不足による事故 95 |
専門性の罠が原因と考えられる事件 101 |
閉鎖的な組織文化・安全文化が原因の隠蔽事件 103 |
様々な要因が重なって大惨事となった事故 104 |
第4章 どうすれば「エラー=事故」にならずにすむか |
4.1 人間-機械系の設計のポイント 107 |
ポイント1 設備・環境要因を考慮する 107 |
ポイント2 人間工学に基づいた設計にする 108 |
ポイント3 認知工学に基づいた設計にする 109 |
4.2 人間-機械系設計に認知工学をどう取り込むか 110 |
ユーザのメンタルモデルと設計者の概念モデル 111 |
表示機能のわかりやすい設計の具体例 115 |
表示装置とコントロール装置の関係のわかりやすさ 118 |
4.3 疲労やストレスに配慮した機器・作業の設計 122 |
エラーを起こしやすい時間帯 123 |
4.4 エラーのタイプ・性質ごとにみたエラー対策のポイント 124 |
エラータイプごとの対策ポイント 124 |
4.5 背後要因からみたエラー対策 129 |
4.6 「人間はエラーをするもの」を出発点とする 131 |
生産現場で行われている「再発防止」と「未然防止」 131 |
エラー防止の3つの防波堤 132 |
エラー対策は一つではない 135 |
人間はエラーをするもの 136 |
エラー防止に割り当てられる資源 137 |
トップマネッジメントによる意思決定の重要性 139 |
第5章 安全教育は感情に訴えかけろ |
5.1 リスク・マネッジメントに必要なリスク評価 143 |
誤ったリスク評価が大事故を招く 144 |
5.2 人間はどのくらいリスクに対していい加減か 145 |
リスク忌避的な傾向 145 |
ギャンブル的認知バイアス 145 |
フレーミング効果 146 |
孤立比較効果 147 |
後知恵バイアス 148 |
5.3 意思決定と感情の関わり 149 |
感情が正しく機能しなければ正しい判断はできない 149 |
ヒューリスティックスとしての感情 150 |
コミットメントの手段としての感情 151 |
5.4 ヒューマン・エラーと不安全行動の関わり 153 |
理性的なヒューマン・エラー防止策の限界 153 |
感情に訴える不安全行動の防止 153 |
5.5 感情面に注目した安全教育のポイント 155 |
感情面に注目した安全教育の考え方のポイント 155 |
感情面に注目した安全教育の実践ポイント 156 |
コラム 新幹線のスタッフ配置は充分か 158 |
感情面に注目した安全教育に有用な原因分析 159 |
5.6 起こりうるエラーや事故を察知する能力を開発しよう 159 |
他所の事故を他山の石とするな 159 |
コラム 人間工学の目的とは 151 |
5.7 地域コミュニティー・自治体・政府によるエラー・事故防止活動 162 |
自治体の積極的な協力が不可欠 152 |
エラーに強くなるとは,エラーとうまく付き合うこと 163 |
おわりに 167 |
参考文献 169 |
参考図書 172 |
索引 175 |