プロローグ 12 |
第一章 パンデミック・インフルエンザの脅威 17 |
復活したスペイン風邪ウイルス 17 |
ハルティン、アラスカへの旅再び 19 |
ウイルス復元で世界的大流行に備え 21 |
「種の壁」崩したインフルエンザ 22 |
インフルエンザ・ウイルスはナノサイズ 26 |
ウイルスの表面の突起が変化 30 |
変身ウイルスに免疫は苦戦 32 |
スペイン風邪ウイルスの人工合成へ 36 |
RNAからDNAに「情報」を移し替え 37 |
米サイエンスと英ネイチャーに論文掲載 40 |
一九九九年に河岡がインフルエンザ・ウイルスを復元 41 |
初回の実験、あっけなく成功 43 |
河岡、混成ウイルスを作成 44 |
鳥インフルエンザ・ウイルスの変身、アミノ酸の変異で裏付け 46 |
河岡もスペイン風邪ウイルスを復元 48 |
ワクチン開発は時間との戦い 51 |
抗インフルエンザ薬も頼り 52 |
コラム 病原菌とウイルス 29 |
抗体は五種類 34 |
情報伝達分子(サイトカイン)とは 50 |
第二章 免疫学ことはじめ 55 |
ジェンナーが開発した種痘 55 |
牛痘ウイルスは天然のワクチン 58 |
ジェンナー以前に人痘の試み 60 |
北里、抗体発見のきっかけは破傷風 62 |
世紀の発見「抗毒素」 64 |
ベーリングと研究論文を発表 66 |
特異的な抗毒素の振る舞い 67 |
メチニコフが発見した「食作用」 68 |
免疫の使徒たち 70 |
免疫の世界の伝令役、情報伝達分子 73 |
日本人が発見したインターフェロン 76 |
十一面観音のようなインターロイキン6 77 |
情報伝達分子と受容体 80 |
コラム 医薬にならなかったインターロイキン6 81 |
第三章 関節リウマチ克服物語 83 |
関節と骨を破壊する関節リウマチ 83 |
リウマチを起こす免疫の内乱 85 |
北里から百年、抗体医薬が登場 87 |
「治療革命」起こしたリウマチ新薬 89 |
シグナル伝達と遮断のメカニズム 91 |
ネズミの体に「異物」のインターロイキン6受容体を注入 95 |
「抗・抗体」出現の難問 98 |
遺伝子工学を駆使して抗体をヒト化 99 |
ACR改善率が裏付ける効用 101 |
一九九〇年に共同研究の打診 102 |
山村研に「留学」していた貞広 104 |
英国で「ビギナーズ・ラック」、ヒト化抗体完成 105 |
吉崎、キャッスルマン病の患者に遭遇 106 |
リンパ節からインターロイキン6検出 108 |
先輩医師が「自分の体を使って」 109 |
キャッスルマン病の治療に成功 111 |
関節リウマチより他の病気治療を先行 112 |
米国での好成績受けリウマチ治療開始 113 |
期待と不安が交錯 114 |
根っこの領域で免疫異常を修復 116 |
動物実験で効果証明 117 |
製品化への課題 118 |
海外から追い風、事業化決断 119 |
幼馴染みとの再開を機に連携 121 |
新薬は関節破壊プロセス封じこめに成功 122 |
結核の副作用も 123 |
コラム 従来のリウマチ治療薬の限界 94 |
抗体の先端部は姿を変える 96 |
第四章 がんと抗体医薬の物語126 |
攻撃相手はがん細胞だけ 126 |
ハーセプチンはHER2が標的 127 |
乳がん治療に効果 129 |
リツキサンは「CD20」標的 129 |
がん細胞を兵糧攻めするアバスチン 132 |
急速に拡大する抗体医薬市場 133 |
ポスト抗体医学となるか、低分子標的医薬 135 |
末期がんの悪液質を抗体医学で改善 136 |
第五章 モノクローナル抗体物語 138 |
「異物」には必ず抗体を作る免疫の不思議 138 |
ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体 139 |
免疫の生体防衛戦略 141 |
モノクローナル抗体をどう作る? 142 |
岡田が突き止めた細胞融合 143 |
英ハリスが岡田の成果に注目 144 |
細胞融合はiPS細胞のゆりかごにも 146 |
ミルシュタインのモノクローナル抗体への挑戦 147 |
モノクローナル抗体の生産に成功 149 |
ミルシュタインらノーベル賞受賞 150 |
険しかった抗・抗体の壁 151 |
復活したミサイル療法 152 |
ポロクローナル抗体で抗体医薬も 153 |
多剤耐性菌にはポリクローナル抗体が有用 154 |
第六章 もう一つの関節リウマチ克服物語 157 |
小児科医に立ちはだかった全身性小児リウマチ 157 |
阪大・吉崎との出会い 159 |
”新薬”を治療外使用 160 |
劇的に現れた効果 161 |
「先生、体が軽くなったよ」 162 |
インターロイキン6がおかした単独犯行 163 |
臨床試験へと前進 165 |
背が伸び始めた少女 166 |
最後の仕上げ、第Ⅲ相試験 168 |
英ランセットに研究論文掲載 169 |
第七章 TNFの物語 171 |
発見から医薬まで紆余曲折 171 |
「コーリーの毒」でがん治療 172 |
「夢の抗がん剤」TNFの発見 173 |
日米企業がつば競り合い 175 |
敗血症性ショックを起こしたTNF 176 |
抗がん剤の夢消失 178 |
「ならば抗体で敗血症ショックを治療」 179 |
リウマチ治療薬として成功 180 |
第八章 自然免疫物語 183 |
”死語”から復活した自然免疫 183 |
”独立”が転機に 185 |
成果出尽くし焼け野原だった免疫分野 187 |
兵庫医大の中西と共同研究 188 |
LPSを与えても死なないネズミ 190 |
グリックの失敗と審良の失敗 191 |
仏ホフマンがToll「発見」 193 |
人間に病原体センサー 194 |
データベースで類似遺伝子を収集 195 |
タッチの差で敗北 197 |
他のTLRで巻き返し 199 |
二十一世紀に出現した「TLRファミリー」 201 |
従来の免疫は獲得免疫に 202 |
「免疫学ことはじめ」をもう一度 204 |
自然免疫対獲得免疫 207 |
病原菌のDNAを認識するTLR9 210 |
細胞表面には存在しないTLR9 211 |
CG配列を目印に 213 |
「メチル化」の有無でも判断 214 |
RNAウイルスを感知するTLR7 216 |
イミダゾキノリンを足がかりに 217 |
海外の研究グループと連携 218 |
小腸で活躍するべん毛センサーTLR5 220 |
免疫が腸内細菌に反応しない理由も明らかに 221 |
グラム陽性菌を監視するTLR2 223 |
「ヘテロ二量体」でリポたんぱくを認識 225 |
「MyD88依存経路」と「非MyD88依存経路」 226 |
本庶の元で武者修行した審良 229 |
ただごとではない遺伝子の探索 231 |
もう一つのRNAセンサー 234 |
第九章 自然免疫が解き明かしたミステリーの物語 237 |
「コーリーの毒」の真相判明 237 |
DNAワクチンの謎も解明 238 |
山村も自然免疫にかかわった 241 |
BCGの細胞壁に注目 243 |
山村、岸本、審良の研究につながった 244 |
CWSはがんにも効果 245 |
丸山ワクチンの効用も自然免疫 247 |
敗血症性ショックの治療に自然免疫 249 |
DNAワクチンでがん治療 251 |
DNAワクチンは動物では実用化 252 |
イミダゾキノリン誘導体は既に医薬に 254 |
第十章 もう一つの自然免疫物語 257 |
病原体DNAに最初に注目した徳永徹 257 |
世界でBCGブーム 258 |
BCG療法は現代では膀胱がん治療に実績 259 |
徳永が遭遇した「DNAの不思議」 261 |
米国立がん研究所誌に成果発表 264 |
「移転問題」の中でもDNA研究は捨てず 265 |
合成DNAで「CGモチーフ」を発見 266 |
CG配列で免疫を刺激しない不思議 268 |
メチル化が免疫活性を左右 270 |
三井製薬工業と医薬探求 272 |
一九九〇年代半ばにCG配列に光 273 |
徳永の復権 276 |
コラム 病原体センサーと徳永 263 |
エピローグ 279 |
参考文献 285 |
さくいん 293 |