はじめに 10 |
Ⅰ 海底より現れしもの 12 |
一九〇一年、ギリシア。 |
小さな島の沖合から古代の難破船がみつかった。 |
貴重な彫像や壷、その奥から奇怪な機械が姿を現す。 |
Ⅱ ありえない 38 |
古代の歯車の発見は空前であり、絶後であった。 |
なにしろ既知のものより千年以上遡るのだ。 |
研究者は興奮するも、戦争がはじまり忘れられた。 |
Ⅲ 「戦利品」 64 |
栄耀を誇った古代ギリシアも、紀元前一世紀頃には新興ローマの略奪にさらされた。 |
多くの宝は各地で船に積みこまれローマの都へと運ばれた。 |
Ⅳ 科学史は塗りかえられた 92 |
発見から半世紀。 |
イギリスの若い野心的な学者が再び光を浴びせかける。 |
この古代の破片には、現代テクノロジーに通じる鍵があるのだと。 |
Ⅴ 大胆な推理 125 |
七〇年代、内部を放射線で撮影する技術が生まれた。 |
その技術によって八層もの未知の歯車が浮かび上がる。 |
古代人はこの機械で何を計算しようとしていたのか? |
Ⅵ 十九世紀のコンピュータがふたりを結びつけた 152 |
破片に魅せられ、ひとり研究を続けていた博物館員。 |
彼のもとにオーストラリアから研究者がやってくる。 |
はじめは意気投合するふたりだったが…。 |
Ⅶ すべては解読の名誉のために 177 |
二〇〇二年、オーストラリアの研究者は死に、アンティキテラの研究はあらたな局面をむかえる。 |
博物館員の前に、より強力なライバルが現れたのだ。 |
Ⅷ 最強の布陣 201 |
映像プロデューサーは、腕の良い仲間を集めていた。 |
研究者、最先端のCT撮影、そして最新のCG技術。 |
タッグを組んで、アンティキテラに挑みかかる。 |
Ⅸ みごとな設計 226 |
もはや肉眼では読めぬ文字を解読、歯車を復元すると、アンティキテラの全貌が次第に浮かび上がってきた。 |
これは、古代地中海文明の天文学の結晶だったのだ。 |
Ⅹ アルキメデスの影 245 |
紀元前三世紀、シラクサのアルキメデスが天体をあらわす道具を作ったとキケロは伝える。 |
古代の賢人から現代へのミステリアスな道程。 |
エピローグ 276 |
謝辞 280 |
訳者あとがき 283 |