はじめに iii |
第1章 生命システムはどのように研究したらよいだろうか 1 |
1.1 生命とは何か 1 |
1.2 分子生物学の半世紀 3 |
1.3 多様性の逆襲と枚挙―オーム主義 8 |
1.4 多義性と状況依存性 11 |
1.5 相互作用系 14 |
1.6 生物は「計算機械」か 16 |
1.7 プログラム的見方の問題点 21 |
1.8 安定性の問題 24 |
1.9 ゆらぎのなかで動くシステム 27 |
1.10 自主性 29 |
1.11 部分からなる全体によって部分が決められる 31 |
1.12 分子に帰着できない普遍的性質 33 |
1.13 オーム主義を超えて 36 |
第2章 構成的生物学 43 |
2.1 構成による理解 43 |
2.2 構成への道 47 |
2.3 構成的研究の現在進行 48 |
2.4 理解の様式について 51 |
第3章 動的システムとしての生命―準備 57 |
3.1 状態空間での考え方 57 |
3.1.1 目的 58 |
3.1.2 数理的表現 59 |
3.1.3 生物学的表現 59 |
3.1.4 状態空間の点の分布としての集団の表現 55 |
3.2 状態の時間変化とアトラクター 65 |
3.2.1 問題 65 |
3.2.2 数理的表現 55 |
3.2.3 アトラクターと生物学的安定性 68 |
3.2.4 多くのアトラクターをもつ系とアトラクターへのベイスン 69 |
3.2.5 生物学的意義 69 |
3.3 カオス 72 |
3.4 小さな差の増幅 76 |
3.4.1 目的 77 |
3.4.2 実験的な追跡法 78 |
3.5 分岐 79 |
3.6 状態の変化をどう追うか 81 |
3.6.1 目的 81 |
3.6.2 数理的表現―カオス的遍歴 82 |
3.6.3 生命システムとしての意義 83 |
3.6.4 実験的手法 87 |
第4章 動的システムとしての生命―ゆらぎ,可塑性,相互作用 89 |
4.1 ゆらぎの視点 89 |
4.1.1 時間的ゆらぎと集団でのゆらぎ 90 |
4.1.2 集団のなかのゆらぎと個存のゆらぎ 91 |
4.1.3 ゆらぎと安定性 92 |
4.1.4 応答とゆらぎの関係―揺動応答関係 94 |
4.1.5 ゆらぎは必ずしも雑音として外からくるものでなく内部の状態に依存したり内部のダイナミクスからもつくられる 96 |
4.2 相互作用 98 |
4.2.1 生命システムは強く相互作用した系である 99 |
4.2.2 部分と全体の相補的な関係 100 |
4.2.3 結合力学系の理論 102 |
4.2.4 結合力学系の考え方で発生や進化の理論を考える 105 |
4.2.5 相互作用の問題を実験でどう研究するか 108 |
4.3 操作 111 |
4.4 多様性と再帰性 116 |
4.5 生命の起源における多様性―再帰性問題 120 |
4.6 やわらかさの表現へ 125 |
4.7 可塑性のダイナミクス 130 |
4.7.1 可塑性の減少則 130 |
4.7.2 発生における可塑性の回復とその相互作用依存性 133 |
4.7.3 進化における可塑性の変化 134 |
4.8 第3-4章のまとめ 135 |
4.9 実験における注意点(補足) 137 |
第5章 複製系における情報の起源 139 |
5.1 問い 139 |
5.2 論理―少数コントロール 148 |
5.3 モデル 153 |
5.4 モデルからの帰結 156 |
5.4.1 少数コントロール状態 160 |
5.4.2 進化可能性 162 |
5.4.3 高次触媒の効果 1163 |
5.4.4 合成速度の違う分子の選択 164 |
5.5 構成的実験 165 |
5.5.1 試験管内無細胞自己複製系 166 |
5.6 生物学への意義 172 |
第6章 増殖する反応ネットワーク系での再帰性 177 |
6.1 問い 177 |
6.2 論理 180 |
6.3 モデル 184 |
6.3.1 モデルA 185 |
6.3.2 モデルB 186 |
6.4 モデルAでの結果―自己触媒系にみるゆらぎの性質 188 |
6.5 モデルBの結果―分子量に関するジップ則 197 |
6.6 構成的実験 208 |
6.6.1 分裂するベシクル 209 |
6.6.2 リボソーム内でのタンパク質,遺伝子合成 211 |
6.6.3 複製人工細胞へ 214 |
6.7 意義 214 |
6.7.1 遺伝子発現のクラスター解析 214 |
6.7.2 ゆらぎの特性 215 |
6.7.3 分布の変化を探るベースへ 217 |
第7章 細胞分化と発生過程の安定性 219 |
7.1 問い 219 |
7.2 論理 227 |
7.3 モデル 231 |
7.4 モデルからの帰結 234 |
7.4.1 分化のシナリオ 234 |
7.4.2 安定性 239 |
7.4.3 低濃度分子の重要性 243 |
7.4.4 細胞のリズムと固有時間の発生 244 |
7.4.5 細胞死 245 |
7.5 構成的実験 247 |
7.6 細胞生物学への意義 249 |
7.6.1 まとめ 249 |
7.6.2 低濃度分子の意義 250 |
7.6.3 振動について 251 |
7.6.4 ガン化の機構 252 |
7.7 付録 254 |
第8章 幹細胞システムと不可逆分化過程 257 |
8.1 問い 257 |
8.2 論理 262 |
8.3 モデル 255 |
8.4 モデルからの帰結 265 |
8.4.1 階層的な分化 265 |
8.4.2 確率的分化と分化比率制御則 265 |
8.4.3 組織の分化 271 |
8.4.4 安定性 273 |
8.4.5 不可逆性 275 |
8.4.6 分化の普遍性 280 |
8.5 構成的実験 283 |
8.5.1 ES細胞での実験の可能性 283 |
8.5.2 植物のカルスからの分化 253 |
8.5.3 大腸菌から幹細胞を構成する 283 |
8.6 生物学への意義 286 |
8.6.1 幹細胞の分化過程 286 |
第9章 形態形成と位置情報の生成 293 |
9.1 問い 293 |
9.2 論理 299 |
9.3 モデル 300 |
9.4 モデルから得られた結果 301 |
9.4.1 位置情報の生成 305 |
9.4.2 細胞の内部状態と位置情報の相補的な関係 305 |
9.4.3 再生過程 307 |
9.4.4 発生の順序をふむことの重要性 309 |
9.5 発生過程の構築実験 310 |
9.6 生物学への意義 314 |
9.6.1 まとめ 314 |
9.6.2 コミュニティ効果 314 |
9.6.3 誘導と可塑性 316 |
9.6.4 状態の分化の空間構造への転換 316 |
9.6.5 状態の不安定化と細胞の可塑性の再獲得―原腸陥入の一解釈 317 |
第10章 表現型と遺伝子型の進化 319 |
10.1 問い 319 |
10.2 論理 328 |
10.3 モデル 331 |
10.4 モデルから得られた結果 334 |
10.4.1 共生的同所的種分化 334 |
10.4.2 生殖隔離の進化―雑種不稔性 340 |
10.4.3 えり好みの進化 342 |
10.4.4 遺伝子座間の相関の生成 345 |
10.4.5「異所的」種分化は本当に異所的か 345 |
10.5 構成的実験 348 |
10.6 生物学への意義 354 |
10.6.1 意義 354 |
10.6.2 逆転して眺める 357 |
10.6.3 可塑性減少則と進化のスピード 359 |
10.6.4 可塑性の回復 359 |
第11章 関連する他の課題―多細胞生物の個体性,ゆらぎと適応,表現型進化の関係 361 |
11.1 個体性の獲得 361 |
11.1.1 問い 361 |
11.1.2 論理 362 |
11.1.3 モデルと結果 364 |
11.1.4 生物学的意義 365 |
11.2 ゆらぎによる適応 368 |
11.2.1 問い 368 |
11.2.2 論理 369 |
11.2.3 モデルと結果 370 |
11.2.4 実験 372 |
11.2.5 生物学的意義 374 |
11.3 安定性の進化と表現型ゆらぎ 374 |
11.3.1 問いと論理―進化揺動応答関係 374 |
11.3.2 モデルと結果 376 |
11.3.3 構成的実験 377 |
11.3.4 遺伝子の変異によるゆらぎと表現型固有のゆらぎの一般関係 379 |
11.3.5 生物学的意義 382 |
11.4 付録 387 |
第12章 まとめと展望 389 |
12.1 まとめ 389 |
12.1.1 同一多様化(isologous diversification) 390 |
12.1.2 動的共固定化(dynamlc consolidation) 391 |
12.1.3 状態間の遍歴(itinerancy) 392 |
12.1.4 少数コントロール(minority control) 394 |
12.1.5 増殖系の普遍的性質 395 |
12.2 ゆらぎ,応答,安定性 396 |
12.3 閉じた系での可塑性の減少則 402 |
12.4「開いた」系での可塑性の回復 403 |
12.5 可塑性のダイナミクスへの理論的視点 407 |
12.5.1 生命システムに適合した力学系理論の構築へ 411 |
12.5.2 整合性原理 412 |
12.6 計算システムと異なる生命システムの性質 413 |
12.7 発生現象論―安定性,不可逆性,操作,状態方程式 415 |
12.8 認知,社会のダイナミクスに向けて 419 |
文献 421 |
索引 439 |
はじめに iii |
第1章 生命システムはどのように研究したらよいだろうか 1 |
1.1 生命とは何か 1 |