はじめに |
第Ⅰ編 失敗論 1 |
第1章 失敗とはどんなものか 3 |
1.1 失敗の階層性 3 |
1.2 失敗の成長 4 |
1.3 失敗の知識化 7 |
1.4 失敗の学習方法 8 |
1.5 失敗学習の効果 11 |
1.6 失敗情報の特性 15 |
第2章 失敗を体験する 19 |
2.1 教育的失敗を体験させる 19 |
2.2 仮想的失敗と訓練的失敗を体験させる 21 |
2.3 失敗者への対応 23 |
2.4 失敗と育成 24 |
2.5 失敗情報(失敗原因)の分析 25 |
2.6 知識を得るための作業 28 |
2.7 失敗情報の伝達 31 |
第3章 設計における失敗 33 |
3.1 本書で扱う設計の範囲 33 |
3.2 設計における失敗の分類 35 |
3.3 設計の思考過程と仕事の失敗過程 36 |
3.4 失敗した設計者の行動 38 |
3.5 生産組織と失敗情報 40 |
3.6 失敗を考慮した設計 44 |
3.7 失敗に学ぶねじの設計 45 |
よもやま話 三陸大津波の石碑をたずねて 49 |
第Ⅱ編 設計の失敗に学ぶ 57 |
第4章 設計の失敗例 57 |
A-1 図面作成に関する失敗[頭で描いた通りに物ができてこない] |
1 とんでもない断面をもつ代物ができてきた 不注意 62 |
2 ねじの頭がねじ切れた 誤判断 64 |
3 鏡面対称の部品ができ上がった 不注意 66 |
4 上型と下型が合わなかった 手順の不順守 68 |
5 実験ユニットの送りねじがナットにぶつかった 手順の不順守 71 |
6 ねじ穴とキリ穴がずれている 不注意 73 |
7 部品が余計にでき上がってきた 手順の不順守 76 |
A-2 機械設計特有の失敗[機械設計ならではの失敗がある] |
8 隅と角が干渉して組み立たない 無知 79 |
9 押板がコンテナにはまらない 無知 81 |
10 溶接トーチが入らず組み立たない 不注意 84 |
11 ジュラルミンの軸がえぐれてガタがでた 無知 86 |
12 S48Cが溶接で割れた 無知 88 |
13 油圧シリンダのロッドがちぎれた 無知 90 |
14 温度変化で塑性変形が生じた 無知 92 |
A-3 機械要素に関する失敗[いろいろな機械要素を使うたびに失敗する] |
15 送り機構にメートルねじを使ったらかじった 無知 93 |
16 吐出弁の固定ボルトがゆるんだ 無知 95 |
17 学生がボルトを次々と引きちぎった 無知 97 |
18 チェインのテンションが調整できなくなった 無知 99 |
19 ゴムホースにアキュムレータ効果はない 誤判断 101 |
20 左右の伝達熱量が一定にならない 無知 103 |
21 スイングアームにガタがでた 無知 105 |
A-4 設計以降の作業での失敗[図を描いたら終わりと考えるのは甘い] |
22 M3が旧JISで加工されていた 無知 107 |
23 M 1.6のボルトが買えなかった 調査検討の不足 109 |
24 カタログの図面が間違っている 調査検討の不足 111 |
25 電圧をかけたら圧電素子が破損した 調査検討の不足 113 |
26 力センサの出力が変動する 無知 116 |
27 ケーブルが繰り返し曲げ動作で断線した 無知 118 |
B-1 機構決定時の失敗[ポンチ絵を描く段階でまず選択を間違える] |
28 送り機構はうなっただけだった 誤判断 120 |
29 ホイールローダのエンジンパワー配分を間違えた 誤判断 122 |
30 四つ足車両がうまく走らない 誤判断 125 |
31 リミットスイッチがきかずゴチンと衝突した 誤判断 128 |
32 ちょっとしか回転しない 誤判断 131 |
33 1工程でトラブルと全工程がストップする 誤判断 134 |
34 非常事態なのに待機ポンプに切り替わらなかった 誤判断 136 |
35 照明スイッチに手が届かない 誤判断 138 |
36 リムに亀裂が入った 調査検討の不足 140 |
B-2 構造決定時の失敗[計画図を描く段階で思わぬ失敗をする] |
37 ねじ底から亀裂が入って破断した 誤判断 142 |
38 ラジエータに高応力が発生した 誤判断 144 |
39 フレームはグニャグニャだった 誤判断 146 |
40 ダンプトラックのフレームに亀裂が生じた 誤判断 149 |
41 油圧シリンダのロッドがスッポ抜けた 誤判断 151 |
42 大形ダンプトラックが燃えた 誤判断 153 |
B-3 材料決定時の失敗[とくに材料を決定するときに間違った判断をする] |
43 実験室の空調された環境に慣れきっていた 誤判断 155 |
44 ナイロン製フロートが水に浮かない 調査検討の不足 157 |
45 油圧シリンダのロッドが降下した 調査検討の不足 159 |
46 材料置き台のゴムがはがれた 調査検討の不足 161 |
47 クランクシャフトを鋳鉄にしたら振動した 誤判断 162 |
48 アルミは成長する 未知 164 |
49 スーパーインバーを使ったのに熱ドリフトが出る 誤判断 166 |
C-1 製作時に顕在化した失敗[製作時に仮想演習不足が露呈する] |
50 給油穴が詰まった 誤判断 169 |
51 給油穴が再度,詰まった 誤判断 170 |
52 人力で配線設計したら間違いだらけだった 誤判断 172 |
53 金型の表面に筋模様が出た 調査検討の不足 176 |
54 ベベルギアの歯当たりが悪い 調査検討の不足 180 |
55 電子回路が焼損した 誤判断 183 |
C-2 組立・検査時に顕在化した失敗[組立・検査時にもアッと驚く失敗が起きる] |
56 ひずみゲージが配線できない 誤判断 185 |
57 ねじをギュッと締めたら力センサが壊れた 誤判断 187 |
58 並進テーブルが動かない 誤判断 189 |
59 組み立てたらナットが隠れて締められない 誤判断 192 |
60 全数が反射率不良だった 不注意 194 |
61 ねじをいくら回しても動かない 手順の不順守 196 |
62 システムは正常なのに緊急停止した 手順の不順守 198 |
C-3 手配時に顕在化した失敗[手配にまで気配りしないと物はできてこない] |
63 シール不良で装置が止まった 誤判断 200 |
64 設計変更したはずのピストンピンがゆるい 手順の不順守 203 |
65 購買係に怒鳴り込まれた 手順の不順守 205 |
66 ノイズが多くて回路が使いものにならなかった 手順の不順守 208 |
67 平面度不良が大量に発生した 誤判断 210 |
D-1 研究時に生じた失敗[研究しているときにも次ぐと失敗は生まれる] |
68 測定器が回転円筒にクラッシュした 誤判断 212 |
69 測定器が再度,回転円筒にクラッシュした 誤判断 214 |
70 加圧力が足りず,押し出せない 誤判断 216 |
71 力センサの出力が荷重に比例しない 無知 219 |
72 ±0.8μmも振動している 無知 223 |
D-2 生産時に生じた失敗[生産し始めるとクレームが出てくる] |
73 ブランク材にキズ不良が大量発生した 誤判断 226 |
74 CAMで加工したらボスが欠けた 手順の不順守 228 |
75 カナダの現地ワーカから抗議された 価値観の不良 231 |
76 月曜日に穴径不良が多発した 調査検討の不足 233 |
77 ロシアで溶接欠陥が発生した 制約条件の変化 235 |
78 補強板を切断する方向を間違えた 手順に不順守 237 |
79 拡管加工するとパイプが長手方向に曲がった 未知 239 |
D-3 使用時に顕在化した失敗[使用時の失敗も設計者の責任である] |
80 近接センサのリード線が切れた 無知 244 |
81 製品表面のどこにも押し込みキズがある 誤判断 246 |
82 オーストラリアでステアリングが操作不能になった 制約条件の変化 248 |
83 アメリカでワイパの作動不良が発生した 誤判断 250 |
84 ボンネットが走行中に開く恐れがある 誤判断 254 |
85 ドアロックが開かなくなった 誤判断 257 |
86 安定的に脆性材料を折ることができない 未知 260 |
D-4 安全に対する失敗[何よりも安全第一] |
87 材料の圧縮実験で死にそうになった 無知 262 |
88 沸酸で親指が溶けてきた 無知 265 |
89 見えない磁力線に吸いつけられた 不注意 268 |
90 張り切りすぎて精神のバランスを失った 組織運営不良 270 |
91 大径鋼管に挟まれ死亡事故が発生した 誤判断 272 |
E-1 企画における失敗[そもそも出だしの企画が悪かった] |
92 作るより買った方が楽だ 企画不良 280 |
93 自己の能力を超えた設計はできない 企画不良 283 |
94 逆伝達関数が何だかおかしい 誤判断 286 |
95 ロボットコントローラが完成しなかった 企画不良 290 |
96 寒冷地車両試験で事故が続発した 企画不良 293 |
97 自動化しても生産性が上がらない 企画不良 295 |
98 LANシステムを教室内で6人に用いた 企画不良 297 |
99 レーザセンシングシステムの開発を中止した 企画不良 299 |
100 計測管理システムが日本では売れない 制約条件の変化 301 |
101 鋼材価格の暴落で開発技術がボッ 制約条件の変化 303 |
E-2 権利化における失敗[設計の最終段階の刈り取りでしくじった] |
102 修正したはずなのに前のままだった 手順の不順守 305 |
103 研究成果の発表の機会を逸した 企画不良 308 |
104 特許を出す前に学会発表をしてしまった 手順の不順守 310 |
105 ユーザより先にメーカが特許を出していた 企画不良 313 |
106 自分の先願特許で特許が不成立になった 企画不良 315 |
107 取れる特許をみすみす逃した 手順の不順守 318 |
108 国内と海外でその商品名が登録されていた 企画不良 319 |
第Ⅲ編 事故に学ぶ 321 |
第5章 重大事故の例 321 |
5-1 構造物の事故[この事故を知らない機械屋はもぐり!] |
1 アメリカのタコマ橋の崩壊 未知 323 |
2 兵士の行進によるつり橋の落下 未知 328 |
3 アメリカのリバティー船の破壊沈没 未知 331 |
4 世界初のジェット旅客機コメットの空中破裂 未知 336 |
5 ペルシャ湾の原油用海底ラインパイプの割れ 未知 339 |
6 長崎のタービンロータの破裂 未知 342 |
7 和歌山のタービン軸の飛散 未知 350 |
8 ドイツのサイロの崩壊 未知 353 |
9 水島のタンク破損による原油流出 未知 357 |
5-2 輸送システムの事故[人や物を運ぶときに起きる事故は損害が大きい] |
10 青函連絡船の洞爺丸の沈没 未知・組織不良 366 |
11 常磐線三河島での列車三重衝突 組織運営不良 373 |
12 北陸トンネルでの列車火災 組織運営不良 377 |
13 余部鉄橋からの列車転落 組織運営不良 381 |
14 信楽高原鐵識道での列車正面衝突 組織運営不良 385 |
15 フォード社の自動車ピントの衝突火災 企画不良 389 |
16 アラスカの大形タンカーの座礁 組織運営不良 391 |
17 パリ郊外のDC10の墜落 組織運営不良 394 |
18 御巣鷹山のJALジャンボジェット機の墜落 組織運営不良 398 |
19 スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発 組織運営不良 402 |
5-3 プラントの事故[爆発すると取り返しのつかない大事故になる] |
20 三井三池炭坑の炭塵爆発 組織運営不良 407 |
21 アメリカのスリーマイル島原発の破壊 組織運営不良 409 |
22 ロシアのチェルノブイリ原発の爆発 組織運営不良 416 |
23 インドのボパール化学工場の毒ガス漏洩 組織運営不良 424 |
24 メキシコのペメックス社のLPGタンクの爆発 組織運営不良 428 |
25 大阪の樹脂製造工場の爆発 未知・誤判断 435 |
26 大阪大学でのモノシランガス爆発 未知 440 |
第6章 タービンロータ破裂事故に学ぶ 443 |
6.1 事故の背景 443 |
6.2 事故の理解に必要な知識 447 |
6.3 事故の原因・経過 454 |
6.4 事故後の対処 461 |
6.5 事故に学ぶ 463 |
第Ⅳ編 失敗を生かす 467 |
第7章 失敗を生かす 467 |
7.1 技術者としてやるべきこと 467 |
7.2 技術者の育成でやるべきこと 469 |
7.3 失敗と組織 474 |
7.4 物作りと失敗 477 |
おわりに 483 |
設計の失敗例の索引 487 |
重大事故の例の索引 491 |
略号・記号表 493 |
索引 496 |