序 半田 宏 |
歴史編 |
1.研究の歴史 |
歴史から学ぶ転写研究 和田忠士、山口雄輝、半田 宏 12 |
1.研究の流れ 12 |
1)転写研究の勃興期 12 |
2)真核生物におけるシスエレメントと転写因子の固定 14 |
3)in vitro転写系の確立とその利用 16 |
4)クロマチン構造と転写制御の関連の解明 20 |
2.低分子化合物を用いた転写研究 : ケミカルバイオロジー的アプローチ 23 |
1)5-アザシチジン 23 |
2)DRB 24 |
2.ブレイクスルーとなった実験法から最新技術まで |
転写研究を支える周辺技術 山口雄輝、半田 宏 27 |
1.ノーザンブロッティング : RNAを定量する 27 |
2.マイクロアレイ解析 : 多遺伝子の発現を一挙に調べる 27 |
3.S1マッピングとRNaseマッピング : RNAの量と構造を解析する 29 |
4.プライマーエクステンション法 : 転写開始点を決定する 29 |
5.核ランオンアッセイ : mRNAの合成速度を調べる 30 |
6.亜硫酸水素塩シークエンシング : DNAのメチル化を解析する 31 |
7.核抽出液と全細胞抽出液の調製 31 |
8.クロマチンの再構成 32 |
9.In vitro転写系 : 試験管内で転写反応をおこす 33 |
10.レポーター遺伝子アッセイ : 細胞内の転写量を調べる 34 |
11.ゲルシフトアッセイ : 転写因子とDNAの相互作用を調べる 34 |
12.フットプリンティング : 転写因子が結合するDNA領域を解析する 36 |
13.クロマチン免疫沈降アッセイ : 転写因子やヒストンとゲノムDNAの相互作用を解析する 36 |
14.DNA固定化アフィニティクロマトグラフィ : DNA結合性転写因子を固定する 37 |
15.SELEX : 転写因子が結合するDNA配列を決定する 39 |
レビュー編 |
第1章 |
転写開始反応の制御機構 古久保哲朗 42 |
1 情報処理装置としてのコアプロモーターの機能 42 |
2 転写開始反応を制御するタンパク質群 45 |
1)基本転写因子 : コアプロモーターの情報処理を助けるTF II Dを中心に 45 |
2)成分と構造の変化で転写活性を制御するメディエーター 46 |
3)TF II Dとよく似た働きを持つSAGA 48 |
4)TBPを介して転写を制御するコファクター 49 |
第2章 |
mRNAの合成とプロセシングの機構 相田将俊、山口雄輝、和田忠士、半田 宏 52 |
1 mRNA産生機構のキー・プレイヤー : CTD 52 |
2 転写伸長段階を制御する因子群 54 |
3 転写伸長中におきるmRNAプロセシング 56 |
1)5'キャッピング 56 |
2)スプライシング 56 |
3)3'プロセシングと終結 57 |
4 mRNAの核外輸送 58 |
5 品質監視機構 : mRNAサーベイランス 59 |
第3章 |
クロマチンリモデリング 田頭英樹、中川武弥、沖 昌也、安井 潔、伊藤 敬 62 |
1 クロマチン形成に働く因子 62 |
2 クロマチンリモデリングはATP依存性タンパク質群により調節される 64 |
3 ATP依存性クロマチンリモデリング複合体の単離・同定 65 |
1)SWI/SNF複合体 65 |
2)ISWI複合体 66 |
3)NuRD複合体 67 |
4)Swr1複合体 67 |
4 クロマチンリモデリングのメカニズム 67 |
5 クロマチンリモデリング複合体とヒストン修飾酵素 70 |
第4章 |
ホルモン応答と転写 小川英知、土屋 恵、諸橋憲一郎 73 |
1 核内レセプターのドメイン構造と機能 73 |
1)リガンド結合ドメイン(Ligand binding domain:LBD)の構造とリガンドの認識機構 74 |
2)DNA結合領域(DNA binding domain:DBD)の構造が示す標的配列の認識機構 75 |
3)2つの転写活性化領域(transactivation function:AF)とそれぞれの役割 76 |
2 コファクターの同定およびクロマチンレベルでの転写制御機構の解明へ 76 |
1)転写の活性化機構に関与する介在因子 : コアクティベーター 77 |
2)転写の抑制機構に関与する介在因子 : コリプレッサー 78 |
3)ヒストン修飾によるヒストンコードから予想される多段階の転写調節のステップ 78 |
3 今後の展開 80 |
第5章 |
免疫・炎症応答と転写ーNFkB、IRFとSTATファミリー 中嶋弘一 82 |
1 NF-kB転写因子系の成り立ち 82 |
2 NF-kB標準経路の活性化のしくみ 85 |
3 NF-kBはどのように転写を活性化するのか 86 |
4 IRF系の活性化と役割 88 |
5 STATファミリーの活性化と働き方 89 |
6 NF-kBやSTAT3の人為的制御法 90 |
第6章 |
環境ストレス応答と転写-HIF-1とHSF 田中廣壽、清水宣明 94 |
1 低酸素下で働きが誘導される転写因子 : HIF-1 94 |
1)HIF-1の構造と機能 94 |
2)HIF-1の活性制御と転写調節機構 96 |
3)HIF-1研究の展開 97 |
2 ヒートショック応答性を調節する転写因子 : HSF 97 |
1)HSFの構造と機能 97 |
2)HSFによる転写制御機構 98 |
3)今後のHSF研究の展開 99 |
第7章 |
細胞増殖の制御と転写(p53、Rb、E2F ) 田中信之 101 |
1 細胞増殖制御におけるRb-E2F系の役割 103 |
2 p53は細胞周期をG1、G2/M期で静止させる 103 |
3 p53タンパク質の活性化にはユビキチン化、リン酸化、アセチル化、メチル化が関与する 104 |
4 p53、Rbは細胞老化を誘導して癌化を抑制する 104 |
5 Rbファミリー分子は細胞増殖および細胞老化の制御の中心である 105 |
6 オンコジェニックストレスによってp53は活性化され細胞増殖の制御および癌化の抑制に機能する 106 |
7 今後の研究の展開 107 |
第8章 |
概日周期の制御と転写 藤本義人、岡村 均 109 |
1 振動の発振原理 110 |
2 いろいろな時計遺伝子とモデル動物 111 |
1)Per (Period) 111 |
2) Cry(Cryptochrome) 113 |
3) Clock(Clk) 113 |
4) Bmal 1 114 |
5) CKI(casein kinase 1) 114 |
3 概日周期を制御するゲノム配列 115 |
1)E-box 115 |
2) ROR応答配列 115 |
3)DBP応答配列(D-box) 115 |
第9章 |
組織特異的な転写調節(神経系での転写調節) 徳永暁憲、岡野栄之 118 |
1 中枢神経の発生様式 118 |
2 時間的調節 : 神経幹細胞の増殖、維持およびニューロン分化を制御する転写因子 120 |
1)NotchシグナルとbHLH型転写因子による制御 120 |
2)Notchシグナルの基本経路 120 |
3)ニューロン、グリアへの分化制御 120 |
3 制御因子による領域特異性の獲得 121 |
1)脊髄での領域化 122 |
2)終脳および大脳皮質での領域化 123 |
4 最近の動向と今後の展開 123 |
第10章 |
クロマチンダイナミクスとエピジェネティックな転写制御 藤村雄一、古関明彦 127 |
1 クロマチンの基本構造 128 |
2 クロマチン構造に大きな影響を与えるヒストンの化学修飾(ヒストンコード) 129 |
3 Hox遺伝子をエピジェネティックに転写制御するポリコーム・トライソラクス遺伝子群 130 |
4 ポリコーム遺伝子群はヒストンの化学修飾にも関与する 131 |
第11章 |
ゲノムインプリンティング 石野忠敏、金児-石野知子 134 |
1 インプリンティング領域とインプリンティング遺伝子 134 |
2 ゲノムインプリンティングの制御体系 137 |
1)体細胞における片親性発現制御 137 |
2)生殖細胞におけるゲノムインプリンティング記憶 138 |
3 ゲノムインプリンティングの生物学的意味 141 |
第12章 |
性染色体の遺伝子量補正 後藤友二 144 |
1 遺伝子量補正機構の様式 144 |
2 ショウジョウバエにおける遺伝子量補正機構 146 |
1)DCCの形成と局在 146 |
2)DCCのX染色体への局在に関わるroX RNA 146 |
3)DCCの転写調節機構 147 |
3 マウスにおける遺伝子量補正機構 148 |
1)Xistの機能解析 148 |
2)Xistの発現を調節するTsix 148 |
3)不活性化の分子機構 148 |
4 遺伝子量補正機構の共通点、相違点 149 |
UP TO DATE |
最新トピックス |
1 明らかになりつつある非コードRNA SINEの役割 (半田 宏) 154 |
2 原核生物で新たに発見された転写制御メカニズム : リボスイッチ (半田 宏) 154 |
3 転写開始複合体形成後の転写制御 : 揺らぎはじめたパラダイム (半田 宏) 155 |
4 活用の幅が広がるSELEX (山口雄輝、半田 宏) 155 |
5 微量の核酸を定量する革新的方法 : リアルタイムPCR (山口雄輝、半田 宏) 156 |
6 β-アクチンは転写因子? (古久保哲朗) 156 |
7 新しくみつかった転写の切り替えスイッチ |
-ポリADPリボシル化酵素PARP1 (古久保哲朗) 157 |
8 CTDの2次構造 (相田将俊、山口雄輝、和田忠士、半田 宏) 157 |
9 魚雷がポリメラーゼを撃沈する? (相田将俊、山口雄輝、和田忠士、半田 宏) 158 |
10 クロマチンにしおりを挟む (小川英知、土屋 恵、諸橋憲一郎) 159 |
11 瞬きをしている間の出来事 (小川英知、土屋 恵、諸橋憲一郎) 159 |
12 IKKαの新規役割 : IKKαはマクロファージNF-kB活性化を限定し、炎症応答の遅延化を防ぐ (中嶋弘一) 160 |
13 IRF5はNF-kBとともにサイトカイン量生に働く (中嶋弘一) 161 |
14 転写因子によるキナーゼ活性化 : STAT3はTAK1依存的にNLK活性化に働き、自らのSer727リン酸化を招く (中嶋弘一) 161 |
15 STAT3転写制御機構研究法 (中嶋弘一) 163 |
16 von Hippei-Lindau癌抑制遺伝子の変異とHIF-1ーこわれるはずのものがこわれないと (田中廣壽、清水宣明) 163 |
17 HSFは遺伝性白内障の原因遺伝子である (田中廣壽、清水宣明) 164 |
18 リズミックなヒストンのアセチル化が遺伝子の概日周期的発現を制御する (藤本義人、岡村 均) 164 |
19 哺乳類概日時計は細胞ごとに自律的に振動している (藤本義人、岡村 均) 165 |
20 細胞の運命を司る小さなRNA (徳永暁憲、岡野栄之) 165 |
21 Shh-Gliに規定される遺伝子発現 (徳永暁憲、岡野栄之) 166 |
22 可視化されたクロマチンダイナミクス (藤村雄一、古関明彦) 166 |
23 ポリコームタンパク質は、Hox遺伝子の転写に背反的機能をもつ (藤村雄一、古関明彦) 167 |
24 コブラでDNAメチル化状態を調べよう(COBRA法) (石野忠敏、金児-石野知子) 167 |
25 コンフリクトそして/またはコンプリメント!? (石野忠敏、金児-石野知子) 168 |
26 ASSASSIN~オスだけを狙う刺客~ (後藤友二) 168 |
27 ESCAPEE~遺伝子量補正機構から逃れる遺伝子たち~ (後藤友二) 169 |
索引 170 |