権利と価値 |
淡路剛久・川本隆史・植田和弘・長谷川公一 |
『リーディングス環境』の刊行にあたって 編者一同 |
解題 1 ●植田和弘 |
Ⅰ被害・損失・費用 13 |
1社会的費用の本質とその重要性 15 ●K・W・カップ(篠原泰三訳)『私的企業と社会的費用―現代資本主義における公害の問題』より |
2環境被害論 24 ●寺西俊一「〈環境被害〉論序説」淡路剛久・寺西俊一編『公害環境法理論の新たな展開』より |
問題の多様化と広がり―新たな現実をどう受け止めるか 24 |
「被害論」の重要性とその理論的位置(24)「被害論」の再構築に求められる四つの視点(25) |
求められる〈環境被害〉論の展開―それをどう組み立てるか 27 |
新たなキイ概念としての〈環境被害〉(27)各種の〈環境被害〉をめぐる若干の課題(28) |
3自動車の社会的費用 34 ●宇沢弘文『自動車の社会的費用』より |
社会的費用の概念(34)自動車の社会的費用とその内部化(38) |
4被害の社会構造 40 ●飯島伸子『環境問題と被害者運動』より |
被害構造のイメージ 41 |
四つの被害レベル(4)被害度の規定要因(44) |
生命・健康の破壊―被害認識をめぐる問題点 47 |
5環境問題への社会学的視座 50 ●船橋晴俊「環境問題への社会学的視座―『社会的ジレンマ論』と『社会制御システム論』」『環境社会学研究』創刊号、より |
はじめに 50 |
環境問題と社会的ジレンマ論 51 |
環境問題をめぐる社会的ジレンマの基本特徴(51)社会的ジレンマの七類型(53)社会的ジレンマ論の長所と適合的な対象の限界(56)解決論への示唆(56) |
社会制御システムの両義性と交錯性 58 |
市場、行政、社会運動の対抗性と相補性(58)社会制御システムの基本特性(59)社会制御システムにおける社会的ジレンマの解決過程(59)公論形成の場と環境社会学の課題(61) |
6実践モデルとしての環境正義 62 ●Bullard、Robert D.、Dumpling in Dixie : Race, Class, and Environmental Quality、2nd ed., Chap.6(ロバート・ブラード、原口弥生・長谷川公一訳『アメリカ南部諸州の投棄問題―人種・階級と環境の質』第6章)より |
政府の行動を待って(62)システム変革の原動力(63)過去の不衡平の改善(64)モデルとなる環境正義の枠組(65)草の根レベルでの勝利(69)結論(73) |
7環境破壊の構造とエリート主義 75 ●戸田清『環境的公正を求めて』より |
環境革命の時代 75 |
環境的公正の追求 76 |
エリート主義対参加民主主義 78 |
概念規定をめぐって(78)環境問題からのエリート批判(79)環境破壊の構造(原因、影響、対策)とエリート主義(80)エリート主義の逆説事象(82) |
Ⅱ環境権の考え方 87 |
8公共信託―環境権の新しい憲章 89 ●J・L・サックス(山川洋一郎・高橋一修訳)『環境の保護―市民のための法的戦略』より |
9東京宣言 100 ●国際社会科学評議会・環境破壊常置委員会主催の国際シンポジウムで公表された「東京宣言」(淡路剛久訳)より |
10環境権―確立のための提言と差止請求における位置づけ 102 |
●大阪弁護士会環境権研究会編『環境権』第Ⅱ編第二章第一節六(真鍋正一)、第Ⅱ編第二章・第四章(川村俊雄・滝井繁男)より |
環境権の意義とその性質 102 |
意義(102)性質(103) |
環境権と差止請求―環境権の位置づけ 105 |
環境権の意義(106)権利の主体(108)権利の性質(108)権利の内容(111) |
11環境権の確立を求めて 116 ●淡路剛久「環境権の確立を求めて」『公害研究』第二〇巻第一〇号、より |
環境権をめぐるわが国の状況 116 |
環境権をめぐる推移(116)環境権をめぐる現状(117) |
外国における環境権の動向 118 |
環境権規定の憲法への導入(118)環境権の直接的ないし実質的保護の方法(120) |
結語―環境権の確立を求めて 121 |
12環境権の内容 124 ●沢井裕『公害差止の法理』より |
絶対的差止基準の設定 124 |
違法性判断の相対的基準 125 |
被侵害利益の評価(126)侵害行為の態様(128) |
13環境行政の位置づけ 138 ●原田尚彦『環境権と裁判』より |
環境行政法の性質 138 |
環境行政訴訟の役割 141 |
14法をわれらに(一九七三年八月~十九七四年三月)145 ●松下竜一『豊前環境権裁判』より |
提訴(145) |
15良好な環境を享受する権利 154 ●畠山武道『アメリカの環境保護法』より |
連邦憲法と環境権…………… 154 |
はじめに(154) |
州法による環境権の保護 155 |
州憲法と環境権保護(155)まとめ(155) |
16財産権とアメニティ権 159 ●E・J・ミシャン(都留重人監訳)『経済成長の代価』より |
Ⅲ自然の権利 167 |
17自然の権利 169 ●ロデリック・F・ナッシュ(松野弘訳)『自然の権利―環境倫理の文明史』より |
「自然権」思想から「自然の権利」思想へ(169)「環境運動」の新しい倫理的志向性(171)地球という名の奴隷解放(172)自然保護思想から環境主義思想の文脈へ(175)「次なる革命」としての環境主義思想(178)自然権哲学の伝統への回帰を(179) |
18動物の権利の擁護論 181 ●トム・レーガン(青木玲訳)「動物の権利の擁護論」小原秀雄監修、鬼頭秀一ほか編・解説『環境思想の系譜3環境思想の多様な展開』より |
菜食主義、功利主義、および動物の権利(181)権利と環境倫理―ついでに(182)要約と結論(184) |
19倫理と自然物の権利 190 ●K・S・シュレーダー=フレチェット(谷本光男訳)「倫理と自然物の権利」シュレーダー=フレチェット編(京都生命倫理研究会訳)『環境の倫理』上、より |
地球の利益と人間の利益(191)自然物の権利を擁護する議論(192)自然の権利を認めることに関する哲学的問題(193)自然の権利を認めることに関する実際上の問題(195)結論(197) |
20樹木の当事者適格―自然物の法的権利について 200 ●クリストファー・ストーン(岡嵜修・山田敏雄訳)「樹木の当事者適格―自然物の法的権利について」『現代思想』一九九〇年一一-一二月号、より |
序―途方もないこと(200)実質的権利に向けて(203)精神的・社会心理的側面(205) |
Ⅳ環境の価値 225 |
21環境倫理確立をめざして 227 ●都留重人『環境教育―何が規範か』より |
22環境評価の共通問題 233 ●鷲田豊明『環境評価入門』より |
自然科学的評価と社会経済的評価(223)環境の多次元性(236)環境の全体性と倫理意識(238)指数・物量評価と貨幣評価(241)「正しい評価」という問題(242) |
23エコロジー的評価と経済的評価 245 ●J・マルチネス=アリエ(工藤秀明訳)『エコロジー経済学』増補改訂新版、より |
エコロジー的認識と環境政策アジェンダ(245)計量しえない外部性としての地球温暖化(247)疑わしい原子力の経済性(249)エネルギーと経済―歴史的概観(250)略奪経済(253)エコロジー的社会主義の成長(254)エコロジーと社会主義経済における経済計算論争(256)エコロジー的合理性の限界(259)政治的結論(262) |
24価値のエコロジカル・モデル 264 ●間瀬啓允『エコフィロソフィ提唱―人間が生き延びるための哲学』より |
「こと」としての生命(264)生命中心の倫理(265)価値のローカス(265)価値のエコロジカル・モデル(267)人間中心主義を超えるもの(268) |
25環境危機とディープ・エコロジー運動 270 ●マルネ・ネス(斎藤直輔・開龍美訳)『ディープ・エコロジーとは何か―エコロジー・共同体・ライフスタイル』より |
状況の深刻さ(270)生産と消費―イデオロギーと実践(272)私たちの生態学的知識は著しく制限されている―エコ政治から見た無知の影響(273)ディープ・エコロジー運動(274)ディープ・エコロジー運動の綱領(276) |
26共に生きる 280 ●森崎和江『いのちの素顔』より |
Ⅴ環境と所有・責任 289 |
27共有地の悲劇 291 ●ギャレット・ハーディン(桜井徹訳)K・Sシュレーダー=フレチェット編(京都生命倫理研究会訳)『環境の倫理』下、より |
共有地における自由という悲劇(291)汚染(293)「自制」をいかに法制化するか?(294)「出産の自由」は許されない(295)良心は自らを消滅させていく(297)良心という病原(297)相互に合意された、相互的強制(299)必要性の認識(301) |
28人口爆発と環境危機の真実 304 ●バリー・コモナー(松岡信夫訳)『地に平和を―エコロジー危機克服のための選択』より |
人間が多すぎる?(304)地球の限界についての混乱(304)人口よりも技術が問題(306)貧しいから飢える(309)生活水準が人口を決める(310)人口抑制の神話(312)植民地主義が人口を爆発させた(314)償いとしての富の再配分(315) |
29アメリカ法における緑の所有権論 317 ●吉田邦彦「環境権と所有理論の新展開」山田卓生編集代表、藤岡康宏編集『新・現代損害賠償法講座』第二巻(吉田『民法解釈と揺れ動く所有論』収録)より |
概況(317)環境倫理の展開(318)法学者へのメッセージ及び法原理化(319)コモンズの経済学としての説明(320) |
30そこに住む者の権利 326 ●鳥越皓之「そこに住む者の権利」三戸公・佐藤慶幸編『環境破壊』より |
はじめに―問題関心 326 |
環境権の当面の限界(326)共同占有権の存在(327) |
主体性と共同占有との関連 327 |
問題の所在(327) |
共同占有の研究史上の位置づけ 329 |
生活環境主義の所有論(329)総有論(329)入会地と共同占有(330) |
都市における共同占有 331 |
市民の共同占有活動(331)各地区にみられる住民自身の意志決定(332) |
行政による住民参加への具体的施策 333 |
住民の主体性鼓舞(333)まちづくり条例(333)まとめ(334) |
31環境社会学の所有論的パースペクティブ 336 ●池田寛二「環境社会学の所有論的パースペクティブ―『グローバル・コモンズの悲劇』を超えて」『環境社会学研究』創刊号、より |
地球環境問題と地域環境問題を結ぶ所有論の視点(336)所有の諸類型―自然人の所有と法人所有、占有、専有、所有、管理(339)所有の複合作用と環境問題―法人所有と市場システム(343)結語(345) |
32コモンズとしての熱帯林 348 ●井上真「コモンズとしての熱帯林―カリマンタンでの実証調査をもとにして」『環境社会学研究』第三号、より |
はじめに(348)熱帯林地域の発展におけるコモンズの意義―規範的コモンズ論(349)ケニァ人による森林利用の持続性―実証的コモンズ論(351)東カリマンタンにおける森林地域発展の方向性(353)おわりに(356) |
33損害賠償の経済分析 359 ●浜田宏一『損害賠償の経済分析』より |
34事故の費用 363 ●グイド・カラブレイジ(小林秀文訳)『事故の費用―法と経済学による分析』より |
事故法の目標と下位目標 363 |
正義(363)事故費用の低減(365) |
35土壌汚染浄化法 370 ●大塚直「土壌汚染浄化法制の現状と課題」加藤一郎・森島昭夫・大塚直・柳憲一郎監修、安田火災海上保険(株)・(株)安田総合研究所編『土壌汚染と企業の責任』より |
ヨーロッパ主要国の動向(370)アメリカのスーパーファンド法(378) |
36循環経済および廃棄物法 384 ●松村弓彦「循環経済及び廃棄物法―循環経済の促進及び廃棄物の環境に適合した処分の確保に関する法律」『主要国における最新廃棄物法制』(『別冊NBL』四八号)より |
循環経済及び廃棄物法の概要(384)廃棄物と土壌汚染(394)おわりに(395) |
出典一覧 |