まえがき i |
I 美と交際文化の政治学 3 |
序章 美の国日本と徳川ネットワーク革命 5 |
市民社会とシヴィリティー 9 |
美に関する教養知識の大衆化 13 |
「弱い紐帯がもつ強さ」 17 |
徳川のプロトモダニティー 20 |
1 市民社会なき市民的礼節―比較論的概観 26 |
日本―礼節と行儀作法の学校 27 |
市民的礼節と市民社会 30 |
相互依存時代における道徳としての「ストレンジャーシップ」 35 |
エリアスの文明化モデル 38 |
取引に要する情績コストと、礼節 40 |
礼節、国家、結社のネットワーク 45 |
国家-市場間の関係 48 |
パブリック圏の多様性と礼節 53 |
「隠れ家」と正規の両アイデンティティーにわたる文化的流動性 58 |
2 創発特性としての文化とアイデンティティー 62 |
ネガティヴ空間としてのパブリック圏 62 |
「ストーリー」のネットワーク 66 |
パブリック圏の再定義 68 |
動態としてのパブリック圏―スイッチングとエージェンシー 72 |
動態としてのアイデンティティー 74 |
「増えれば変わる」 76 |
創発特性 78 |
文化とエージェンシーの関係はオーシャン・ライナーとその船長 81 |
パブリック圏のカテゴリカルな階層化 85 |
国家と結社とパブリック圏 91 |
II 結社の政治学と美のパブリック圏 97 |
プレリュード 99 |
「公」―その考古学と組織学 100 |
集合的文芸―比較的考察 105 |
3 美のパブリック圏の中世的起源―自由をめぐる儀礼のロジックと連歌 111 |
座の文芸と「シヴィリティー」―概観 111 |
座の組織の起源 116 |
美と天皇権力 119 |
連歌―日本における美的パブリック圏の原型 122 |
花の下連歌 123 |
花の下連歌と「無縁」 125 |
聖なるものの領域と芸能 130 |
周縁から吹きこむ風 132 |
結語 138 |
4 中世後期における座の芸能の変容―ヨコの組織原理対タテの組織原理 143 |
二つの組織論的原理 145 |
パブリック所圏域のトポグラフィカルな転換 148 |
座の芸能の伝播 155 |
詩歌と一揆同盟 157 |
座の組織と自律精神の衰退 162 |
茶の湯の政治学 165 |
利休の死 168 |
5 徳川の国家形成と美のパブリック圏の変容 172 |
国家形成、政治的なヒエラルキー、制度的な分節化 173 |
徳川のネットワーク革命 177 |
「パブリック」の階層的構造の再編成 181 |
「隠れ家」パブリック圏と私生活の発明 182 |
6 美的社交の徳川的形態 186 |
礼節としての美的教養知識 188 |
私的空間における「隠れ家」アイデンティティー 193 |
名づけのテクノロジー 196 |
徳川身分制度の三つの次元 197 |
にわか成金と美的パブリック圏 200 |
芸事と境界侵犯 204 |
文化におけるさまざまな権威と、美の分野の自律性 212 |
家元制―新しい芸能組織の発明 218 |
家元制の権威と商業的構造 220 |
7 俳諧、その「弱い紐帯」がもつ強さ 225 |
俳諧組織の水平的構造 230 |
初期の俳諧ネットワーク 234 |
俳諧づくりの商業化 235 |
商業化を批判した芭蕉 239 |
江戸における「月並」俳諧の流行 241 |
川柳の勃興―滑稽詩と批判精神 244 |
女性俳人たち 246 |
「俳諧化」の手法―諧謔と破壊 250 |
共通性と滑稽精神の勃興 252 |
「われにひとしき人」との交際―渡辺崋山の格闘 258 |
8 詩とプロテスト―社会的な力の勃興 266 |
農村教養層の出現 267 |
雪国の俳諧ネットワーク 270 |
複雑に重なり合うネットワーク 273 |
江戸の後背地における俳諧サークルと国学 275 |
ネットワークのなかで国学が占める戦略的位置 276 |
農村における読み書き能力と俳諧サークル 279 |
詩のサークルと自由民権運動 281 |
俳諧ネットワークと困民党の蜂起 282 |
9 暗黙のコミュニケーションと民族アイデンティティー 286 |
メタ基準としての「暗黙оタシツトо)」の真理 286 |
非二元論と美の実践 288 |
連歌のコミュニケーション 294 |
あいまいさと日本 299 |
III 市場と国家とカテゴリーの政治学 307 |
プレリュード 309 |
10 浮世からのプロテスト―ファッション・国家・ジェンダー 316 |
ファッション政治学の誕生 320 |
徳川ファッションの物質的・テクノロジー的な基盤 326 |
贅沢の規制とファッションの政治学 330 |
贅沢禁止令をめぐる比較論的考察 333 |
「かぶき」―浮世からのカテゴリカルなレジスタンス 337 |
都市におけるマス・ファッションの登場 349 |
ファッション・コンテストと贅沢規制 351 |
ファッション礼節とカテゴリカルな秩序 354 |
「粋」―都会的「シック」の出現 358 |
変化を起こすものとしてのファッション 363 |
11 徳川の商業出版とプロトモダン文化 365 |
はじめに 365 |
徳川商業出版の歴史―比較論的概観 369 |
木版印刷復活の謎 372 |
市場競争の効果 375 |
文芸の大衆化と教養知識の普及 378 |
読み書きの普及 381 |
行商人と貸本屋―書籍の流通ネットワーク 384 |
出版規制とその効果 388 |
徳川知識人世界の組織論的構造 393 |
出版と読書のプロトモダン的関係 396 |
12 美の身体技法―手引書に見るエチケットとマナー 408 |
はじめに 408 |
徳川の教養知識本 414 |
徳川のマナー―権力と美と 417 |
身体挙措の階層性と美 420 |
テーブルマナー 428 |
肉体制御メカニズムとしての美 432 |
儒教礼法と美 436 |
「ポライト・キャピタリズム(いんぎん資本主義)」の勃興 439 |
ヒエラルキーにもとづく礼節と日本イメージ 445 |
IV 変幻する日本イメージ |
13 美の国日本の誕生 455 |
徳川社会における美のパブリック圏の位相 457 |
「弱い紐帯」と複合アイデンティティー 459 |
重なり合うネットワークの強さ 461 |
市場主導の伝統形成 463 |
天皇と美の伝統 466 |
徳川のプロトモダニティーと国民国家 467 |
美的日本―絶えず更新されるその定式 470 |
エピローグ 475 |
あとがき 481 |
文献と補説 528 |
索引 538 |
図版目録 |
カバー 文読む女―歌川豊国〔ロサンゼルス・カウンティ美術館、エツコとジョー・プライス・コレクション〕 |
カラー1 花見と和歌のやりとり―勝川春章「桜下詠歌の図」〔太田記念美術館〕 |
カラー2 舞台の上の女役者―「歌舞伎図巻」〔徳川美術館〕 |
カラー3 酔狂な酒飲み合戦―「高陽闘飲図巻」〔ニューヨーク公共図書館、スペンサー・コレクション〕 |
カラー4 リラックスしたライフスタイル―葛飾北斎「富嶽三十六景 五百らかん寺さざゐ堂」〔ライデン国立民族学博物〕 |
中扉ウラ |
図I(4頁) 美の国日本―メルセデス・ベンツの広告〔ダイムラー・クライスラー日本株式会社〕 |
図II(98頁) 桜の花の下で踊る―雲谷等顔「花見鷹狩図屏風」〔MOA美術館〕 |
図III(308頁) 祝いの席で「祝儀」の芸―松屋耳鳥斎「絵本古鳥図賀比」〔ニューヨーク公共図書館、スペンサー・コレクション〕 |
図IV(454頁) 富士は日本一の山―「江戸大節用海内蔵」〔早稲田大学図書館〕 |
本文図版 |
図4-1(151頁) 狂い踊る―岩佐又兵衛「豊国祭礼図」〔徳川美術館〕 |
図6-1(195頁) 「おさらい」会―松尾耳鳥斎「絵本古鳥図賀比」〔ニューヨーク公共図書館、スペンサー・コレクション〕 |
図6-2(205頁) 生け花は紳士のたしなみ―「大日本永代節用無尽蔵」〔早稲田大学図書館〕 |
図7-1(229頁) 狂歌の会―岳亭(八島定岡)「狂歌日本風土記」〔大英博物館〕 |
図10-1(322頁) 湯女たち―「湯女図」〔MOA美術館〕 |