序文 7 |
「自由化」ということばが、ごまかしているもの |
電力自由化を推進したイデオロギー「新自由主義」 |
商品として扱うことがむずかしい電力の特異性 |
将来についてだれも責任をもたない制度 |
多国籍電力企業の台頭はなにをもたらすか |
第一部 戦略の確立―規制緩和以前の米国電力産業 |
第一章 電力公営化を阻止し、利益を隠す―二〇世紀初頭 37 |
民間企業による公営電力ヘの攻撃 |
自治体と民営公益事業者の闘い |
公営化を阻止するための政治的戦略 |
規制を受けいれることで手に入れた事業の独占 |
持ち株会社をつかって法外な利益を得る方法 |
第二章 大規模化するプロパガンダ―両大戦間 60 |
プロパガンダ組織のおどろくべき活動規模 |
第三者を通じて信用させるテクニック |
メディアを代弁者に仕立て上げる |
教育界から反対意見を一掃する |
株を市民に所有させて味方につける |
第三章 公的規制を求める民衆の闘い―第二次大戦まで 89 |
公営電力を求める動きとプロパガンダ組織 |
民営事業者が公営事業者につかった手 |
カリフォルニアの電力公営化を阻止した手法 |
ペンシルベニア州のゆるやかな公営化計画 |
ルーズベルト政権が着手した規制導入 |
「偽の草の根運動」で巻き返しをはかった民営事業者 |
第四章 プロパガンダで難局を乗り切る―第二次大戦後 116 |
公的所有に反対する広告キャンペーン |
民営公益企業に汚染された学界・教育界 |
冷戦下の反共政策を利用したプロパガンダ |
コスト高のつけを一般消費者に肩代わりさせる |
台頭する環境保護論者をとり込む |
第二部 市場原理主義と強欲―米国の規制緩和 |
第五章 規制緩和へと世論を誘導する 147 |
レーガン政権からはじまった規制緩和 |
だれが規制緩和を主張したのか |
自由市場のイデオロギーで本心を隠す |
規制緩和のさきがけ、カリフォルニア州の動き |
第六章 カリフォルニアでの莫大な儲け 172 |
やぶられた約束 |
電力取引所のしくみと不可解な価格の高騰 |
意図的な供給制限で価格をつり上げる |
ほかにもあった価格操作の手法 |
負債を抱えたと主張した公益企業の実態 |
「停電」と「倒産」をちらつかせる巧みな恐喝 |
第七章 連邦政府はなにをしてきたか 203 |
電力危機は規制緩和が足りなかったせい? |
各地でみられた「停電」と「価格の高騰」 |
公営化の動きを封じるための一大キャンペーン |
エネルギー企業とブッシュ政権の蜜月関係 |
電力危機の原因をすりかえようとした業界や当局 |
第八章 エンロンの興隆 235 |
規制緩和の強力な推進者 |
バーチャル売買が中心だったエンロンの事業内容 |
エンロンと政界の深いつながり |
環境保護団体を籠格し利用したエンロン |
世界じゅうで展開された強力なロビー活動 |
第九章 エンロンの破綻 270 |
破綻がもたらした世界的混乱 |
エンロン流の大胆な不正会計トリック |
金融界全体が偽装工作に加担していた |
坂道を転げ落ちるような崩壊 |
エンロンだけが特別ではない |
第三部 電力自由化という実験―英国の規制緩和 |
第一〇章 規制緩和前の電力事情―一九八〇年まで 297 |
公営電力が支持されてきた二〇世紀初頭 |
多数の公営事業者と多数の民営事業者 |
効率化を目的とした法律による改革 |
第二次世界大戦をへて国営化へ |
第一一章 レトリックに隠された自由化の真の動機 317 |
一転して民営化のさきがけとなった英国 |
シンクタンクが広めた巧妙な論理 |
民営化を後押しした政治的、イデオロギー的な目標 |
サッチャー政権下でおこなわれた電力民営化 |
第一二章 電力自由化がもたらした問題 336 |
極端に誇張して伝えられた民営化の「成功」 |
燃料価格の下落と株価上昇が生んだ巨額利益 |
電力プールの失敗と新取引制度の導入 |
押し寄せる電力事業再統合の波と外国資本 |
不安定な価格、「燃料貧乏」に苦しむ低所得者層 |
第四部 日本の電力自由化 |
第一三章 日本の電力自由化の行方 363 |
日本の電力の歴史 |
原子力事故でひろがる国民の不安 |
規制緩和の推進力となっているのはなにか |
自由化の現状と今後の展開 |
自由化の結果として予想されるさまざまな問題 |
訳者あとがき 380 |