科学技術社会論の技法 |
まえがき iii |
Ⅰ 事例分析 1 |
第1章 水俣病における行政と科学者とメディアの相互作用 杉山滋郎 3 |
1 はじめに:事実の記述 3 |
2 論点の提示 7 |
3 事態の再考 9 |
3.1 中和作用 9 |
3.2 「二転三転」という論難をめぐって 12 |
3.3 行政と科学者の「共鳴」 15 |
第2章 イタイイタイ病問題解決法にみる専門家と市民の役割 梶 雅範 21 |
1 はじめに-イタイイタイ病と神岡鉱山 21 |
2 神岡鉱山と鉱害問題 22 |
3 イタイイタイ病の発生と鉱毒説の確率 23 |
4 住民運動とイタイイタイ病裁判第一審 26 |
5 控訴審と判決後に締結された三井金属との公害防止協定 28 |
6 裁判後の発生源対策-専門家と市民参加 29 |
7 患者の不確定とイタイイタイ病カドミウム説の否定-「専門家」の負の役割 32 |
8 イタイイタイ病での「成功」と水俣病との比較 34 |
9 専門家と市民の協働-科学技術と社会の問題群解決のために(結論) 36 |
第3章 もんじゅ訴訟からみた日本の原子力問題 小林傅司 43 |
1 はじめに 43 |
2 「もんじゅ裁判」の経緯 45 |
3 メディアの反応-新聞における論点化 47 |
4 被告側の反応 49 |
4.1 国の反応 49 |
4.2 原子力安全委員会の反応 51 |
5 法律家の反応 57 |
5.1 伊方原発および福島第二原発訴訟最高裁判決 57 |
5.2 行政訴訟の論理 61 |
5.3 行政訴訟の限界 65 |
6 まとめ 69 |
第4章 薬害エイズ問題の科学技術社会論的分析にむけて 廣野喜幸 75 |
1 はじめに-安部被告人の無罪確定 75 |
2 薬剤エイズ 77 |
3 薬害エイズ裁判 78 |
3.1 K氏の被害 78 |
3.2 起訴 78 |
3.3 裁判経緯および結果 79 |
3.4 裁判の趨勢 80 |
4 薬害エイズ対策史 80 |
4.1 「2年4ヶ月の遅れ」説 80 |
4.2 「10ヶ月の遅れ」説 81 |
4.3 1983年1月-デフォルジェの提案・全米血友病財団の治療勧告 82 |
4.4 1983年6月-世界血友病会議の勧告 84 |
4.5 1984年10-11月 85 |
5 国際比較 87 |
5.1 約1年の遅れの意味 87 |
5.2 全般的状況 89 |
5.3 日本および各国の応答 92 |
6 安部被告人の無罪がもつ科学技術社会論的な意味 93 |
第5章 BSE/牛海綿上状脳症/狂牛病にみる日本の食品問題 神里達博 101 |
1 はじめに 101 |
2 「伝達性海綿状脳症」ないし「ブリオン病」なるものの歴史 103 |
2.1 スクレイピー(Scrapie) 103 |
2.2 クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeld0Jacob Disease:CJD)、Kuru 105 |
2.3 プリオン(Prion) 106 |
2.4 プリオン仮説の弱点 107 |
3 英国のBSEへの対応 108 |
3.1 BSEの発見 109 |
3.2 サウスウッド委員会 110 |
4 日本政府の対応 112 |
4.1 1990-1996年 112 |
4.2 GBRの拒絶 114 |
4.3 BSE確認「前夜」 115 |
5 BSE発生以降 116 |
5.1 BSE確認の混乱と衝撃 116 |
5.2 急速な政策転換 118 |
5.3 社会的関心は他の食品問題へ 120 |
6 「前頭検査問題」について 122 |
7 むすび 124 |
第6章 遺伝子組換え食品規制のリスクガバナンス 平川秀幸 133 |
1 はじめに 133 |
2 GMリスクガバナンスをめぐる国際論争の経緯 135 |
2.1 規制緩和から規制強化への路線転換 135 |
2.2 欧州の規制強化の動き 136 |
2.3 事前警戒原則をめぐる米欧対立 138 |
2.4 途上国も交えたグローバルな国際調整:カルタヘナ議定書交渉 140 |
2.5 GM作物の社会的リスクをめぐるスコーピング対立 142 |
3 GM論争におけるフレーミング対立 146 |
3.1 GM論争のフレーミング前提 146 |
3.2 GM論争のフレーミング前提の問題点 148 |
4 おわりに:フレーミング分析の重要性と日本のGM論争への視角 152 |
第7章 医療廃棄物をめぐる攻防 松原克志 155 |
1 はじめに 155 |
2 経緯 155 |
3 土地の安全と住民の安全・安心をめぐる議論 162 |
3.1 土壌汚染か医療廃棄物か 162 |
3.2 当事者のフレーミング、妥当性境界 165 |
3.3 現場の専門家としての地域住民 168 |
4 まとめ 170 |
第8章 地球温暖化と不確実性 宗像慎太郎・塚原東吾 175 |
1 地球温暖化科学のツール化とその社会的ガバナンス 176 |
1.1 地球温暖化科学前期 -CO2増加による気候変化の研究と予防原則の成立 176 |
1.2 地球温暖化科学後期 -IPCCの誕生と気候変動枠組条約 179 |
1.3 地球温暖化科学のこれから -仮想世界への引きこもりから地域回帰へ 182 |
2 不確実性をめぐる議論の概観 183 |
2.1 リスク論との対比にみる不確実性の言説空間 184 |
2.2 科学史:時間という不確実性の認識 185 |
2.3 システムの不確実性とポスト・ノーマル・サイエンス 187 |
3 温暖化パラダイムの歴史的特徴 188 |
3.1 フンボルト主義パラダイムからテクノ博物学へ 188 |
3.2 「サンプル」の変容:掌の上にいるのはどちらだ 189 |
3.3 時間解像度の粗密と未来志向の陥穽 191 |
4 跋にかえて 193 |
第9章 最先端技術と法:Winny事件から 調麻佐志 199 |
1 問題の所在 199 |
2 Winny裁判に至るまで 202 |
2.1 Winnyとは何か:その技術的特徴と問題 202 |
2.2 Winny事件の経緯 204 |
2.3 Winny事件への反応 205 |
3 Winny裁判 209 |
4 まとめ 214 |
Ⅱ 例題:Advanced-Studiesのために 藤垣裕子 221 |
1 事例分析の方法論 223 |
2 科学の特性に関する認識ギャップから生じる問題 223 |
2.1 作動中の科学 225 |
2.2 妥当性境界 227 |
3 問題解決の仕組み 228 |
3.1 第2種の過誤 228 |
3.2 不確実性下の責任 230 |
4 さらなる分析 232 |
Ⅲ アプローチの流れ 237 |
1 科学の知への批判的見直しの萌芽期 239 |
2 イノベーション論 241 |
3 ストロング・プログラム 242 |
4 社会構成主義 244 |
5 技術の社会的構成 245 |
6 実験室研究 247 |
7 資源配分的アプローチ 249 |
8 認知的文化 250 |
9 現代の科学論 252 |
Ⅳ 用語解説 255 |
エスノ・サイエンス |
科学技術基本法 |
科学教育、技術教育 |
科学計量学 |
科学の公衆理解 |
科学の不確実性 |
科学の目的内在化 |
科学論争 |
拡散モデルと翻訳モデル |
ガバナンス |
技術官僚モデル |
技術倫理、技術者倫理 |
境界作業 |
巨大科学 |
欠如モデル |
交易圏 |
公共空間 |
作動中の科学 |
参加型観察、運上観察 |
市民参加 |
社会運動 |
社会調査 |
状況依存性 |
専門家論 |
第2種の過誤 |
妥当性境界 |
知的財産 |
知の責任論、科学者の社会的責任 |
調査的面接法 |
テクノロジーアセスメント |
内容分析 |
反射性 |
不確実性下の責任 |
フレーミング |
モード論 |
予防原則(事前警戒原則) |
リスクアナリシス |
ローカルノレッジ |
基本文献 275 |
あとがき 279 |
索引 281 |
執筆者紹介 289 |