序 v |
推薦の言葉 ix |
1章 概日リズム 1 |
1. 概日リズムとは 1 |
2. 概日リズムの発見の歴史 5 |
1. 研究前史 5 |
2. 概日リズム研究の萌芽 5 |
3. 概日リズムの科学的(実証的)研究の始まり-ペッファーの登場 7 |
3. 概日リズムの特徴 13 |
文献 15 |
2章 生理時計への道:エルヴィン・ビュニングの登場 17 |
1. 旅立ち-未知の因子‘X’を求めて 17 |
2. シュトッペルとの論争 23 |
3. シュトッペルの貢献 24 |
4. 山口弥輔の貢献 25 |
5. 時計は細胞一つ一つにある-リズムの同調 26 |
6. 葉の運動の日周性は遺伝するのか? 28 |
1. 日周リズムは外因性か内因性か 28 |
2. 種子の成熟期の明暗の比率を変える実験 29 |
3. 異なった季節での生育実験 29 |
4. 遺伝説と記憶説 30 |
5. 遺伝的日周リズムの効用 31 |
6. 交配実験 32 |
文献 36 |
3章 時計仮説の提唱 37 |
1. ビュニングのひらめき 38 |
2. 光周性の発見 39 |
3. 光周性反応の基礎としての内因性日周リズム-生物時計説の論文 44 |
4. 概日リズムは何ゆえ淘汰されたのか? 54 |
文献 56 |
4章 葉の就眠運動と日長測定 57 |
1. 運動のメカニズム 57 |
1. 葉枕細胞の浸透圧変化 59 |
2. 葉枕細胞の膨圧変化 60 |
3. 就眠運動を性びょする物質の発見 62 |
4. 就眠運動活性物質レベルの時計制御 65 |
5. 就眠運動活性物質の局在と細胞膜における受容体の存在 66 |
2. 葉の就眠運動の生理的意味 69 |
1. ビュニングの説 69 |
2. 精密な日長測定はどのようになされるのか? 71 |
3. 上田らの説 73 |
文献 75 |
5章 生物時計の認知 77 |
1. 概日リズム(内生リズム)に対する光の2つの働き 77 |
2. 内生リズムは光に対する反応性の異なる2つの相からなる 80 |
1. 親名相-親暗相説 80 |
2. 内生の概日リズム説の浸透 83 |
3. 光周性と花成ホルモン 88 |
1. 花成物質の最初の提唱者ユリウス・ザックス 88 |
2. 花成ホルモン(フロリゲン)の性質 88 |
4. 内生リズム説か,砂時計説か 92 |
1. 光周性に関係するフィトクロム 92 |
2. Pfr砂時計説 96 |
3. 親名相-親暗相説の再検討 97 |
4. アサガオの光周性-概日時計と砂時計 100 |
文献 105 |
6章 エルヴィン・ビュニング(1906-1990) 107 |
1. 学問への門出 107 |
1. 生い立ち 107 |
2. 少年時代 110 |
2. 豊かな大学生活 112 |
1. 19世紀末~20世紀初頭のドイツの生物学 112 |
2. 新しい流れ-細胞説と定量的実験生物学 114 |
3. ベルリントゲッチンゲン-自然科学と哲学 118 |
3. 時代の波を乗り越えて 122 |
1. イエナ大学植物学教室 122 |
2. 第三帝国(ナチス)の下で 124 |
3. ビュニングの政治的立場 125 |
4. 戦後のドイツ-ケルン大学にて 129 |
4. チュービンゲン大学にて 129 |
1. チュービンゲン大学の植物学教室の歴史 130 |
2. ビュニングの植物学教室 132 |
3. ドイツの大学 135 |
4. 弟子教育-ハウプトの証言 136 |
5. チュービンゲン精神 140 |
6. 自立的研究者への道-ゲッチンゲンでの受賞講演 143 |
5. 野外での研究・教育活動-実験室を離れた植物学 146 |
1. 東南アジア 146 |
2. ラプランド 150 |
6. 豊かな人間性 155 |
文献 160 |
7章 概日時計の分子生物学:動物と菌類 161 |
1. 時計遺伝子の発見 162 |
1. ショウジョウバエの概日リズム突然変異体 162 |
2. 昆虫における時計の所在 164 |
3. 概日リズム突然変異体 165 |
2. ショウジョウバエの概日時計の分子機構 166 |
1. 最初の時計遺伝子perの同定 167 |
2. PERタンパク質の特徴 170 |
3. tim遺伝子はPERの核移行に必要か? |
4. dbt遺伝子産物によるPERのリン酸化とリズムの調節 174 |
5. ショウジョウバエのcry遺伝子と光によるリズムのリセット 174 |
6. per/timの転写を促進する因子をコードする時計遺伝子dClockとcycle 176 |
7. Eボックス時計遺伝子のリプレッサーをコードする時計遺伝子cwo 179 |
8. ショウジョウバエの概日時計モデル 179 |
9. ショウジョウバエの概日行動リズムに関係する時計ニューロン 182 |
3. 哺乳類の時計の分子機構 100 |
1. DNA結合ドメインをもつ時計還伝子Clockの発見 190 |
2. Bmall遺伝子と調節因子Rev-erba/Rora遺伝子 103 |
3. 哺乳類のPer遺伝子 195 |
4. ショウジョウバエのtim遺伝子に似た遺伝子 196 |
5. 哺乳類のCry遺伝子は時計遺伝子 197 |
6. 昆虫でもCRYは時計機構の一員 199 |
7. PERタンパク質のリン酸化による概日リズムの制御 202 |
8. 哺乳類概日時計の光受容体 203 |
9. 中枢時計と末梢時計 207 |
4. アカパンカビの時計の分子機構 209 |
1. frq遺伝子とFRQタンパク質:フィードバックループの負の要素 211 |
2. Wc-1,Wc-2タンパク質:フィードバックループの正の要素 212 |
3. 概日性フィードバック機構における時計タンパク質リン酸化の役割 214 |
4. 概日時計モデル 215 |
5. 概日リズムとクロマチン構造の変化 218 |
1. 遺伝子発現の基礎としてのクロマチン構造変化 218 |
2. ショウジョウバエの概日リズムとヒストン修飾との相関 219 |
3. 哺乳類の概日リズムとヒストン修飾の相関 222 |
文献 228 |
8章 植物の概日時計の分子機構と花成 233 |
1. 光周性と時計遺伝子 233 |
1. 花成にはいろいろな経路がある 233 |
2. 時計関連遺伝子の発見 235 |
3. 時計の中心振動子はフィードバックループを形成 243 |
4. もう一つの時計要素-シュードレスポンスレギュレーター 249 |
5. 光受容と時計への光シグナルの入力 254 |
2. 長日植物シロイヌナズナの花成経路 261 |
1. シロイヌナズナの光周性花成還伝子 261 |
2. 光周性反応の鍵を握る日長測定-外的符合モデル 264 |
3. 長日植物シロイヌナズナにおける概日時計と光周性花成経路 269 |
3. 短日植物イネの花成経路 271 |
1. 概日時計および花成時遺伝子 271 |
2. 夜中断効果の意味 276 |
4. 短日植物アサガオの花成経路 277 |
1. COオーソログPnCO 277 |
2. FTオーソログPnFT 278 |
3. アサガオとイネの日長測定の違い 280 |
5. 再びフロリゲンについて 281 |
1. 葉でつくられるフロリゲン様産物の正体とその移動 281 |
2. フロリゲンに対するphyBとcry2の組織特異的関与 285 |
3. 葉からの花成時信号FTを受け取る茎頂因子FD 285 |
4. FTとFDの標的は花芽分裂組織決定遺伝子 286 |
5. 花成抑制の中心因子SVP 287 |
文献 290 |
9章 核をもたない生物(原核生物)の概日時計 295 |
1. 原核生物には時計はないのか? 295 |
2. シアノバクテリアを用いた時計の分子遺伝学的研究の始まり 297 |
3. 時計突然変異体の分離と遺伝子の解明 299 |
4. Kaiタンパク質の複合体形成とヒスチジンキナーゼSasAとの相互作用 301 |
5. KaiC六量体(ヘキサマー)とSasAの協働による遺伝子発現のグローバル制御 303 |
1. Kaic六量体の形成と構造 303 |
2. 遺伝子発現のグローバル制御におけるKaiC六量体とSasAの役割 305 |
6. KaiCタンパク質のリン酸化サイクル 307 |
7. リズム発生に時計遺伝子の転写,翻訳は直接には必要ない 308 |
8. 試験管内での概日リズムの再構成 309 |
9. In vitro系によるシアノバクテリアの概日振動の解析 310 |
1. Kaicのリン酸化サイクルとKaiタンパク質間の複合体形成サイクル 310 |
2. Kaic六量体間でのサブユニットの交換反応とKaicの脱リン酸化 311 |
3. Kaicのリン酸化サイクルの基礎としての2つのリン酸化サイトの段階的リン酸化 311 |
4. KaicのATPase活性が概日振動の周期を決定 312 |
5. Kaicリン酸化サイクルの自動調節機構 313 |
10. KaiCリン酸化サイクルの出力機構-SasA-RpaA二成分調節系と出力抑制因子LabA 315 |
11. モデル 317 |
文献 320 |
10章 植物時計の進化を明かす“緑の酵母”クラミドモナス 323 |
1. クラミドモナスとは? 324 |
2. クラミドモナス葉緑体の遺伝子発現 327 |
1. ルシフェラーゼレポーターを利用した葉緑体遺伝子発現のリアルタイムモニター 327 |
2. 葉緑体の概日リズムは核コードの概日振動子によって制御 327 |
3. クラミドモナスの時計は部分的に高等植物の時計と共通 329 |
文献 330 |
11章 生物時計創始者の深い考察 333 |
1. 時計の普遍性 334 |
2. 内生リズムあるいは概日時計は正の淘汰値をもつ 334 |
3. 遺伝的背景 336 |
4. 温度補償性 337 |
5. 概日時計は細胞自律性 339 |
6. 多細胞生物は多振動系 340 |
文献 344 |
終わりに 345 |
索引 351 |