はじめに 11 |
第一部 空間とは何か 19 |
第一章 宇宙の実像を求める旅路 21 |
空間と時間‐古典物理学による捉え方 27 |
空間と時間‐相対性理論による捉え方 30 |
空間と時間‐量子力学による捉え方 33 |
空間と時間-宇宙論による捉え方 36 |
空間と時間‐統一理論による捉え方 41 |
物理学と人生の大問題「時間の矢」 48 |
宇宙を知ることと、人生の意味 49 |
第二章 バケツを使って宇宙を探る 53 |
アインシュタイン以前にも「相対論」はあった 54 |
ニュートンのバケツ実験と絶対空間 57 |
「空間とは何か」という問題の歴史 62 |
マッハによるニュートンへの異議申し立て 66 |
物質があるから加速度がある-マッハの見解 74 |
マッハVSニュートンの意外な決着 76 |
第三章 相対と絶対 79 |
「からっぽの空間」は本当にからっぽなのか 80 |
アインシュタインが出した決定的な答え 86 |
特殊相対性理論は本当は難しくない 91 |
バケツ問題にはどう答えたのか 97 |
「時空の断面」という考え方 99 |
時空の断面の角度 107 |
バケツ問題を時空で考えるとどうなるか 111 |
重力はなぜ伝わるかという古い問題と、バケツ 116 |
重力と加速度の等価性 120 |
重力と加速度と時空の湾曲 126 |
一般相対性理論によるバケツ問題の答え 133 |
現在における時空の概念 137 |
第四章 非局所性と宇宙 141 |
量子力学によればこの世界は 143 |
量子力学の「非局所性」とはどういうことか 147 |
二重スリット実験の奇妙な結果 153 |
物理法則は根本から確率に支配されている 159 |
アインシュタインと量子力学 165 |
ハイゼンベルクの不確定性原理とは何か 170 |
アインシュタインが攻撃した量子力学の「矛盾」 175 |
量子力学支持者はどう対応したか 181 |
スピンを使ってアインシュタインを論破する 183 |
結果はあらかじめ決まっているのか 188 |
量子力学が本当に働いているかテストする 193 |
ここまでのまとめと、実際の実験結果 195 |
非局所性は特殊相対性理論と矛盾しない 201 |
しかしまだ問題は未解決だと考える人もいる 204 |
非局所性をどう受け止めればいいのか 209 |
第二部 時間とは何か 213 |
第五章 時間は流れない? 215 |
日常経験のなかで「時間」が示す性質 216 |
特殊相対性理論はすべての時刻を平等に扱う 219 |
「過去、現在、未来」という区別は幻想である 223 |
科学は「現在」の特別さを捉えられない? 236 |
第六章 時間の矢という問題 241 |
時間の矢の何が不思議なのか 242 |
「ものごとは逆向きにも生じうる」と物理学は主張する 244 |
時間反転対称性とはどういうことか 245 |
「割れた卵も元通りになる」と物理学は主張する 250 |
原理的には可能、実際上は困難、ということ? 252 |
エントロピーとは何か 253 |
エントロピーと熱力学第二法則、そして時間の矢 261 |
エントロピーは時間の矢の問題を解決しない 265 |
それとも私たちの記憶のほうが間違ってる? 269 |
今日の宇宙のエント□ビーは低すぎる 272 |
統計的ゆらぎでは説明できないことが多すぎる 278 |
低エントロピーの起源はどこにあるか 281 |
エントロピーの増大傾向を最大限に利用する力、重力 284 |
秩序の起源はビッグバンにある 289 |
ではなぜ宇宙は低エントロピーではじまったのか 290 |
第七章 時間と量子 293 |
量子力学は過去をどう考えるか 294 |
同時に複数の歴史が生じ、未来に影響する 298 |
可能な選択肢のすべてが歴史に寄与する 301 |
歴史から選択肢を取り去るとどうなるか 305 |
過去に影響を与えることは可能? 308 |
過去の行為をなかったことにできる? 317 |
未来が過去を決定する? 321 |
量子力学が結果的に日常世界と矛盾しない理由 329 |
量子力学の大問題「測定問題」と時間の矢 333 |
測定問題にたいするさまざまな解釈 336 |
「デコヒーレンス」で測定問題は解決する? 343 |
量子力学と時間の矢 351 |
第三部 時空と宇宙論 357 |
第八章 対称性と時空 359 |
対称性から物理法則は生まれる 361 |
時間の進み方は宇宙のどこでも同じ 369 |
「宇宙の膨張」とは何が膨張したのか 374 |
宇宙の時間が均一なのは膨張が対称的だから 381 |
膨張宇宙を理解するときのよくある間違い 385 |
私たちの「対称な膨張宇宙」はどんな形か 388 |
「対称な膨張宇宙」の時空をイメージしてみる 396 |
宇宙空間が無限の広がりをもっていたとすると 404 |
宇宙論は対称性によって進展した 407 |
原注 445 |
「ザ・シンプソンズ」について 410 |
第三部 時空と宇宙論(承前) 11 |
第九章 ビッグバン直後 13 |
温度が変わると対称性も変化する 14 |
力の場、物質の場、ヒッグス場 18 |
宇宙が冷えてヒッグスの海ができた 20 |
ヒッグスの海が質量を生み出している 27 |
ヒッグスの海がない高温下では力は統一される 32 |
大統一理論の興奮とその後 36 |
ヒッグスの海が存在する証拠を探す 39 |
エントロピーと時間 42 |
第一〇章 ビッグバンとインフレーション 45 |
アインシュタインの「宇宙定数」と斥力の重力 47 |
「過冷却ヒッグス場」は斥力の重力を生む 57 |
過冷却ヒッグス場とインフレーション理論 61 |
インフレーション理論に関する二つの注意点 66 |
インフレーションは地平線問題を解く 68 |
インフレーションは平坦問題を解く 73 |
予測される宇宙の密度と観測値の差 78 |
目に見えない大量の物質「暗黒物質」 80 |
「減速パラメーター」で宇宙の物質総量を探る 83 |
暗黒エネルギーで宇宙の膨張は加速した 88 |
解かれた謎、新しい謎 91 |
第一一章 夜空に残るインフレーションの痕跡 93 |
インフレーション前の量子ゆらぎが銀河を作った 94 |
マイクロ波背景放射に残る量子ゆらぎの痕 99 |
宇宙は最初、一〇キログラムだった! 102 |
インフレーションが低エントロピー宇宙を作った 108 |
宇宙の膨張過程でエントロピーは減少したか 112 |
インフレーション宇宙ではゆらぎが秩序を生む 116 |
インフレーション理論による時間の矢の説明 121 |
まだ残る謎 123 |
第四部 統一とひも理論 125 |
第一二章 宇宙は「ひも」でできているか 127 |
「真空」は量子ゆらぎで満ちている 131 |
量子ゆらぎは一般相対性理論を破綻させる 136 |
それは問題なのか 140 |
解決の糸口を探る紆余曲折 145 |
第一次ひも理論革命 153 |
すべての粒子はひもの振動から生まれる? 156 |
なぜひも理論はうまくいくのか 160 |
ひもより小さいスケールを考える意味 162 |
ひも理論でなければできないこと 165 |
粒子の性質はひもの振動パターンで決まる 168 |
ひも理論は必要以上の種類の粒子を生む? 172 |
ひも理論はたくさんの空間次元を必要とする 177 |
追加された次元が隠れる場所はあるのか 180 |
隠れた次元の数を予測する理論 187 |
隠れた次元はどういう形をしているか 191 |
追加次元の形が物理法則を決める 193 |
ひも理論が描き出す宇宙の基本構造 199 |
第一三章 宇宙は「ブレーン」のなかにあるか 201 |
第二次超ひも理論革命‐M理論の登場 203 |
五つのひも理論間の翻訳を使って問題を解く 207 |
M理論は一〇次元の空間次元を必要とする 211 |
ひもだけでなく膜もある可能性 213 |
ブレーンワールド-私たちは膜のなかにいる? 217 |
ブレーンにくっついて振動するひも 220 |
この宇宙がブレーンワールドか、調べられる? 225 |
短距離での重力の振る舞いに手がかり? 231 |
追加次元もひもも意外と大きいかもしれない 240 |
ひも理論を実験で検証できる可能性 242 |
ブレーンワールド宇宙論の誕生 245 |
サイクリック宇宙論‐宇宙は生まれ変わる? 247 |
サイクリック・モデルの長所と短所 256 |
新しい時空観がもたらされるか 259 |
第五部 空間と時間への新たな挑戦 261 |
第一四章 実験と観測による挑戦 263 |
回転物周辺で空間自体が渦巻くことを検証 264 |
重力波を検出するさまざまな計画 268 |
追加次元を探す実験の数々 275 |
ヒッグスと超対称性とひも理論の検証 280 |
数ある宇宙論シナリオのどれが正しいか 283 |
暗黒物質と暗黒エネルギーの正体を探る観測 288 |
空間と時間に関する思索 294 |
第一五章 テレポートとタイムマシン 297 |
量子力学でテレポーテーションを考える 298 |
量子エンタングルメントを使えばテレボート可能 305 |
しかし現実的なテレポーテーションは可能か 311 |
時間旅行をめぐるパラドックス 314 |
パラドックスは本当は存在しない? 320 |
自由意志のパラドックスは多世界解釈で解決? 326 |
過去への時間旅行を研究する物理学者たち 331 |
ワームホール・タイムマシンの作り方 335 |
ワームホール・タイムマシン建造の問題点 344 |
未来からの野次馬見物がなぜいないのか 347 |
第一六章 時空は本当に宇宙の基本構造か 349 |
空間と時間は別の「何か」でできている? 350 |
量子世界の平均像としての時空 353 |
違う形の空間が同じ意味をもつ? 356 |
ブラックホールのエントロピーが示すヒント 360 |
宇宙はホログラムなのかもしれない! 367 |
時空の存在そのものを導く理論は可能か 373 |
やがて来る、時空の概念を変える発見 382 |
訳者あとがき 387 |
さくいん 446 |
原注 437 |
「ザ・シンプソンズについて」 407 |
用語解説 406 |
参考図書 399 |