第一章 ニーチェのキリスト教・ユダヤ教観 1 |
はじめに 1 |
1 「シュトラウス」論文の背景としての知識社会 2 |
キリスト教への標的転換 2 |
台頭するナショナリズムとリベラル派の転回 6 |
「教養俗物」 7 |
2 バーゼルの知識人たち 9 |
バーゼルの「梁山泊」 10 |
オーヴァーベック 12 |
文化プロテスタンティズムとオーヴァーベック 13 |
3 反ユダヤ主義運動とニーチェ 17 |
青年期の反ユダヤ感情 17 |
六〇年代・七〇年代の反ユダヤ主義運動 18 |
ニーチェの反・反セミティスムス 21 |
4 ニーチェとキリスト教 23 |
ニーチェのイエス観 23 |
ラガルド-民族宗教 25 |
ニーチェとラガルドとの相違 26 |
系譜学的分析 27 |
5 祭司ユダヤ教と旧約聖書 29 |
ユダヤ教とユダヤ人の区別 29 |
ヴェルハウゼンとニーチェ 31 |
ヴェルハウゼンとニーチェとの相違 33 |
パリサイ派をめぐる問題 34 |
イエスとキリスト 37 |
「ユダヤ教科学」とニーチェ 38 |
第二章 『モーセと一神教』の解読-フロイトのユダヤ教・キリスト教観- 41 |
はじめに 41 |
1 執筆の周辺-政治的・宗教的背景 43 |
構成の乱れと時代状況 43 |
出版への危惧-カトリック教会の脅威 45 |
ムッソリーニとフロイト 46 |
2 精神分析とシュミットの民族学との対立 48 |
ヴィルヘルム・シュミット-皇帝の告解司祭・民族学者 48 |
シュミットのフロイト批判 50 |
一神教の発生に関する見解の相違 52 |
トーテム饗宴と聖餐式 54 |
シュミットの反ユダヤ主義と反ナチズムの間 55 |
3 民族学と旧約聖書学 56 |
ロバートソン・スミス-イギリス人類学への接近 56 |
旧約聖書の解体学 58 |
4 批判的歴史主義と反ユダイズム 60 |
ユリウス・ヴェルハウゼン 60 |
5 反ユダヤ主義の深層心理-聖書の精神分析 64 |
ユダヤ人憎悪の深層心理 64 |
モーセとパウロ 67 |
ゼリン理論の受容 68 |
犠牲の表徴化 70 |
6 フロイトの宗教観-『幻想の未来』から『モーセと一神教』へ 71 |
物質的真理と歴史的真理 71 |
記憶の系統発生とモーセ神話 73 |
7 精神性の進歩と倫理性 75 |
精神性の進歩と魔法・神秘の拒否 75 |
エスと超自我 76 |
倫理をめぐる争い-ユングへの対抗 77 |
8 フロイトとカントのユダヤ教安楽死論 78 |
フロイトとユダヤ教改革派・「ユダヤ教科学」 78 |
カントとメンデルスゾーン 80 |
モーセ教を選択したフロイト 84 |
9 ブーバーの挑戦 86 |
死の予感の中で 86 |
ブーバーの抗議 87 |
ユダヤ教をめぐる世代対立 89 |
おわりに 93 |
〔付論〕モーセとユダヤ性 - 『モーセと一神教』再考 97 |
はじめに 97 |
批判の論点 98 |
図像化禁止とアドルノ、ウェーバー、フロイト 101 |
フロイトの感覚性 105 |
プロテスタンティズム的禁欲と生を楽しむユダヤ性 107 |
宗教としてのユダヤ教・キリスト教・イスラム教と系統発生としてのモーセの一神教 111 |
精神性の優位 114 |
精神分析とディアスポラ 116 |
カントとの競い合いと若きフロイト 117 |
科学としての記憶の歴史 120 |
第三章 マックス・ウェーバーの「パーリア」論-『古代ユダヤ教』の解読- 123 |
一 ウェーバーの「パーリア」論 127 |
はじめに 127 |
ウェーバーの「パーリア」論批判 130 |
パーリアの両義性 132 |
パーリア概念の歴史性 136 |
ウェーバーのグランド・セオリーとその背景 138 |
苦難の神義論からゲットー的閉鎖集団論へ 140 |
対内・対外道徳の二元性 142 |
パーリアの国家掠奪資本主義 143 |
パウロの普遍主義とゲットーの閉鎖的パーリア 144 |
おわりに 149 |
ニ 『古代ユダヤ教』-その光と影 153 |
はじめに 153 |
1 「後期ユダヤ教」と「宗教史学派」 154 |
混合宗教 156 |
民族学・神話学との隣接 158 |
日本における「後期ユダヤ教」認識 160 |
2 リッチュル学派・宗教史学派と文化プロテスタンティズム 161 |
宗教史学派の性格 162 |
黙示録をめぐる闘い-「個性」と「人格」に向かうもの 163 |
リベラル・プロテスタントとウェーバー 164 |
文化プロテスタンティズム 165 |
倫理とナショナリズム 166 |
3 リベラル・ユダヤ知識人とリベラル・プロテスタントとの同質性と緊張 167 |
ユダヤ教・キリスト教両陣営の間の軋み 170 |
4 旧約聖書の解体学 - リッチュルからヴェルハウゼンへ 171 |
ユダヤ教の退廃・「化石化」論 171 |
ヴェルハウゼンの構想 173 |
5 ヴェルハウゼンとウェーバー-その受容と距離 176 |
ハウスラートとヴェルハウゼン 177 |
メルックス 177 |
ダイスマン、「エラノス」、ウェーバー 178 |
新約と旧約の連続の糸 179 |
預言者・詩篇 180 |
6 ウェーバーの預言解釈-脱魔術化の両義性 182 |
預言者エレミヤ 183 |
イスラエル預言と魔術との闘争 184 |
イザヤ預言 - 斥候の歌 184 |
7 古代イスラエル預言者と清教徒-預言者と魔術 186 |
プロテスタンティズムの倫理の深層と魔女狩りの神義論 187 |
出エジプト記二二章18節 189 |
魔術と奇蹟 191 |
8 ウェーバーと魔女裁判-ニーチェと魔女狩り 192 |
ニーチェと魔女裁判 193 |
文明史的観点からのヤハウェ-キリスト教のバールとの闘いと魔女との闘い 194 |
9 世紀末のクラーゲスの預言者-母権制 195 |
D・H・ローレンスと黙示録 197 |
10 ニーチェのオルギア、残虐-ルサンチマン 198 |
犠牲の放棄 199 |
ルサンチマンをめぐる対立 200 |
ウェーバとニーチェの逆方向 203 |
ニーチェとウェーバー 204 |
11 聖書に隠された母権制 205 |
平和と戦争 207 |
第四章 世紀末から三〇年代までのドイツ神秘主義-ユダヤ神秘主義とギリシャ密儀信仰- 209 |
はじめに 209 |
1 ドイツの神秘主義 210 |
ヘブライズムとヘレニズム 210 |
民族主義台頭による波及効果 211 |
ヘレニズムとヘブライズムの対立と神秘主義 212 |
ユダヤ神秘主義の登場 214 |
神秘主義の命運 216 |
2 世紀末における神秘主義の流行-ゾンバルトと神秘主義 217 |
神秘主義をめぐる葛藤 217 |
ゾンバルトの『ユダヤ人と経済生活』 220 |
ヘーゲルと神秘主義 222 |
神秘主義の情報源 222 |
ウェーバーとゾンバルト 224 |
ウェーバーの神秘主義 226 |
資本主義概念の較差 227 |
ゾンバルトのナチス 229 |
ユダイズムへの対応の違い 229 |
ゾンバルトの神秘主義欠落への批判と反論 231 |
感覚・神秘・禁欲 233 |
図像禁止 234 |
3 内なるユダヤ性との闘争-チャンバレン『十九世紀の基礎』 236 |
オットー・ヴァイニンガー 236 |
H・S・チェンバレンの『十九世紀の基礎』 238 |
秘儀と心根 239 |
東洋学と聖書解釈学 242 |
デーリッチュと「バビロンと聖書」論争 243 |
『十九世紀の基礎』の政治的背景 244 |
カント・教養主義・皇帝 246 |
イエス=非ユダヤ人説 247 |
アーリア人説を支える社会心理 248 |
ヒトラーとチェンバレン 250 |
4 民族主義の神秘主義-ローゼンベルク『二〇世紀の神話』 251 |
ナチスのイデオローグ 251 |
歪曲の思想 253 |
ユングの拒否とアスコナ会議 255 |
第五章 イエス=パリサイ派説とその系譜学 -アバラハム・ガイガーのユダヤ教科学- 259 |
はじめに 259 |
1 イエス=パリサイ派説 260 |
ガイガーとグレーツの再評価 260 |
ユダヤ知識人のイエスへの接近 262 |
イエス=パリサイ派説の背景 264 |
伝統的なユダヤ人側のイエス観 266 |
ユダヤ民衆の中のイエス像 267 |
ラビと啓蒙による変化 269 |
D・F・シュトラウスとガイガー 271 |
2 六〇年代のイエス論争の問題性 273 |
シュトラウス『イエスの生涯』とイエス神話説 273 |
ガイガーの狼煙 274 |
反ユダヤ主義への反論 276 |
政治と宗教 - パリサイ派とサドカイ派の闘争 277 |
反シオニズムの態度 - グレーツとの懸隔 279 |
ドイツ・ナショナリズムへの対抗と危機 281 |
ルナン『イエスの生涯』への批判 282 |
ルナンとシュトラウス 283 |
ルナンとガイガー 285 |
アーリア人とセム人の人種対立とイエスの非ユダヤ性 286 |
ニーチェとルナン 288 |
ガイガーの対ヴェルハウゼン論争 290 |
ヘブライズムとヘレニズム 292 |
ハウスラートとヴェルハウゼン 294 |
両陣営の決戦場 - レオ・ベックとハルナックの対立 295 |
第六章 反ユダヤ主義に立ち向かうユダヤ人像-グレーツとトライチュケ- 297 |
はじめに 297 |
1 ロマン主義と神秘主義 298 |
政治の変化 298 |
マルクスとグレーツ 299 |
ハシディズムへの軽蔑 300 |
『ユダヤ人の歴史』の意味するもの 302 |
2 同化と改宗 303 |
トライチュケの攻撃 303 |
論争とグレーツ 307 |
改宗問題-モムゼンとトライチュケ 308 |
モンゼンの同化への態度 310 |
トライチュケとの論争にひそむモムゼンのグレーツ観 313 |
3 グレーツのキリスト教観 314 |
宿敵キリスト教 314 |
メシア・神の子 316 |
あとがき |
人名索引 |
文献表 |
第一章 ニーチェのキリスト教・ユダヤ教観 1 |
はじめに 1 |
1 「シュトラウス」論文の背景としての知識社会 2 |