序章 プロセス産業の国際競争力 藤本隆宏・桑嶋健一 1 |
1.プロセス産業と「ものづくり経営学」 1 |
1 プロセス製品と組立製品 1 |
2 日本のプロセス産業 2 |
3 プロセス産業の「ものづくり経営学」 3 |
2.プロセス産業とは何か-設計論アプローチ 5 |
1 製品の一塊性・転写の一括性 5 |
2 プロセス産業の設計プロセス-工程設計への傾斜 6 |
3「日本型プロセス産業」とは-競争力の視点 7 |
3.アーキテクチャのプロセス産業論 9 |
1 既存の産業分類を超えて 9 |
2 日本の化学産業は弱いのか?-予備的考察 11 |
4.設計情報価値説の産業論 14 |
1 「高付加価値」路線の限界 14 |
2 設計情報価値説とアーキテクチャ 15 |
まとめ 17 |
第I部 アーキテクチャ分析[1]フレームワーク 19 |
第1章 ものづくり分析・アーキテクチャ分析のフレームワーク 藤本隆宏 20 |
はじめに 20 |
1.設計概念とものづくりプロセス 21 |
1 人工物のストック的側面-設計情報・媒体・固有技術・アーキテクチャ 22 |
2 人工物のフロー的側面-設計・実現・利用のプロセス 27 |
3 ものづくり体系の全体像 34 |
2.アーキテクチャとは 38 |
1 製品アーキテクチャ 38 |
2 工程アーキテクチャ 40 |
3.アーキテクチャの諸タイプ 42 |
1 製品アーキテクチャのタイプ 42 |
2 工程アーキテクチャのタイプ 45 |
4.アーキテクチャの測定 47 |
1 アーキテクチャの測定アプローチ 47 |
2 構造・機能対応関係による製品アーキテクチャ測定の可能性 48 |
3 機能・構造・工程対応に関するマトリックス表現 49 |
4 機能・構造・工程関係の判定 51 |
5 鉄鋼製品への応用 55 |
6 簡便法によるアーキテクチャ測定 56 |
5.アーキテクチャのポジショニング戦略 60 |
1 ポジショニングと中・外アーキテクチャ 60 |
2 四つの基本ポジション 62 |
3 アーキテクチャのポートフォリオ(合わせ技)戦略 65 |
まとめ 66 |
第2章 アーキテクチャと日本型プロセス産業 藤本隆宏・桑嶋健一 67 |
はじめに 67 |
1.アーキテクチャと組織能力 68 |
1 アーキテクチャの比較優位論 68 |
2 ものづくりの組織能力 70 |
3 日本企業の統合型組織能力と得意分野 70 |
2.アーキテクチャ論のプロセス産業への応用 72 |
1 プロセス産業における「アーキテクチャ」とは? 72 |
2 日本のプロセス産業の得意アーキテクチャ 75 |
3 機能性化学産業のアーキテクチャ的位置づけ 76 |
3.事例 : 半導体材料産業のアーキテクチャ分析 78 |
1 日本の半導体材料産業の国際競争力 78 |
2 日本企業の競争力喪失の可能性-「モジュラー化の罠」 80 |
3 競争力喪失回避の産業政策 84 |
4.擦り合わせ型プロセス産業の比較優位-まとめと仮説導出 87 |
1 あらためて「日本型プロセス産業」とは? 87 |
2 予備的な実証分析 89 |
まとめ-インテグラル型工程アーキテクチャと「日本型プロセス産業」 95 |
第2章付録 工程アーキテクチャ論への批判に答えて 96 |
1 基本的に同意する点 98 |
2 回答を保留する点 102 |
3 反論-工程アーキテクチャ概念は無意味か? 104 |
第II部 アーキテクチャ分析[2]ケース・スタディ 107 |
第Ⅱ部(ケース・スタディ編)へのショート・ストーリー 108 |
第3章 アサヒビール「スーパードライ」 富田純一・高井紘一朗 |
フレッシュ・マネジメントに見る統合型ものづくり 110 |
はじめに 110 |
1.ビールは「擦り合わせ型」の製品 111 |
1 ビールの製品特性 111 |
2 プロセス製品のアーキテクチャ 112 |
3 ビールの生産工程 112 |
4 ビールの工程アーキテクチャ 115 |
2.アサヒビールの競争力分析 118 |
1 分析枠組み 118 |
2 スーパードライの成長は二段階 120 |
3 顧客志向のものづくりへの転換 124 |
4 TQCと品質保証の要「太鼓判システム」の導入 125 |
5 鮮度訴求を実現する「フレッシュ・マネジメント」 128 |
おわりに 132 |
第4章 日韓鉄鋼産業 藤本隆宏 |
競争・協調を通じたアーキテクチャ分化 135 |
1.鉄鋼産業における微細な産業内貿易-問題の設定 135 |
2.東アジア鉄鋼産業と日本企業の競争力 137 |
1 世界の鉄鋼産業と日本の産業競争力 137 |
2 主要鉄鋼メーカーの現状 138 |
3 日本はなぜ高級鋼で競争力を維持しているのか 139 |
4 自動車用鋼板における日本企業の競争力-いくつかの傍証 140 |
3.自動車用鋼板の生産工程とそのアーキテクチャ 143 |
1 自動車用表面処理鋼板の生産工程 143 |
2 自動車用外板への要求機能と対策 146 |
3 自動車用鋼板の工程アーキテクチャ-実例 148 |
4.韓国鉄鋼業への技術移転と組織能力構築-POSCOの事例 149 |
1 日韓鉄鋼一貫企業の組織能力と技術移転 149 |
2 韓国POSCOの現状 151 |
3 初期における浦項総合製鉄への技術移転の特徴 152 |
4 段階別の技術移転の実態-モジュラー工程アーキテクチャへ 153 |
5 1980年代におけるPOSCOの国際競争力 165 |
5.POSCOのアーキテクチャ選択と創発的戦略形成 168 |
1 契約の脱パッケージ化と高級鋼開発の停滞 168 |
2 創発的戦略形成とPOSCOの成功 170 |
3 汎用鋼と高級鋼-韓国企業における競争力の二重構造 171 |
4 顧客の製品評価能力がアーキテクチャを左右する 173 |
5 小括-韓国企業のキャッチアップと工程アーキテクチャ 174 |
6.まとめ-プロセス産業における能力構築とアーキテクチャ選択 174 |
1 雁行形態論・比較優位論と「微細な産業内貿易」 174 |
2 浦項製鉄所への技術移転と能力構築の経路 175 |
3 創発的能力構築,アーキテクチャ選択,そして比較優位 176 |
第5章 カネカ「MBS樹脂」 橋本規之 |
多品種製品展開の組織能力 179 |
はじめに 179 |
1.MBS樹脂の市場構造と事業組織・生産システム 181 |
1 MBS樹脂の市場構造 181 |
2 MBS樹脂の事業組織 185 |
3 MBS樹脂の生産システム 187 |
2.カネカMBS樹脂の競争力 189 |
1 多品種展開の論理と組織能力 189 |
2 擦り合わせ戦略を通じた製品開発能力の構築 196 |
3 多品種展開を支える生産のフレキシビリティと改善運動 199 |
おわりに 202 |
第6章 プロセス産業としての半導体前工程 立本博文・藤本隆宏・富田純一 |
アーキテクチャ変動のダイナミクス 206 |
はじめに 206 |
1.半導体集積回路の製品アーキテクチャ分析 211 |
1 人工物としての半導体集積回路 211 |
2 半導体集積回路の設計プロセス 213 |
3 半導体の「中アーキテクチャ」と「外アーキテクチャ」 222 |
2.日本半導体企業へのインパクト-微細化が進めば日本企業が強くなる? 231 |
1 日本型ASICが有利になる?-論理設計・物理設計・工程設計の相互作用の強化 232 |
2 半導体の中アーキテクチャの変化 233 |
3 微細化が進行する中での台湾ファンドリの競争力構築のメカニズム 241 |
3.まとめとインプリケーション-アーキテクチャと国際競争力・国際分業 247 |
第III部 製品開発マネジメント[1]フレームワーク 253 |
第7章 製品開発マネジメントの分析フレームワーク 桑嶋健一・藤本隆宏 254 |
はじめに 254 |
1.新製品開発研究の変遷 255 |
1 1980年代までの研究アプローチ 257 |
2 1990年代以降の製品開発研究-四つの新たな研究アプローチ 259 |
3 製品開発研究の系譜におけるプロセス産業の研究 264 |
2.製品開発マネジメントの分析枠組み 265 |
1 製品開発プロセスのとらえ方 265 |
2 製品開発プロセスと製品特性-因果関係とその属性 268 |
おわりに 276 |
第8章 化学産業の製品開発マネジメント 桑嶋健一・藤本隆宏 |
効果的パターンの定量分析 279 |
はじめに 279 |
1.産業間比較の視点から見た化学産業の製品開発-問題解決モデルによる化学製品の特性分析 280 |
2.化学産業における効果的な製品開発パターンの予想 284 |
1 顧客満足の把握 284 |
2 製品機能の決定 285 |
3 製品構造の設計 285 |
4 生産工程の開発 286 |
3.実証分析 287 |
1 分析の概要 287 |
2 分析結果 289 |
おわりに 299 |
付録 アンケート質問項目-本章に関係する5領域 301 |
第IV部 製品開発マネジメント[2]ケース・スタディ 303 |
第Ⅳ部(ケース・スタディ編)へのショート・ストーリー 304 |
第9章 日本ゼオン「ゼオネックス」 桑嶋健一 |
機能性化学品の開発特性分析 307 |
はじめに 307 |
1.ゼオネックスの製品開発プロセス 309 |
1 機能性化学品の製品開発プロセス-本書の分析視点 309 |
2 ゼオネックス開発の背景 311 |
3 研究段階 314 |
4 開発段階 317 |
5 事業化段階 321 |
2.ゼオネックスの成果 324 |
1 市場での成果と用途展開 324 |
2 企業業績への貢献 324 |
3.第2世代「ゼオノア」の開発 325 |
1 ゼオノア開発のきっかけ 325 |
2 ゼオノアの特徴と用途 326 |
4.ゼオネックス開発の「ものづくり経営学」分析 328 |
1「きめ細かい開発マネジメント」の有効性 328 |
2「日本型プロセス産業」と機能性化学品-まとめにかえて 330 |
第10章 富士フイルム「WVフィルム」 桑嶋健一 |
統合型製品開発とアーキテクチャ戦略の転換 332 |
はじめに 332 |
1.WVフィルム開発の背景 334 |
1 富士フィルムの沿革 334 |
2 技術戦略 335 |
2.WVフィルム製品開発プロセス 338 |
1 開発のきっかけ 338 |
2 研究段階 340 |
3 開発段階 345 |
4 事業化段階 347 |
5 販売戦略 348 |
3.WVフィルムの成果 351 |
1 技術的成果 351 |
2 市場での成果 352 |
4.WVフィルム開発の「ものづくり経営学」分析 353 |
1「擦り合わせ型」製品開発と利益回収戦略 353 |
2 アーキテクチャ戦略と組織能力 355 |
第11章 新日本石油「日石LCフィルム」 桑嶋健一 |
差別化戦略と統合型組織能力の構築 358 |
はじめに 358 |
1.LCフィルムの開発プロセス 360 |
1 研究段階 360 |
2 開発段階 368 |
3 事業化段階 369 |
2.NHフィルムの開発プロセス 374 |
1 開発のきっかけ 374 |
2 棒状液晶での再挑戦 377 |
3 NHフィルムの発売と苦戦 378 |
3.携帯電話ディスプレイ用市場への参入-「カスタマイズ」による差別化戦略 380 |
1 参入のきっかけ 380 |
2 差別化戦略の構築 385 |
3 差別化戦略を生かすマネジメント 388 |
4 液晶フィルム事業の成果 390 |
4.日石LCフィルム・シリーズ開発の「ものづくり経営学」分析 391 |
1 アーキテクチャ戦略 391 |
2 統合型組織能力の構築プロセス 392 |
付録 液晶フィルム事業の拡大と中国進出 396 |
1 事業拡大の転機 396 |
2 中国での工場建設 398 |
第12章 旭硝子「ルミフロン」 富田純一 |
バックセルによる市場開拓 400 |
はじめに 400 |
1.ルミフロンの製品特性と市場環境 401 |
2.ルミフロンの開発プロセス 404 |
1 テーマの決定-開発のきっかけ 404 |
2 フッ素技術の蓄積 404 |
3 ルミフロンの開発 405 |
4 フッ素樹脂塗料の共同開発 406 |
3.ルミフロンのマーケティング 407 |
1 フッ素樹脂塗料販売の伸び悩み 407 |
2 マーケティング体制の構築 411 |
3 バックセルのプロセス-建築分野の場合 412 |
4 啓蒙活動 415 |
5 用途拡大 416 |
6 顧客コミュニティのマネジメントに向けて 420 |
第13章 新日鐵化学「エスパネックス」 桑嶋健一 |
新規事業開発とプロジェクト評価 423 |
はじめに 423 |
1.石炭・石油化学事業中心の時代 425 |
1 石炭化学企業としてのスタート 425 |
2 石油化学事業への進出 426 |
2.電子材料事業への進出-エスパネックスの開発 428 |
1 バブル期の新規事業開発 428 |
2 2層CCL(エスパネックス)の開発プロセス 429 |
3.エスパネックス開発と新規事業創出の成功要因 434 |
1 粘り強い事業継続 434 |
2 主要顧客企業とのパートナーシップ 437 |
3 「顧客の顧客」戦略の採用-顧客システムの下流企業への直接アプローチ 438 |
4 製造方法とノウハウ 440 |
5 価格戦略 443 |
6 シナジー効果 444 |
4.エスパネックス開発の「ものづくり経営学」分析 445 |
補論 新製品開発プロジェクトの評価システム 桑嶋健一・富田純一 |
実証分析に基づくセレクション・モデルの構築 448 |
1.プロジェクト評価の重要性 448 |
2.評価手法の3類型 450 |
1 評点法とは 450 |
2 評点法の課題と改善のポイント 452 |
3.実証分析 453 |
1 分析の概要 453 |
2 分析手法 454 |
3 分析結果と妥当性 456 |
4.継続改善型評点法(CISM法)の提案 459 |
1 分析結果の解釈 459 |
2 事前・事後評価の連結による評点法の改善 460 |
終章 日本型プロセス産業とその将来 藤本隆宏・桑嶋健一 463 |
1.「ものづくり経営学」から見た日本型プロセス産業 463 |
1 制約条件と機能達成 463 |
2 日本型組立産業と日本型プロセス産業 466 |
2.本書のストーリーと発見事実-各章のエッセンス 467 |
1 第I部のエッセンス-「ものづくり経営学」のプロセス産業への応用 467 |
2 第II部のエッセンス-アーキテクチャ・組織能力の相互作用と創発的選択 468 |
3 第III部のエッセンス-製品開発論のプロセス産業への応用 471 |
4 第IV部のエッセンス-粘り強い機能実現と用途開発 471 |
3.「日本型プロセス産業」に関する発見事実-組立産業との共通点・相違点 475 |
1 組立産業との共通点 475 |
2 アーキテクチャの後方波及効果 476 |
3 組立産業との相違点-用途開発と能力構築 477 |
4 結語-日本型プロセス産業は存在感を増す 478 |
参考文献 481 |
序章 プロセス産業の国際競争力 藤本隆宏・桑嶋健一 1 |
1.プロセス産業と「ものづくり経営学」 1 |
1 プロセス製品と組立製品 1 |