第1章 序論 1 |
1.1 本書の目的と適用範囲 1 |
1.2 本書で対象とする河川汽水域の範囲 2 |
参考文献 3 |
第2章 日本における河川汽水域の変遷と現状 5 |
2.1 日本における河川汽水域の変遷 5 |
2.1.1 多摩川河川汽水域に及ぼした人為作用と汽水域の変化 7 |
メモ セグメント 14 |
2.1.2 戦後における汽水域生物相の変化 19 |
2.2 日本で生じている河川汽水域の問題 25 |
メモ 地球温暖化と河川汽水域 29 |
参考文献 29 |
第3章 河川汽水域の環境特性とそこで生じている現象の概説 31 |
3.1 河川汽水域の物理・化学環境の特徴 31 |
3.1.1 水位,流速の変化 31 |
3.1.2 塩分濃度の変化 31 |
3.1.3 水質の変化 34 |
3.1.4 河川汽水域地形の変化 36 |
3.1.5 河床,河岸,海浜の構成物質とその変化 40 |
メモ 粒径集団と粒径集団区分粒径 40 |
3.1.6 底質の酸化層・還元層の形成 43 |
3.2 河川汽水域生物環境の特徴 44 |
3.2.1 生物相の縦断的特性 45 |
3.2.2 生物相の横断的特性 45 |
コラム ハビタットとは 47 |
3.3 河川汽水域の特性を支配する外的要因 47 |
3.4 河川汽水域の空間階層構造と現象を支配する要素間の相互連関性 50 |
3.5 河川汽水域で生じる現象から見た河川汽水域の大分類 54 |
3.5.1 物理・化学環境(地形)の視点からの大分類 54 |
メモ 日本沿岸の波浪の大きさ 58 |
3.5.2 生物の視点から見た大分類 58 |
メモ 一級河川と二級河川の差異 59 |
参考文献 59 |
第4章 河川汽水域における物理環境とその変動 61 |
4.1 河川汽水域の地形形態とその変動要因 61 |
4.1.1 河川汽水域の地形を規定する要因とその特性 61 |
4.1.2 河川汽水域における河道地形 67 |
(1) 河川汽水域河道部のスケール 67 |
メモ 河床波 70 |
(2) 潮汐河川のスケールと水理量 73 |
(3) 河道内の干潟 79 |
4.1.3 河口地形 79 |
(1) 河口砂州開口部の河積・水深・流速 80 |
(2) タイダルインレットの開口部形状と流速 88 |
(3) 利根川河口の特異性 90 |
(4) 河口テラス 94 |
(5) 河口部の旧河道跡 94 |
4.1.4 河口周辺沿岸域地形 94 |
(1) 外海に面している河口付近の海岸地形と波浪 95 |
(2) 内湾に流下する河口付近の海浜地形と潮汐・波浪 99 |
4.2 緩流河川汽水域の流水と土砂動態 102 |
4.2.1 緩流河川汽水域の地形・底質の変動特性 103 |
(1) 河道形状 103 |
(2) 底質の形成 105 |
(3) 洪水が地形・底質に及ぼす影響 107 |
(4) 横断方向の地形 108 |
4.2.2 潮位変動に伴う塩水濃度分布・高濁度水塊の変化特性 110 |
(1) 高濁度水塊の移動 110 |
(2) 底質浮上 111 |
(3) フロック化と沈降 112 |
(4) 土砂輸送 115 |
4.3 河口周辺沿岸域の堆積物と地形変化 117 |
4.3.1 内湾に流入する河川と河口周辺沿岸域 118 |
4.3.2 外洋に面する河川と河口周辺沿岸域 121 |
参考文献 128 |
5章 河川汽水域における化学的環境とその変動 131 |
5.1 河川汽水域における水質環境とその変動 131 |
5.1.1 海水と河川水の混合様式と物質変換 131 |
5.1.2 栄養塩の挙動 133 |
5.1.3 底質-直上水間における物質輸送 134 |
5.2 河川汽水域における底質環境とその変動 137 |
5.2.1 マクロスケールでの有機物堆積プロセス 137 |
5.2.2 ミクロスケールでの有機物堆積プロセス 139 |
5.3 生物的作用による河川汽水域の化学的環境の改変 143 |
5.3.1 貧酸素水塊の発生 143 |
5.3.2 植物プランクトンの増殖 144 |
5.3.3 底生動物による濾過摂食 145 |
5.3.4 ヤマトシジミと汽水域環境 146 |
5.4 汽水域における有機物・栄養塩収支 151 |
参考文献 153 |
第6章 汽水域の生物 159 |
6.1 河川汽水域内の生物の生息・生育を規定する因子と生物種 159 |
6.1.1 生物の生息・生育を規定する非生物的環境要因 159 |
メモ 生息制限因子の複合作用 161 |
6.1.2塩分環境と底生動物の生理生態 162 |
(1) 生物体における恒常性の維持と汽水域の塩分環境 162 |
(2) 底生動物の体液浸透圧調節と塩分環境に応じた分布 162 |
メモ 汽水域生物の生活史における耐塩性の変化 165 |
6.1.3 汽水域における生物間相互作用 166 |
(1) 捕食-被食関係 166 |
(2) 種間競争 166 |
(3) 住み込みと共生 168 |
6.1.4 河川汽水域の生物種 171 |
6.1.5 河口沿岸域の生物種 175 |
メモ 泥・砂・硬い基質の生物 177 |
6.2 空間スケールの階層性に基づくハビタット類型 177 |
6.2.1 汽水域生態系を構成する生物群集の構造把握のための視点 177 |
6.2.2 異なった空間スケールにおけるハビタットの不均一性と環境要因の作用過程 178 |
(1) 流域スケールで把握可能な環境要因の作用過程 179 |
(2) 個々の干潟・砂州の地形単位で把握可能な環境要因の作用過程 179 |
(3) 干潟・砂州領域内のマイクロスケールで把握可能な環境要因の作用過程 180 |
メモ 生理生態学的に見た汽水域生態系の空間構造 182 |
6.2.3 ハビタットの分類とネーミング 183 |
メモ 見逃せない小ハビタット 184 |
6.3 異なった空間スケールを用いた生物分布の把握事例 185 |
6.3.1 吉野川汽水域の河川縦断方向での環境変化と生物分布の対応 185 |
(1) 河川縦断方向の環境の不均一性 185 |
(2) 河川縦断方向の環境の空間的不均一性とマイクロベントスの分布特性 186 |
メモ クラスター解析とデンドログラム 188 |
6.3.2 那賀川汽水域の一砂州における環境の空間的不均一性と植物の分布特性 188 |
(1) 地形単位(ワンド領域と流路側領域)による植物群落の分布の違い 189 |
(2) 砂州・干潟内の環境の空間的不均一性と植物の選択的分布 190 |
6.4 動物の生活史段階におけるハビタット利用 191 |
6.4.1 カワスナガニ 191 |
(1) カワスナガニとその生活史 191 |
(2) 成体の生息環境 192 |
(3) 幼生の生息環境 194 |
(4) 幼生分布調査 194 |
6.4.2 モクズガニ 196 |
(1) 降河と産卵生態 197 |
(2) 浮遊幼生と定着 198 |
(3) 椎ガニのハビタット利用と淡水域への遡上 198 |
(4) 汽水域の環境とモクズガニの生活史 198 |
(5) モクズガニの幼生分散とメタ個体群構造 199 |
6.4.3 その他のベントスの生活史,特に繁殖様式とハビタット利用 199 |
6.5 底生動物の分布に与える植物の影響 204 |
6.5.1 ヨシが底生生物に与える影響 204 |
(1)カワザンショウガイ 204 |
(2)シオマネキ 209 |
6.5.2 海草コアマモが底生動物・魚類に与える影響 212 |
(1) 海草の危機 212 |
(2) 海草の機能 214 |
(3) 海草コアマモの特徴 214 |
(4) 底生動物の分布に与えるコアマモ場の影響 217 |
6.6 安定同位体比解析による食物網構造の推定 220 |
6.6.1 食物網解析における動的同位体効果の利用 220 |
6.6.2 北上川河口域における解析例 222 |
6.6.3 混合モデルによる食物源の寄与率に関する推定 225 |
参考文献 226 |
第7章 自然的攪乱・人為的作用による河川汽水域環境の応答 235 |
7.1 汽水域環境に影響を及ぼす自然的攪乱・人為的作用 235 |
7.2 自然的攪乱(大洪水) 237 |
7.3 流入水質の変化 242 |
7.4 地形改変 243 |
7.4.1 河道掘削 243 |
(1) 河川地形の変化 243 |
(2) 塩分上昇 246 |
(3) 河床表層への微細物質堆積位置の変化 246 |
(4) 底層水塊の貧酸素化の増加 246 |
(5) 河床構成材料の細粒化 247 |
(6) 河口近傍汀線の後退,河口テラスの縮小 247 |
(7) 水際材料の粗粒化 248 |
(8) 生物相の変化 248 |
7.4.2 河口域での海砂採取および掘削 249 |
7.4.3 河口付近の埋立て 250 |
7.4.4 河道の直線化 251 |
7.5 流況改変 252 |
7.6 供給土砂量の減少 252 |
7.7 河川・海岸構造物の建設 253 |
7.7.1 河口淳流堤の建設 253 |
(1) 航路維持のための導流堤 253 |
(2) 導流堤の長さが汀線付近までしかない場合 254 |
7.7.2 護岸・水制 255 |
7.7.3 堰 256 |
7.7.4 海岸構造物 256 |
7.7.5 橋梁の建設 257 |
7.8 地盤沈下 257 |
7.9 船舶の航走 258 |
参考文献 259 |
第8章 河川汽水域生態系変化の分析と予測 261 |
8.1 分析・予測の必要性と手順 261 |
8.2 分析・予測とモデル化 264 |
8.2.1 分析・予測の前に行うべき調査 264 |
8.2.2 分析・予測のためのモデル化の方向 265 |
8.3 水理・地形の数値シュミレーションモデルとその構成 271 |
8.3.1 河川汽水域の流水と土砂動態のモデル 271 |
(1) 現象の構造とモデルの空間次元 271 |
(2) 流水モデルの計算手法 272 |
(3) 流水・土砂動態モデルの実例 274 |
(4) 今後の発展性 275 |
8.3.2 河口周辺沿岸域の堆積物と地形変化モデルについて 277 |
8.4 汽水域化学環境動態モデルについて 280 |
8.5 生物の環境変化に対する応答予測モデルに向けて 283 |
(1) 構造・機能評価型 283 |
(2) 生息環境空間評価型 284 |
(3) ハビタット評価型鍋 286 |
メモ 礫床河川における植生消長モデル 287 |
(4) 移流・分散・定着・評価型 291 |
(5) 専門家評価型 296 |
参考文献 296 |
第9章 河川汽水域生態系の保全・再生・管理 299 |
9.1 河川汽水域生態系の保全・再生の意義と課題 299 |
9.2 技術行為としての制御対象 301 |
9.3 河川汽水域生態系の再生の方向 305 |
9.3.1 流域の土地利用と河川生態系の保全・再生 305 |
9.3.2 河川汽水域の環境目標 306 |
9.3.3 河川汽水域生態系の保全・再生技術 308 |
(1) 河川計画から見た河川汽水域生態系の保全と再生 309 |
(2) 河口干潟および河道内干潟の減少に対する対応技術 311 |
(3) 河岸の再自然化技術 312 |
(4) 河口砂州の存置保全 313 |
(5) 河川汽水域植生の保全・再生技術 313 |
(6) 動物の産卵・生育基盤造成技術 314 |
(7) 水質改善技術 315 |
(8) 環境学習や情報流通の改善 315 |
9.4 河川汽水域環境再生事業の評価手法 315 |
9.5 今後の課題 317 |
参考文献 320 |
参考資料1 欧州連合内における水域の生態学的質に関する統一的モニタリングと分類(付録B水域類型についての運用指標の選定) 321 |
参考資料2 汽水域保全対策実施例 328 |
編集後記 335 |
索引 |
項目索引 337 |
生物名および生物関連用語索引 346 |
河川名等索引 350 |
欧文索引 352 |