第1部 知的財産法総論 1 |
第1章 知的財産権と不法行為―プロセス志向の知的財産法政策学の一様相 3 |
第1節 問題の所在 3 |
第2節 最上級審判決 3 |
1 雲右衛門事件から大学湯事件へ-法律上保護される利益の保護 3 |
2 物のパブリシティ最判の位置づけ 7 |
3 小括 10 |
第3節 下級審の裁判例 10 |
1 抽象論 10 |
2 裁判例の整理に際して留意すべき点 12 |
3 模倣行為の不法行為該当性に関する裁判例 19 |
4 知財高裁第4部の挑戦 25 |
5 小括 33 |
第4節 知的財産権の特徴 34 |
1 知的財産権の正当性 34 |
2 知的財産権の危険性 36 |
第5節 決定のプロセスとしての市場・立法・行政・司法の役割分担 38 |
1 市場の活用 38 |
2 法的な介入(権威的決定)のあり方 41 |
第6節 知的財産権と不法行為 42 |
1 結論 42 |
2 否定説の検討 44 |
3 裁判例の評価 46 |
第7節 結びに代えて 48 |
第2章 効果的な特許制度に関する多元的理論の試み 51 |
第1節 はじめに 51 |
第2節 特許制度の効果と効率性 53 |
1 効率性の定義 58 |
2 効率的な特許制度 65 |
第3節 財産権論と配分的効率性 681 |
1 自然権論および財産権論的効率性 69 |
2 労働または便益に対する報酬としての知的財産権 74 |
3 効率的な特許財産権の制度 77 |
第4節 特許制度を政策的道具とみる理論 85 |
1 独占理論 87 |
2 インセンティヴ理論 93 |
第5節 結語 98 |
第3章 〈競争的繁栄〉と知的財産法原理―田村善之教授の知的財産法理論の基礎に関する法哲学的検討 103 |
第1節 はじめに 103 |
第2節 基本パースベクティヴの問題 104 |
第3節 他理論とのコントラスト 112 |
第4節 〈情報の正義〉からのオルタナティヴ 116 |
第4章 「知的所有法・サイバー法」原論の試み―ディジタル化時代・多文化的国際化時代における情報法学の新たな展開(アメリカ法学からの示唆) 121 |
第1節 問題意識―アメリカ法学からの刺激 121 |
第2節 前史―20世紀までにおける知的所有権の拡張とその背景 121 |
1 アメリカでの各種知的所有権法の歴史―その拡大現象の数々 121 |
2 拡張の実質的背景 122 |
第3節 知的所有権の正当化の諸理論とその意義・評価 123 |
1 四つの理論的説明 123 |
2 留意点及び評価 124 |
第4節 ディジタル化時代の情報法学の問題状況 124 |
1 概況 124 |
2 問題その一・情報コントロールの強化―電子商取引契約法の新たな展開 125 |
3 問題その二・情報交流の相互化及び「表現の自由」「民主主義」論の再考 129 |
4 問題その三・コンピュータ・ネットワークによる大量情報利用と知的財産業界(とくに音楽産業,映画産業)の今後のあり方 133 |
第5節 多文化時代における知的所有権のあり方―「商品化」の問題,補償問題 137 |
1 「商品化」の飽くなき進行とそれに対する批判的スタンス(「非商品化」の視覚)の必要性 137 |
2 多文化主義との関係と「商品化」 137 |
3 知的所有権レベル(とくに著作権)における補償問題 138 |
第6節 国際化時代における,情報コントロール・排他的独占緩和の必要性―とくに特許における強制実施の今日的意義 139 |
1 国際的経済力格差の広がり(知的所有権〔とくに特許権〕によるその拍車)とその強制的ライセンス契約による国際的矯正の必要性 139 |
2 具体的手法 139 |
第7節 結び 141 |
第2部 不正競争防止法 143 |
第5章 知的財産権の侵害警告と正当な権利行使(再論) 145 |
第1節 はじめに 145 |
第2節 裁判例の分析 146 |
1 権利行使論の意味 146 |
2 権利行使論の意義―同時期の裁判例との比較 154 |
3 権利行使論の背景―かつての裁判例との比較 156 |
第3節 隣接問題との比較 159 |
1 名誉侵害の判例との比較 160 |
2 不当保全処分による損害賠償責任との比較 161 |
第4節 おわりに 164 |
第3部 特許法 171 |
第6章 「特許権の密林」と独占者の自由 173 |
第1節 はじめに 173 |
1 問題:「特許権の密林」状態 173 |
2 問題の位置づけ 174 |
第2節 特許権のジャングル化の帰結と解決策 175 |
1 特許権のジャングル化の帰結 175 |
2 特許権の密林がもたらす問題の解 |
決策:立法措置と自力救済 176 |
第3節 特許権のジャングル化の解決策としての自力救済 178 |
1 米国のインテル事件 178 |
2 日本のマイクロソフト・NAP条項事件 181 |
第4節 独占者の自力救済に対する競争法上の評価 182 |
1 自力救済に対する四つの競争法上の対応 182 |
2 四つの競争法上の対応の評価 185 |
第5節 一応の結論 186 |
第7章 冒認に関する考察―特に平成13年最高裁判決と平成14年東京地裁判決の関係をめぐって 189 |
第1節 議論の前提 189 |
第2節 平成13年最高裁判決以前の裁判例・学説 194 |
第3節 平成13年最高裁判決 196 |
第4節 平成14年東京地裁判決 199 |
1 裁判例の理論 199 |
2 インセンティヴ論からの考察 200 |
3 反論 203 |
第5節 従来の裁判例の整理 206 |
1 真の権利者が出願した類型 206 |
2 真の権利者が出願していなかった類型 207 |
第6節 特許法49条7号の解釈の問題 208 |
1 特許法49条7号の判断基準時 208 |
2 査定審決時か出願時か 210 |
第7節 無効審判の請求人適格との関係 214 |
1 特許法123条2項の趣旨 214 |
2 冒認を理由とする特許無効の抗弁 217 |
3「利害関係人」の範囲 218 |
第8節 まとめ 220 |
第8章 取消訴訟における審理の範囲と判決の拘束力―審決取消訴訟からの示唆 223 |
第1節 はじめに 223 |
第2節 取消訴訟の一般理論 224 |
1 審理の範囲 224 |
2 取消判決の拘束力 227 |
3 小括 231 |
第3節 審決取消訴訟 231 |
1 審決取消訴訟の意義と特色 231 |
2 審理の範囲 233 |
3 取消判決の拘束力 237 |
第4節 検討 244 |
1 早期解決(救済)志向と再審査志向 244 |
2 審決取消訴訟 245 |
3 取消訴訟の一般理論 246 |
第5節 おわりに 248 |
第4部 著作権法 251 |
第9章 著作権の「間接侵害」と差止請求 253 |
第1節 問題の枠組み 253 |
1 著作権の「間接侵害」とは何か 253 |
2 問題の枠組み 254 |
3 「間接侵害」をめぐる紛争の類型化 256 |
第2節 場所機会提供型:カラオケ法理の成立と展開 257 |
1 手足論による利用主体性の拡大 257 |
2 いわゆる「カラオケ法理」の成立 258 |
3 「カラオケ法理」の展開 260 |
第3節 道具提供型・幇助法理による救済 262 |
1 損害賠償請求 263 |
2 差止請求 268 |
3 小括 275 |
第4節 システム提供型:カラオケ法理の変容 276 |
1 差止請求が認められた事例 277 |
2 差止請求が否定された事例 286 |
3 小括 293 |
第5節 著作権の「間接侵害」をどのように考えるか 294 |
1 管理支配型:利用主体性の拡大 294 |
2 道具提供型:幇助者についての侵害主体性の承認 300 |
第6節 おわりに 307 |
第5部 関連法 309 |
第10章 競業避止義務制約の法理 311 |
第1節 はじめに 311 |
第2節 労働法上の関連論点 313 |
1 採用過程 314 |
2 展開過程 315 |
3 終了時 318 |
4 退職後 319 |
第3節 退職後の競業避止義務をめぐる判例法理 320 |
1 合意の有無・形成をめぐる裁判例 321 |
2 合意の効力をめぐる裁判例 323 |
3 特段の合意が存在しない場合 327 |
4 引き抜きと連動したケース 328 |
第4節 競業避止義務制約の法理 329 |
1 基本的な立場 330 |
2 競業避止義務を制約する視点 330 |
第11章 規範的損害と保険―知的財産権侵害に即して 337 |
第1節 はじめに 337 |
第2節 懲罰的損害賠償と保険 339 |
1 総論 339 |
2 懲罰的損害賠償による抑止効と保険 344 |
第3節 規範的損害と保険 355 |
1 規範的損害概念 355 |
2 保険による抑止力への影響 357 |
3 保険契約の効力 361 |
第6部 国際知的財産法363 |
第12章 先住民族の文化と知的財産に関する一考察 365 |
第1節 はじめに 365 |
第2節 先住民族の文化の特質 368 |
第3節 先住民族の知的財産と国際人権基準 370 |
第4節 知的財産と伝統的知識 378 |
第5節 先住民族からの主張 383 |
第6節 まとめにかえて―「先住」民族であることの意味 387 |
第13章 アメリカ著作権法と連邦制の交錯 391 |
第1節 連邦議会の立法権限 391 |
1 著作権・特許条項 391 |
2 著作権条項の迂回? 395 |
第2節 連邦法と州法の関係 400 |
1 著作権・特許条項の効力 400 |
2 最高法規条項と専占の一般的な枠組 402 |
3 著作権分野における黙示的専占の例 404 |
第3節 著作権法301条―明示的専占 409 |
1 背景 411 |
2 対象要件 414 |
3 権利の相当性要件と不正利用法 418 |
第4節 契約をめぐって 422 |
1 追加要素は何か? 422 |
2 アイディアの提案 424 |
3 シュリンクラップ契約,クリックラップ契約の場合 426 |
第5節 裁判管轄をめぐる問題 438 |
1 混合型訴訟 439 |
2 抗弁・反訴と移送 441 |
第6節 結語 443 |
第14章 知的財産に関する若干の抵触法的考察 445 |
第1節 はじめに 445 |
第2節 知的財産に関する国際条約の抵触法への影響 447 |
1 はじめに 447 |
2 保護国法主義を見出す立場 449 |
3 ペルヌ条約中に準拠法選択規則が含まれていないとする立場 458 |
4 検討 459 |
5 属地主義の原則と条約 463 |
5 小括 467 |
第3節 外国知的財産権に基づく請求に関するドイツでの議論の変遷 467 |
1 初期の議論―外国知的財産権に基づく請求の否定 468 |
2 外国知的財産権に基づく請求を認める立場の登場 471 |
3 裁判例の変化 473 |
4 若干の考察―結語に代えて 475 |
第1部 知的財産法総論 1 |
第1章 知的財産権と不法行為―プロセス志向の知的財産法政策学の一様相 3 |
第1節 問題の所在 3 |
第2節 最上級審判決 3 |
1 雲右衛門事件から大学湯事件へ-法律上保護される利益の保護 3 |
2 物のパブリシティ最判の位置づけ 7 |