第I部 生命へ(大島泰郎) |
第一章 生命のはじまり 3 |
1 生命の起原学説 4 |
生命は神がつくったのか |
現代も超自然説が |
2 自然発生説 6 |
古代の「リグ・ベーダ」の説 |
"実験"による確証のむずかしさ |
正しくはなかったバスツールの実験 |
3 パンスペルミア 14 |
地球外生命起原説 |
パンスペルミア批判 |
現代パンスペルミア |
4 微化石 18 |
太古の岩石中に生物がいた証拠 |
イン石中にも宇宙生物の証拠? |
5 化学化石 22 |
生物に関係ある物質も証拠に |
プリスタンとフィタン |
13Cと12Cの含量比も証拠に |
化学化石の判定は慎重に |
6 最古の化石 26 |
三五億年前のシアノバクテリア |
イスアの岩石中の化学化石 |
7 生命の歴史 29 |
地球史における生物の歴史の時代区分 |
速かった光合成能獲得まで |
長かった多細胞生物への道 |
恐竜の絶滅と人類の時代 |
第二章 化学進化 35 |
1 新しい自然発生説 36 |
オパーリンとホールデンの説 |
チャールズ・ダーウィンの手紙 |
2 分子機械概念 38 |
生命力なしに有機物を合成 |
生命の基本をめぐるタンパク質説と核酸説 |
3 生化学的禁制率 42 |
タンパク質と核酸の共通性 |
タンパク質は細菌もヒトも二〇種のアミノ酸から |
核酸は細菌もヒトも四種のヌクレオチドから |
4 化学進化実験 47 |
ユーリー=ミラーの実験 |
合成のしやすいタンパク質、しにくい核酸 |
5 新たなパンスペルミア 49 |
原始地球の大気は酸化型だった? |
生命の素材は宇宙でつくられた? |
6 にわとりと卵問題 53 |
タンパク質が先か、核酸が先か |
核酸なしでアミノ酸を結びつけると |
いかにして核酸が遺伝子になったのか? |
7 RNAワールド 56 |
「核酸が先」の難点 |
リボザイムの発見でRNAに期待が |
タンパク質と核酸は同時 |
8 ハイパーサイクル 59 |
単一より複雑な系のほうが安定 |
ニワトリでも卵でもなさそう |
9 遺伝暗号の起源 62 |
暗号の成立ちをめぐる必然説と偶然説 |
アミノ酸とタンパク質は単語と文章の関係 |
同義語のふしぎ |
第三章 分子から見る進化史 67 |
1 中立説 68 |
種のアミノ酸配列の違いは時間に比例? |
アミノ酸の置換速度はタンパク質の種類で違う |
アミノ酸の置換率で種の分岐年代がわかる |
分子系統樹(図) |
核酸で描くか、アミノ酸で描くか |
2 原核細胞と真核細胞 73 |
核をもつ細胞ともたない細胞 |
真核細胞と原核細胞を比べると |
真核細胞の複膜系・単膜系オルガネラ |
細胞表層も代謝も真核、原核でちがう |
3 細胞進化共生説 78 |
細菌が侵入して原核が真核に |
ミトコンドリアは原核生物だった? |
細胞共生説の弱点 |
4 古細菌 84 |
リボソーム小サブユニットRNAに注目 |
真核生物からも原核生物からも遠いメタン細菌=古細菌 |
5 真核生物の起原 87 |
古細菌の仲間たち |
古細菌は真核生物に近い? |
真核生物の古細菌進化説 |
古細菌と真正細菌の共通性 |
6 有根系統樹 95 |
分子系統樹の根が描けた |
原始生命は超高熱菌? |
第四章 高等生物への道 99 |
1 酸素 100 |
二〇億年前、酸素の蓄積始まる |
酸素呼吸の始まり |
2 酸素毒性 102 |
酸素は有素? |
酸素毒性解除機構の発明 |
進化の遺跡としての発酵 |
3 酸素呼吸 106 |
酸素呼吸発明への進化 |
呼吸と光合成との関係 |
酸素呼吸完成への道にみられる"なまけもの" |
4 生物の上陸 112 |
生物が陸に上るための条件 |
陸に上った動植物たちの進化 |
5 多細胞生物 116 |
なぜ真核だけが多細胞へ |
酸素が細胞間通信を可能に? |
細胞機能の"退化"が多細胞への進化を |
6 性 119 |
進化における性の意義は何か |
三倍体化 |
有性生殖の発明 |
7 高等生物に見る原始的性格 122 |
RNAはDNAより原始的 |
原始的性格をもつイントロン |
8 生命初期進化の新しい考え 125 |
真核生物は真正細菌と古細菌のモザイク |
二〇億年前に進化史上の重大事が |
真核生物の成立 |
高等生物への道 |
参考文献 131 |
第II部 人間へ(八杉龍一) |
第一章 人間像のためのたたかい 135 |
1 人間 この自由なるもの 136 |
行動を選ぶということ |
自由意志の問題と生物学 |
2 人間 この独自の存在 141 |
人間はけものの中の鳥である |
毛と汗と神経の三題ばなし |
やはり人間は精神性の動物 |
霊魂または精神の自由と不自由 |
第二章 進化 自由と決定性の相関的増大 155 |
1 進化論の成り立ちと人間観 156 |
二つの箱船 |
ノアの洪水と進化論 |
では神はいつ天地を創造されたか |
進化論の流れ フランスとイギリス |
白人優越意識を支えた?進化論 |
「野蛮人」の占める位置 |
人種への関心 |
人類学のヒエラルヒー |
日本で最初の進化論 |
2 進化の大きな道すじ 179 |
私の見方、私の標語 |
自律性・主体性・個体性 |
なぜ「種の起原」か |
個体と種と環境 |
自由の発展 その図式 |
3 進化の流れに「人間」を拾う 196 |
ダーウィンフィンチの素性 |
カマキリに思う |
雌雄の経済学 |
なぜ男性に乳頭があるか |
バイオで恐竜を作れるか |
外形の均整と中身の不均整 |
鳥もけものも科学する |
霊長類 その行動の発達 |
第三章 人間への進化の本流 225 |
1 人間への道をたどるいとぐち 226 |
世界は生きている |
霊長類の仲間たち |
化石の発見史から |
ルーシーの出番 |
種分化のしくみ |
種分化の速度 |
2 人間のからだと心 その成り立ち |
類人猿とヒト(その1) |
化石による進化の組み立て |
ヒト科列伝 |
ヒト化の諸様相 |
類人猿とヒト(その2) |
開かれた精神の世界 |
人間は性的動物か |
女性の目で見た人類進化の「物語」 |
起原の神話 |
イヴは語る 人間の可能性と人種 |
第四章 人間観の諸相 結びとして 293 |
それぞれの時代と自由 |
相関と相克 |
時間の体験と自由 |
人間の生き方 自然と不自然 |
参考書について 307 |
あとがき 309 |
装丁=中野達彦 |