序章 原子力政策学の射程と意義(神田啓治) 1 |
1 エネルギー政策学の中の原子力政策学 1 |
2 原子力政策学の射程 4 |
3 原子力政策学の意義 6 |
第I部 原子力と現代社会 |
第1章 原子力の政策形成 (村田貴司) 11 |
1 はじめに 11 |
2 原子力政策と社会との関係性 12 |
3 もんじゅ事故の意味 13 |
4 原子力政策の広がり 16 |
5 原子力政策のステイクホルダー 18 |
5-1 ステイクホルダーの拡大 18 |
5-2 公共の空間の出現 20 |
6 原子力政策をめぐる動向 22 |
6-1 基礎的なデータ 22 |
6-2 原子力ルネサンス 24 |
7 原子力政策形成メカニズム 29 |
8 まとめ-政策形成のあり方 32 |
8-1 公共の空間の共有 33 |
8-2 公共を創出する政策形成空間 33 |
8-3 知慮(フロネーシス)の獲得 34 |
第2章 原子力技術の社会的受容の獲得に向けて(倉田健児) 37 |
1 はじめに 37 |
2 技術と社会を巡る認識 38 |
2-1 技術依存の桎桔 38 |
2-2 社会と技術の関係の変化 40 |
2-3 向かう先-「マルチリスク社会」 43 |
3 求められる「安全性」と「信頼性」 45 |
3-1 安全性確保の考え方 45 |
3-2 「信頼性」確保の必要性 46 |
3-3 安全マネジメントシステム 47 |
3-4 従来型規制措置の困難性 49 |
4 目指すべき方向は 50 |
4-1 「環境マネジメントシステム」という枠組み 50 |
4-2 「安全文化」醸成の必要性 52 |
4-3 環境マネジメントシステムとの相違 55 |
4-4 信頼性の確保に向けて 57 |
5 おわりに 59 |
第3章 原子力とエネルギー安全保障(入江一友) 63 |
1 はじめに 63 |
2 原子力開発利用長期計画における原子力の評価 64 |
3 総合エネルギー調査会答申類における原子力の評価 67 |
4 原子力のエネルギー安全保障上の評価と意義 72 |
4-1 両政策文書群における評価の比較 72 |
4-2 原子力のエネルギー安全保障上の特性 76 |
4-3 原子力のエネルギー安全保障上の意義 78 |
5 原子力の意義の向上 79 |
5-1 原子力の開発規模の拡大 79 |
5-2 原子力の特性の伸張 80 |
6 おわりに 81 |
第4章 原子力と地球温暖化(池本一郎) 83 |
1 地球温暖化とエネルギー 83 |
1-1 人口増加と経済成長で急増する開発途上国のエネルギー消費 83 |
1-2 地球温暖化問題の顕在化 86 |
2 地球温暖化防止手段としての原子力の評価 96 |
2-1 原子力エネルギーの特徴 96 |
2-2 途上国の温室効果ガス削減技術として原子力はどう評価されたか 100 |
3 CDMに原子力が適用できた場合の試算例 103 |
3-1 原子力CDMの有効性 103 |
3-2 試算の前提条件 104 |
3-3 入手できる温室効果ガス排出権の価値 105 |
3-4 原子力CDM実現に向けた課題と展望 106 |
第II部 原子力産業政策 |
第5章 原子力開発における信頼性形成-ベイズ確率論を用いた考察-(山形浩史) 111 |
1 緒言 111 |
2 ベイズ定理とは何か 112 |
3 原子力発電所の信頼度 114 |
4 事例A : 操業期間における信頼形成と変化プロセス 115 |
4-1 無事故運転の場合 116 |
4-2 1年目の事故の後,無事故の場合 117 |
4-3 信頼を得た後の事故の場合 118 |
5 事例B : 情報操作を想定した信頼形成と変化プロセス 118 |
5-1 無事故運転の場合 120 |
5-2 事故を起こした場合 121 |
5-3 報告者の更迭 122 |
5-4 「絶対」という言葉の影響 122 |
6 外部に放射線影響のある事故とない事故の区別 123 |
7 ベイズ定理から得られた示唆 124 |
8 おわりに 126 |
第6章 原子力利用と合意形成(高橋玲子) 127 |
1 はじめに 127 |
2 合意形成に向けた国の取組みと国民の認識 128 |
2-1 合意形成に向けた国の取組み 128 |
2-2 合意形成に対する国民の認識と意見 130 |
3 合意形成の阻害要因の分析 132 |
3-1 電源選択に固有な事項 132 |
3-2 国と国民の立場と役割 136 |
4 合意形成のための対話と方策 138 |
4-1 合意形成のあり方 139 |
4-2 対話に求められる国と国民の姿勢 141 |
4-3 エネルギーコミュニケータの提唱 143 |
5 おわりに 147 |
第7章 原子力発電所立地と地域振興(山本恭逸) 151 |
1 問題の所在 151 |
1-1 エネルギー政策と地域 151 |
1-2 原子力政策と地方財政 152 |
2 地域振興の一般理論 154 |
3 大規模発電所の立地に伴うインパクト 156 |
4 統計データによる検証 158 |
4-1 統計指標の選択 158 |
4-2 一般的な知見 160 |
4-3 総合効果を表す市町村合併 163 |
5 産業振興の重要性と成果の方向 164 |
6 今後の展望 166 |
第8章 放射性廃棄物の処分-社会的受容に向けての技術開発、制度設計のあり方-(坂本修一) 171 |
1 はじめに 171 |
2 処分技術の社会適合性向上を誘導する枠組み 175 |
3 カナダの先駆的事例 178 |
3-1 カナダのHLW処分概念に係るEARPの概要 179 |
3-2 カナダの事例が与える示唆 182 |
4 処分地選定を巡る制度的課題 187 |
4-1 処分地選定の枠組み 189 |
4-2 地質環境の適性評価に関する課題 193 |
4-2 処分施設立地を受け入れ易いものとするための環境づくりに関する課題-地域間の公平確保の観点から 199 |
5 まとめ 203 |
第III部 原子力安全政策 |
第9章 原子力法規制の体系(田邊朋行) 207 |
1 はじめに 207 |
2 原子炉等規制法の概要 208 |
2-1 原子炉等規制法の立法経緯 208 |
2-2 原子炉等規制法の目的及び規制方法 209 |
3 原子炉等規制法の特色 210 |
3-1 縦割り型の事業規制を柱とする規制方法 210 |
3-2 施設の設置運転に先行する事前規制の重視(「入口」規制方式) 213 |
4 原子炉等規制法を取り巻く情勢の変化 214 |
4-1 これまで原子炉等規制法が情勢の変化に対応できていた理由 215 |
4-2 原子炉等規制法を取り巻く情勢の変化 216 |
5 原子炉等規制法の課題 218 |
5-1 新規ビジネス等への対応 218 |
5-2 重複する施設投資を招く可能性 220 |
5-3 最新技術・設備採用への対応 222 |
5-4 事業別許可制度と事業分類に関わる課題 223 |
5-5 核物質利用に対する規制の不徹底 225 |
6 これからの我が国の原子力法規制体系のあり方226 |
6-1 事業別許可制の修正と包括的な物質許可制の導入 227 |
6-2 施設の設置運転に先行する事前規制の適正化 230 |
7 おわりに 231 |
第10章 放射線防護政策(中川晴夫) 233 |
1 はじめに 233 |
2 放射線防護政策における放射線 234 |
2-1 放射線 234 |
2-2 放射線被ばく 235 |
2-3 放射線影響 236 |
2-4 放射線量 237 |
3 放射線防護政策の基本 240 |
3-1 被ばく線量限度 240 |
3-2 放射線防護基準と規制 241 |
3-3 我が国の放射線防護規制に内在する課題 242 |
4 規制の現場における被ばく管理の現状と課題 249 |
4-1 放射線防護関連規制法令の対象区分 249 |
4-2 放射線業務及び放射線業務従事者 250 |
4-3 放射線業務従事者総数の把握 251 |
4-4 測定記録の多重性 252 |
4-5 現行の線量記録登録 253 |
5 被ばく前歴確認規制方式の補強 254 |
5-1 被ばく前歴確認規制方式の課題 254 |
5-2 個人被ばく線量登録制度の必要性 254 |
5-3 一元的線量登録制度がもたらす効用 255 |
6 おわりに 258 |
第11章 原子力損害賠償制度(広瀬研吉) 267 |
1 はじめに 267 |
2 原子力損害賠償制度の特徴 267 |
3 原子力損害賠償制度の基本的枠組み 269 |
3-1 原子力損害賠償制度の目的 269 |
3-2 基本的枠組み 269 |
4 我が国の原子力損害賠償制度 271 |
4-1 「原子力損害の賠償に関する法律」の内容 271 |
4-2 法律改正の経緯 274 |
4-3 責任保険契約及び補償契約の状況 276 |
5 国際的な原子力損害賠償制度 277 |
5-1 種類 277 |
5-2 パリ条約とウィーン条約の基本的枠組み 278 |
5-3 両条約の差異 278 |
5-4 条約としての普遍性 279 |
5-5 両条約と我が国の原子力損害賠償制度 280 |
6 国内外の原子力事故とその後の対応 280 |
6-1 チェルノブイリ事故 280 |
6-2 ジェーシーオー(JCC)臨界事故 281 |
7 今後に向けて 281 |
第IV部 原子力平和利用・核不拡散政策 |
第12章 原子力の平和利用と保障措置(坪井 裕) 285 |
1 保障措置とは 285 |
2 保障措置の進化と世代区分 288 |
2-1 IAEA保障措置の誕生まで 288 |
2-2 部分的保障措置(第一世代) : INFCIRC/66型保障措置 289 |
2-3 包括的保障措置(第二世代) : INFCIRC/153型保障措置 290 |
2-4 強化・統合保障措置(第三世代): : INFCIRC/153+INFCIRC/540型保障措置 291 |
2-5 普遍的保障措置(第四世代) 296 |
2-6 世代間の保障措置の変化 296 |
3 核兵器国と保障措置・検証措置 299 |
3-1 核兵器国と保障措置の関係 299 |
3-2 ボランタリー保障措置 302 |
3-3 核軍縮に関連する核物質の検証措置 304 |
4 二国間原子力協力協定に基づく国籍管理 308 |
5 まとめ 312 |
第13章 核不拡散輸出管理(国吉 浩) 315 |
1 輸出管理の歴史 312 |
2 核不拡散輸出管理体制の歴史 316 |
2-1 核不拡散体制の誕生 316 |
2-2 NPT体制 320 |
2-2 NSGの創設 321 |
3 冷戦後の不拡散輸出管理の発展 322 |
3-1 イラクの核開発活動とNSGの強化 322 |
3-2 汎用品規制の創設 324 |
3-3 フル・スコープ保障措置の導入 326 |
3-4 NSGのその他の強化策 328 |
2-5 NSG以外の輸出管理体制の強化 330 |
4 国際輸出管理体制の性格の変化と評価 310 |
4-1 性格の変化 331 |
4-2 輸出管理体制の評価 332 |
4-5 NSG強化策の核不拡散体制上の意味 338 |
5 おわりに 339 |
第14章 核物質防護(板倉周一郎) 343 |
1 核物質防護とは 343 |
2 核物質防護制度の発展の経緯と現状 343 |
2-1 核物質防護制度の成立の経緯 343 |
2-2 現行の核物質防護制度 346 |
3 現行制度を取り巻く状況と課題 350 |
3-1 核密輸の発生 150 |
3-2 放射性物質散布装置の脅威の顕在化 351 |
3-3 防護措置の評価の導入 351 |
3-4 内部脅威者への対応 352 |
4 抜本的な制度改善に向けた新たな視座の提示 354 |
4-1 核物質防護の分類体系の再構築 355 |
4-2 防護に関する一部の情報開示 359 |
5 おわりに 360 |
終章 原子力政策学の課題と展望(中込良廣) 363 |
1 原子力政策学の必要性 363 |
2 原子力政策学の課題 364 |
3 原子力政策学の展望 366 |
索引 367 |