序説 都市美の思想史 西村幸夫 8 |
都市美の「発見」へ |
「都市美」の理念とは何か |
本書の構成 |
第1章 イタリアの都市美ルネサンス-変わらない古典的な美意識 宮脇勝 22 |
1 イタリアの三つの時代 |
2 ローマ帝国時代の都市美 |
3 中世の美学的始動-シエナ市の条例 |
4 ルネサンスの都市再生 |
5 近代都市計画における歴史地区の戦略 |
第2章 フランスの「都市の美化」-理念の萌芽と発展 鳥海基樹 38 |
1 中世ロマン主義の功罪 |
2 フランス・ルネサンスと「都市の美化」の概念の萌芽-一六世紀初頭から一七紀前半まで |
3 古典主義期における「都市の美化」の概念の拡張と技法の洗練-一七世紀中盤から一九世紀前半まで |
4 オスマンによる「都市の美化」の概念的・技術的完成-一九世紀中盤から二〇世紀初頭まで |
第3章 フランスの都市美保全施策-その誕生と昇華 鳥海基樹 51 |
1 ユルバニスムの概念と都市美保全論の萌芽-二〇世紀初頭から中盤まで |
2 「都市景観」の概念の萌芽と土地占用プラン-二〇世紀後半 |
3 「都市景観」から「オーダー・メイド」の街づくりへ-二〇世紀末 |
第4章 ドイツの国土美化と郷土保護思想-美を与えることと美を見いだすこと 赤坂信 63 |
1 「国土美化」前史-ドイツにおけるイギリスの庭園様式の受容 |
2 国土美化の提唱とその展開 |
3 工業化時代における国土美化の不振 |
4 郷土喪失と郷土保護 |
第5章 ドイツの都市条例-建築外観規制による都市景観の形成 井川博文 82 |
1 条例による建築外観規制の起源 |
2 条例による美観保護のための外観規制の発達 |
3 条例による都市の歴史的地区の保存 |
4 条例による都市景観の「継承」と「形成」,その発展と葛藤 |
第6章 イギリス田園都市の都市美思想とアメニティ-美と都市計画制度 中井検裕 96 |
1 一九世紀イギリスにおける工業化と田園美への回帰 |
2 田園都市とその空間美 |
3 アメニティ概念の登場と都市計画制度の発展 |
4 イギリスにおける都市美の復興 |
第7章 ベルギーの都市美運動-個性ある町並みを求めて 田中暁子 118 |
1 都市問題の解決と失われた町の個性 |
2 町の歴史の再発見 |
3 町の個性を活かした街路とオープンスペースの計画 |
4 個性ある町並みを求めて |
第8章 スペインの都市美思潮とバルセロナでの展開-形態美から公共空間の回復へ 阿部大輔 133 |
1 「平等な都市空間」形成の夢-セルダ計画をめぐる議論 |
2 「南のパリ」建設の夢-二つの万国博覧会と「グラン・バルセロナ」 |
3 ガックパックとマシア計画-機関誌『AC』に見る都市美 |
4 開発至上主義と市民運動-旧市街と海岸線の再開発をめぐる議論 |
5 「ミクロな都市計画」による歴史的市街地の保全再生 |
6 形態美から公共空間の回復へ |
第9章 アメリカのシティ・ビューティフル運動-都市の美しさを追求した市民と専門家たち 秋本福雄 148 |
1 都市美運動の再評価 |
2 都市美運動の先駆者フレデリック・ロー・オルムステッド |
3 都市美運動の指導者ダニエル・パーナムとチャールズ・ロビンソン |
4 都市美連動の隆盛 |
5 都市美運動の批判者ベンジャミン・マーシュ |
6 都市美の守護者チャールズ・チーニ- |
7 都市美運動の継承者ロサンゼルス郡地域計画委員会 |
8 都市美運動から学ぶこと |
第10章 アメリカの建築条例の起源と都市美-建物高さ制限の成立・変換に見る都市景観の理想と現実 坂本圭司 166 |
1 シカゴにおける建物高さ制限の成立と変遷 |
2 ニューヨークにおける建物高さ制限 |
3 シティ・ビューティフルからシティ・プラクティカルへ |
第11章 アメリカのニューアーバニズムが創造する都市美理念-都市づくりの規範とプロセスから生み出される新たな価値 出口敦 181 |
1 ニューアーバニズムの背景と活動 |
2 ニューアーバニズムの理念と手法 |
3 環境を創造するテザインの規範 |
4 ニューアーバニストの実践から学ぶ |
5 明日の都市美に向けたニューアーバニズムのデザイン思想 |
第12章 日本の都市美運動-市民社会への精神史 中島直人 198 |
1 シビックアートと都市美運動 |
2 橡内吉胤の都市美運動 |
3 石川栄耀の都市美運動 |
4 都市美連動を回復することの意味 |
第13章 日本における風景認識の変遷-近代における自然の風景の発見と価値づけ 下村彰男 216 |
1 風景の獲得と風景の価値 |
2 日本における自然風景観の変遷 |
3 土地・生活と風景 |
第14章 都市美創出の道筋をたどる-「都市美」とは何であったか,「都市美」とは何であり得るか 西村幸夫 234 |
1 都市にとって「都市美」とはいかなるものであったか |
2 「あるもの」としての都市から「なるもの」としての都市へ |
3 都市計画の成立と「都市美」の後退 |
4 二〇世紀半ばの「都市美」へのアプローチ |
5 再び欧米での「都市美」「デザイン」「風景」への関心の高まり |
6 欧米の議論から見えてくるもの-いくつかの対立項 |
7 私たちはこれからどのような「都市美」を目指すのか |
あとがき 西村幸夫 253 |